金色丸活躍する
金色丸は主人様に経緯を話していた。
「主人様、女の子1人と男1人が近くにいたから倒そうとしたんだべ。そしたら、この豚があの男を守ったんだ!」
金色丸は水晶を零鐘に近付けた。
「その子は確か、絶華ちゃんとこの式神さんだっけ?」
「ブギィィィ!ブッギィ!」
「そうね。たしか、名前は、えーーーと、れいしょう!零鐘ちゃんね」
「ブギィ」
「で、なんで零鐘はあそこにいる男の人を助けたの?」
「ブギィィィ!ブギィィィ!!!」
「うーーーん。私じゃ何を言っているのか分からないわね。絶華ちゃんに聞いてみようかしら」
すると、零鐘は絶華には絶対に話さないでと、必死に首を横に振りだした。
「絶華ちゃんには内緒ってこと?」
「ブギィ!」
「そうねぇ。なら、金色丸、2人を魔王軍さん達の宿に案内してあげて」
「分かっただ! 2人を宿に送るだ!」
連絡を切ると、金色丸は零鐘を抱き抱えて、景雹とフィリの前に向かった。
「冷たいだ」
「ブギィッ!」
「零鐘!? そいつは敵なんですよ!なんで、抱っこされているんだ!!!」
「ブギィッ(知り合いだから)」
「知り合い? いつ、その化け物と知り合ったんだ?」
「ブギィィィイイイイ(話すと長くなるけど)」
零鐘は景雹に魔蟲の森との関係を話した。
「どうして、我に最初から教えてくれなかったんだ!」
「ブギィ、ブギィッイ(言っても、帰らないよね)」
「まぁそうだけど、それで、我とフィリは彼に付いて行けばいいのか?」
「ブギィ」
「オラ、金色丸だ。よろしくな、主人様から宿に案内しろと言われただ。だから、オラについてくるだ」
「嘘、魔物が悠長に話せる!?」
「いや、フィリ、金色丸は思念を我達に伝えている」
「思念か、それを使えば魔物であっても意思疎通が可能って事なのか」
「ボケっとしてないで、オラについてくるだ! あー、オラの活躍、また百合姫に取られただぁ」
金色丸の後をついて行くと、人型の蜂の魔物と人間達が交戦している森の入り口の前に着いた。
「まだ、人間残ってるだ! それなら、オラ少しだけ活躍出来そうだ!」
百合姫は人間を釘バットで殴ったが、鎧に防御魔法が付与されていた為、人間に入るダメージが半減されていた。その時、百合姫は金色丸に気付いた。
「丁度いい! 金色丸! あたしを手伝いな!!! こいつら弱いくせにやけに防具が硬いのよ」
「おー! 零鐘と2人はそこで待っているだ。オラの活躍を見ててくれだ!」
金色丸は嬉しそうに戦いに参戦した。
「ひぇええええ、あの鎧、マジックアーマーじゃん!しかも、プロテクトが付与されている超高級鎧だよ!!! 遠目じゃよく分からなかったかど、あの人間達の雇い主、相当金持ちなんだな!!!」
「フィリ楽しそうだね。我は血を見て嫌な気分」
「でも、あの鎧を着てなかったら、あいつら即死だね。鎧のお陰で時間稼ぎは出来ているけど、ジリ貧だね」
金色丸は鎧の男をぶん殴ると、魔法が発動して人間にはダメージは入っていないが、金色丸の力が強く、後ろに吹き飛ばされていた。
「あれ? 貫通出来なかっただ? オラ、もしかして、弱くなってる!?」
「違うよ! 鎧に魔法がかけられててあたしらの攻撃が通らないんだよ」
「そうなると、もっと、強く殴るだ!」
金色丸は吹き飛ばされた男をさっきよりも拳に力を込めて殴った。だが、金色丸の攻撃は魔法に防がれた。
「な!? オラ、結構強く殴ったのに!!!」
「だろ、弱いくせに鎧のせいで殺せないんだよな」
「あの魔法を貫通しなきゃ倒せないだ」
「あたしは4人は殺したけど、まだ9人残ってるから金色丸は4人、あたしは5人相手にするよ」
「いや、これなら、オラが全員相手にするだ!拳がダメならやっぱりこれだ!」
金色丸は右手の人差し指をピンと上げた。
「上に何か秘策があるのか?」
「違うだ! まぁ、オラの活躍を見ててくれだ!」
金色丸は人差し指で1人の男の胸を刺した。
プロテクトが発動し男は守られたかと思いきや、一点に集中された攻撃によって、金色丸の人差し指がプロテクトを貫通、鎧さえも貫通して男の心臓を金色丸は指で突き刺した。
「ぐはぁっ、なぜぇ」
男はその場で絶命し、周りにいた人間達は金色丸から一斉に距離を取ろうとした。
「やっぱり、この指は最高だ!人差し指ならぬ!人刺し指だ!!!」
「えぇ、それって、ただのゴリ押しなんじゃない」
「百合姫だって、そのバットで殴るだけだ。なら、百合姫もゴリ押しだ!」
「否定できないわ」
「よし!さっさとやっつけるだ!」
金色丸は人差し指ならぬ、人刺し指を使って残りの人間を全員殺した。
金色丸の両手が血だらけになっていた。
「ふぅ、全員やっつけただ! 久しぶりに活躍出来て嬉しいだ!!!」
「金色丸、こんかいはありがとうな」
「オラ、かっこよかっただ?」
「かっこよかったよ」
「よっしゃ!主人様にたくさん褒めてもらえるだ!!!」
「あ、でも、主人様に会う前にその血は洗い流しておけよ」
「分かってるだ、あ、そうそう、あそこにいる、零鐘と女の子と黒い男は主人様が魔王軍さん達が使っている宿に案内するように言われてるだ」
「了解、でも、零鐘って鬼の女の子についていた豚だよな? どうして、ここにいるんだ? 今、鬼の国は大変なんだろ?」
「オラにも分からないだ、主人様が2人に聞き出すんじゃないかだ?」
「まぁ、2人と豚は通っていいわよ」
「じゃ、零鐘と2人、オラから離れるじゃないだ。オラから離れたら、仲間がご飯だと勘違いして食べられちゃうだーよ」
「なぁ、聞きたいことがあるんだけどいいか?」
「どうしただ?」
「あの鎧はこの後どうなるんだ?」
「うーん、オラじゃ、分からないだ。多分、捨てるんじゃないだ?」
「捨てる!? 嘘だろ、あの鎧は鉄と魔石が混ざられた魔鉄で出来てるのに、全て、捨てるだって!? なぁ、要らないなら後であの鎧貰っていいか?」
「うーーん、オラに聞かれても困るだ。宿に着いたら主人様が会いに来てくれると思うから、その時に聞いた欲しいだ」
「分かった! 景雹! さっさと宿に行くよ! 絶対に鎧ゲットしてみせる!!!」
「フィリ、趣旨が変わってきてません?」
こうして、金色丸の後をフィリと景雹と零鐘は着いて行ったのでした。
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