ムシムシランドと主人様との対面
シャドウの活躍により、真白の落とし穴から脱出したフィリ、景雹、七福、シャドウであったが、フィリ以外の3人は心に相当なダメージを負っていた。
「ゔうゔぅ、拙者、もう、授業ちゃんと受けるでござるぅ。ゔぅう」
シャドウはシナシナと体が曲っていた。
「零鐘どうして助けにきてくれないんだ!!!」
「景雹さんは強いなぁ、僕、もう帰りたい」
七福は景雹の頭の上にとまっていた。
「にゃ!にゃ!にゃ!最高だったにゃ! もう、笑いすぎて腹が捩じ切れるかと思ったにゃ〜あ」
「ほら、猫次郎、毛刈るぞ」
「にゃ! もう、腹の毛はやめて欲しいのにゃ、すぅーすぅーしてへんな感じなのにゃ」
「じゃ、背中だな」
フィリは猫次郎の背中の毛を1センチ切った。
「にゃ〜、もうそろそろ落とし穴も飽きたからさっさと次の罠に行くのにゃ〜」
「ほら、お前ら行くぞ」
フィリは萎れた枝と猫次郎と一緒に次の罠へ向かった。
その後を2人はしぶしぶ付いて行った。
「ねぇ、フィリさんだけずるくない?」
「それは、わかる。どうして一度も我とキスしてくれなかったんだ」
「そういえば、景雹さんの話だとフィリさんは奥さんなんだよね? どうしてキスしてくれなかったの?」
「いや、それは、フィリは恥ずかり屋さんだから、誰かが見ている時に我とキスするのが嫌だったんだろうな、普段ならフィリからキスをせがむのだからな!」
「えー、フィリさんの様子だと、違うような気がするなぁ。もしかして、景雹さん、僕に嘘ついてない?」
七福は景雹を疑い始めた。
「我が魔物に嘘をつかなければいけないんだ? 魔物に嘘を言う奴なんていないだろ」
「まぁ、そっか、そうだよね」
七福は飛び、景雹の頭からフィリの頭に着地した。
「うわっ、急にあたしの頭に乗っかるなよ」
「七福!? 自殺行為でござるよ!」
「まぁまぁ、フィリさんに質問なんだけど、景雹さんとの結婚式ってどんな感じだったの?」
「はぁ? 景雹との結婚式? 何言ってるんだ。あたしと景雹は結婚してないし、そもそも、付き合ってもないぞ」
「やっぱり、景雹さん僕に嘘ついてたんだ」
「もしかして、あいつ、七福に何が吹き込んだんだな」
「それがね」
七福は景雹から聞いた話を全て話した。
「フィリ!!!! 我を置いていかないでー!我疲れたー」
歩くのに疲れた景雹地面に座ってしまっていた。
「はぁー、連れてくるべきじゃなかったよなぁ」
フィリは仕方なく景雹の元へ向かった。
「フィリさん、景雹と付き合うのはやめた方がいいと思うな。フィリさんならもっといい男の人がいると思う」
「そうでござる。さっきの話を聞いて、妄想をあたかも真実のように話すのはどうかと思うでござる」
「同棲というより、あいつは居候だからな」
フィリが景雹の前まで来ると、景雹はフィリに抱きついた。
「フィリリリリリ!!! 我もう、歩けなーい」
「はいはい、景雹、枝を持ってくれ」
フィリは景雹にシャドウを渡した。
「解放!からの!拘束!」
フィリは軽々景雹を持ち上げてお姫様抱っこをした。
「フィリさん力持ち! 景雹さん、いや、景雹!僕に嘘をついてたな!!!」
「嘘ではない、我は真実しか話していない!少し、誇張しただけだ!フィリリリリリ!!!かっこいい!我、かっこいいフィリが大好きだーー!!!」
景雹はフィリの肩に手を伸ばし彼女のほっぺにキスをした。
「誇張じゃなくて、妄想だよ。もう、次の罠はムシムシランドだよ」
「ムシムシランド?」
「大きな遊園地なんだ、この罠を作った理由が確か、楽しい場所を提供したら、一生その場に留まるんじゃないかって、後、僕たちが遊べる場所を増やしたかったんだって」
「ヤングって奴、本当に虫なのか?」
「さぁね、あ!ムシムシランドだよ!」
入り口から漏れ出る光の中へ入ると、そこには、巨大な門があり、看板にはムシムシランドと書かれていた。
フィリ達が門の前に行くと、門が開き、そこには、魔石の淡い光が差し込み、沢山のアトラクションや食べ物屋がある遊園地であった。
「洞窟の中に建造物、本当になんでもありだな」
「さぁ!遊ぶでござるよ! 拙者のオススメは当然!ジェットコースターでござる!」
「僕はメリーゴーランドが好きだな」
「グルグル周りだけで何が楽しいのかわからないでござる」
「えー、楽しいのになぁ」
「我、降りる。我、フィリをエスコートしたい!」
「エスコートってただ、単に遊びたいだけだろ」
フィリは景雹を降ろすと、景雹はフィリの手を掴んで遊園地へ入って行ったのでした。
フィリ達は遊園地を楽しみ始め、最初は七福オススメのメリーゴーランド、その後、ジェットコースター、ムシムシレースミニ! など、様々なアトラクションを楽しんだのでした。
「枝! ジェットコースターもう一回行くか!」
「いいでござるよ!」
「にゃ〜、俺は疲れたから休憩するのにゃ〜、動くと毛玉以外も出ちゃいそうだにゃ〜」
「ゔっ、僕も、疲れた」
「我は、ジェットコースター、好きじゃない。それに、うっぷ、我、ちょっと、休む」
コーヒーカップを全力で回したフィリによって、景雹、猫次郎、七福は気持ち悪くなり、3人ベンチで仲良く休憩をした。
「情けないでござるよ。よし、フィリ! あっちのジェットコースターはなんと一回転するのでござるよ!」
「回転?どんな感じなんだ?」
「それは、もう、グルッと!」
「面白そうだな!行くか!」
フィリとシャドウはジェットコースターに向かった。
3人がベンチで休憩していると、女性が3人に話しかけてきた。
「やっぱり、遊園地は侵入者には要らないんじゃないかしら?」
「にゃ!? あ、主人様だにゃ!?」
「あ!主人様だ!遊びに来たの?」
「我、それよりも、吐きそう」
「ほら、この袋で吐きなさい」
女性から袋を渡された景雹はその中に吐いた。
「主人様どうしてムシムシランドに来たのかにゃ? 俺ちゃーんと、罠に嵌めてたにゃ」
「それなんだけど、もうそろそろ、この2人の素性が知りたいなって思ってね。本当なら全部の罠を試したかったけど、絶華ちゃんがお兄さんに合わせてって連絡がきちゃって、ヤングには申し訳ないけど、今回はここでお終いって事になったのよ」
「絶華、やはり、零鐘が言っていたのは真実だったんだな」
「貴方が絶華ちゃんのお兄さんの」
「景雹だ。だが、すまない、我は絶華とは会いたくない」
「そう言われても、もう、水晶持ってきちゃったから」
主人様は水晶を取り出した。水晶には景雹の妹の絶華が映されていたのでした。
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