第12回『人間を知ろうの会』
私が主人様の部屋の掃除をしていると庭の方から紫水が話しかけてきました。
「ねぇ〜、ねぇ〜、藍介〜、灰土が仲間に加わったからさ〜もうそろそろ〜、集まらない〜?」
珍しくいいこと言いますね。
芋虫さんが主人様から名前をもらい私達の仲間になり私も嬉しいですね。ですが、灰土さんは主人様を気に入っている様子。ライバルは紫水だけでいいので、増えるのは少し嫌ですね。
まぁ、それ程主人様が魅力的と言うこと。
こればっかりは仕方ないですよね。
「それはいいですね。灰土さんにも参加してもらいましょう」
「それでさ〜、今回は〜男だけにしてほしいだよね〜」
「ん? 紫水それはどうしてなのですか?」
「男が気になることは〜、アレしかないでしょ〜」
紫水、まぁ、そういうお年頃ですよね。
分かります。その気持ち、人間はどういう交尾の仕方なのか気になりますよね。うん、うん、私も少しだけ本で調べようとしたのですが、その、えぇ、恥ずかしくてあまり読んでいないのですよ。一応、最低限の知識だけはありますが。
ん? 皆で読めば恥ずかしくないのでは?
今回は男性だけ、この気に人間の交尾の仕方を知れるチャンスなのでは‥‥。紫水、ありがとうございます。私は決心がつきました。今回の集会の題材は人間の交尾の仕方で決定です!
「まぁ、そう言うことは女性達からしたらあまり良く思わないかもしれませんね。花茶にはまだ早い話ですし。わかりました。今回は男性だけで集まるとしましょう」
「ありがとう〜、今日の夜集まる〜? そうだ〜、いつもの場所で集まるよりも〜灰土の住処に集まろうよ〜」
「それはどうしてですか?」
「ほら〜、紅姫さんとか母さんにバレたら面倒じゃない〜それに〜、男だけの隠れ家ってカッコよくない〜?」
「それは、かっこいいですね」
男だけの隠れ家、なんかワクワクしてきました。
「じゃあ〜先に灰土の所行って待ってるね〜」
「私も掃除が終わったら緑癒に伝えてきます」
紫水は灰土さんの所に向かいました。
今晩、交尾の仕方。これは、やましい気持ちではなく人間を知るために必要なことなのです。どうやって妊娠をするかなど知っていて損はありません。そもそも、紫水はそういう事が気になるお年頃、私がきちんと性について教えなくてはいけません。黄結姫がきちんと教えられるかと言えば、多分、何も教えませんよね。早めに掃除を切り上げ緑癒に伝えにいきましょう。
「藍介、冷蔵庫の中にあったみかん知らない? せっかく冷やして食べよう思ってたのに、なくなっているんだけど」
あっ!今日の朝ご飯で食べてしまいました。
「その、主人様申し訳ございません。お腹が少し空いたので冷蔵庫にあったみかん食べちゃいました」
「えー、せっかく冷やしてたのに」
「本当に申し訳ございません」
「まぁ、いいわ。他の食べよーと」
「主人様、すみませんが、花茶に伝言をお願いしてもよろしいですか?」
「伝言? 別にいいけど、どうしたの?」
「これから、緑癒の所に行ってくると伝えてもらってもいいですか」
「了解、花茶が遊びに来たら伝えておくわね」
「ありがとうございます」
主人様はやはりお優しいお方だ、主人様のみかんを食べてしまった私を叱らず。まして、お願いまで聞いてくださるとは。
あぁ、主人様、大好きです。ずっと、一緒に暮らしていたい。
「それでは、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
私は緑癒の元へと向かい、緑癒に今晩集会があると伝えた。
もしかしたら、灰土さんの所で一晩明かしてしまうかもしれませんね。何も言わずに泊まると花茶に心配をかけてしまうので一度主人様の家に戻って、花茶に灰土さんの所に泊まるかもしれないと伝えといた方がいいですね。
私と緑癒と一緒に主人様の家に戻り。花茶に灰土さんの所に泊まるかもと伝えました。
伝えてしまったら男の隠れ家じゃなくなってしまうのですが、花茶に何も伝えずに行くのはこの前の事もあって気が引けるんですよね。
「わかった! お兄ちゃんいってらっしゃい! 緑癒お兄ちゃん! お兄ちゃんの事よろしくね!」
「藍介さんのことは任せてください」
私と緑癒は灰土さんの住処へ向かいました。
そして、第12回人間を知ろうの会開催です!
私の右側に紫水、緑癒、灰土さんに見えるように大きな本を設置し、私の目の前に紫水、緑癒、灰土さんがいました。
「それでは、第12回人間を知ろうの会の題材は人間の交尾の仕方ということで間違いないですか」
「ん〜? 藍介〜、俺が知りたかった事と違うな〜」
「え! 貴方が男が気になることはアレしかないって言ってたじゃないですか、それに女性には話しにくい話だと」
「俺は〜人間の結婚の仕方が知りたかったんだよね〜」
私1人が早とちりをしてこんな事を口走ってしまった。恥ずかしすぎる。
「それじゃあ、そう言えば良かったじゃないですか!」
「ほら〜、そういう事〜、聞くの少し恥ずかしくてさ〜、藍介だったら〜、わかってくれると思ってた〜。まさかその先の事を考えてたなんて〜、藍介〜変態さんだね〜。でも〜、交尾の仕方俺も気になる〜」
「変態って言わないでください。これは、人間を知るためにも必要な知識を得るためなのですから私は変態ではないです」
「結婚。どうして、紫水は急に結婚のことを知りたくなったんだ?」
「それはね〜。うふふふふ」
紫水は急に含み笑いをし始めた。
恥ずかしすぎる。まさか、人間の結婚の仕方を教えて欲しいとは、それなら先にそう言ってくださいよ!
でも、灰土さんも紫水に聞いていますが、どうして紫水は結婚の仕方が知りたいのでしょうか? まさか! 主人様と結婚したいと考えたりしていませんよね?
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