ドワーフと鬼 魔蟲の森に着く
2人のイチャラブ旅の目的地、魔蟲の森が見える所まで着いたフィリと景雹は森に入る前に森の周辺を調べていた。
日が昇った頃、フィリは岩影に隠れて望遠鏡で森を観察していた。
「景雹、あたし達の姿を透明化できるんだよな?」
「もちろん!我の妖術なら透明化など簡単さ」
すると、馬に乗った傭兵と馬車2台が魔蟲の森に向かっていた。
「丁度いい、あたしらの代わりに森に入っていくね」
「丁度いい?」
「あの森は昆虫の魔物主体のダンジョンなんだ。大昔に巨大な蜘蛛とムカデが暴れたみたいで、それ以降、魔蟲の森にと呼ばれるダンジョンは人間、亜人、魔族にとって脅威となると判断され、禁足地となったんだ」
「蜘蛛とムカデ、我、この森入りたくなくなってきた」
「だから、あたしは店番を任せたのに、ここまで来たんだから手伝ってよね」
「フィリ、フィリが、我を頼ってくれた!さっきの発言を撤回し、我、頑張る!」
「おっと、あいつら森の前についたみたいだな」
馬車から武装した人間の男が4人ずつ降り、馬で移動していた傭兵含めて計13人が、森の入り口前に野営の為のテントを建てていた。
「馬車4人ずつ、騎兵5人か今のところ13人って感じだな」
「フィリ〜、我、思ったのだが、あそこの兵士達と、一緒に森に入ればいいんじゃないか? 調査の為に来たと言えば同行を許可してくれるかも」
「なに言ってるんだ、あいつらはアスラスム国の人間だよ。あいつらの前に出たら奴隷にされるのがオチだよ。まぁ、装備を見る限り、寄せ集めの兵っぽいから、あたしが返り討ちにする事もできるけど、その前に森の出方を見ておきたい」
「じゃあ、ここで野営?」
「正直、もっと離れた安全圏で野営したいけど、仕方ない」
「じゃあ、我、フィリ抱き枕つかいたーい」
「今はふざけている場合じゃないからな」
景雹はフィリに抱きついた。フィリは抵抗せずに森の前で野営しようとしている人間達を観察していたら、森の上空に蜂が1匹、8の字を描くように飛んでいた。
「あれは、もしかして、ソルジャービー?」
「そるじゃーびー?」
「蜂型の魔物で攻撃に特化した個体なんだ」
「それじゃ、あの蜂は攻撃性が強いということ? フィリ、魔物に詳しいんだね」
「当然だろ、鍛治師として素材になる魔物は全て覚えるのが見習い卒業だからね」
「で、あの蜂の魔物はなにをしているんだ?」
「あれは、多分、味方を呼んでいるんじゃないか?」
すると、森の中から人型の蜂が現れた。
人型の蜂の魔物の顔は人間の女性であり、吊り目だが、顔立ちは整っていた。彼女の手には木の棒に釘が打ち付けられ、黒く丈が地面すれすれのマント?を羽織っていた。
人間は人型の魔物の登場に驚き、それぞれ武器を取り、人形の魔物と交戦し始めた。
「あんな、魔物、初めて見た!!! あいつ倒したらあの針取れるかな!」
「フィリ、あの強そうな魔物と戦いたいの!?」
「だって、あんなに美しい針見たことない。だけど、うわぁ、あいつらじゃ、あの魔物の討伐は難しいな」
「フィリ、帰ろう。あんな化け物となんて、零鐘がいない我だとすぐに死んじゃう」
「いいや、あたしは見届けないとな、景雹忘れたのか、あたし達は森の調査をしにきたんだよ。ましてや、森の黄金を作るのが蜂の魔物なんだ、その、新たな種、あの様子だとあいつは上位種だな。そんな奴がいるって事は、ここの森には森の黄金は存在しているって事になる」
「森の黄金はありそうだからフィリ帰ろう、捕まったら、あの怖い木の棒で死ぬまで殴られそう」
『オラの出番なしかと思ったけど、ここに隠れているだ!!! オラだって侵入者を倒すだ!!!』
フィリと景雹が隠れていた岩の上空に金色に光る男がいた。
フィリは上空から殺気を感じとり、武器を取り、降りてくる男の攻撃を大槌で弾き返した。
『おー!!! この人間オラの攻撃弾き返しただ!って、子供!? オラ、人間の子供に力負けした!?』
「くそぉ!!! 景雹!!! こいつ、さっきの奴よりもやばいかも」
2人の攻撃によって土埃がまい、景雹は土埃を直でくらってしまっていた。
「げっほぉ、げっぼぉ、フィリ!!!」
『子供に攻撃したなんて、主人様に知られたら、怒られるだ!!! まずい、まずいだ!!! ん?でも、そっちの男?なら、倒しても大丈夫そう』
金色丸はフィリではなく景雹を標的とした。
フィリは人型の虫の魔物が自分ではなく景雹を標的としていると感じ取り、金色丸に自分に攻撃が向かうように大槌を金色丸に叩きつけたが、金色丸は彼女の攻撃を受けても少しだけ後退しただけで、ダメージは全く負っていなそうだった。
『うわっ! なかなかの力だ! 子供なのに力強いんだな! でも、この子はオラに殺気を放っているみたいだけど、子供は倒すの禁止。主人様の命令は絶対だ。なら、後ろの奴を早めに片付けるべきだな』
金色丸は持ち前のスピードでフィリの攻撃を交わして景雹の前に現れ、彼に殴りかかった。
「ひぃっ!」
景雹は死を覚悟した時、空から青色の数珠が高速で降ってきた。
「ブギィィィ!!!!」
そう、空から数珠の姿となった零鐘が金色丸が景雹を殴ろうとした瞬間、氷の壁を貼り、景雹を金色丸の攻撃から守ったのである。
「零鐘!!! ありがとう!!!!!」
「ブギィ、ブギィィィ!!!」
零鐘は数珠から豚の姿へ戻り、金色丸に何かを伝えようと金色丸の足をベシベシ叩いていた。
『冷てぇだ!!! えーと、確か、この豚は、確か、そう、あー、えーと、見覚えがあるのに、誰だ?』
「ブギィィィ!ブギィィィ!!!」
『うーーーん、こうなったら、主人様に聞くだ!』
金色丸は羽を格納している背中から水晶を取り出して主人様に報告し始めたのでした。
人型の魔物が青い豚によって止まると、フィリは景雹に駆け寄った。
「あの豚は凄いじゃない!!! 数珠から豚! ねぇ、あの豚どんな武器なの!!!」
フィリは武器が豚の姿に変わったのを見て、自分が知らない未知の武器に目を輝かせていた。
「彼が我の相棒の零鐘、零鐘が来てくれたのなら我はあの魔物に勝てるぞ!フィリ!我の後ろに!我と零鐘の活躍をとくと見よ! 零鐘!!!式神纏!!!」
だが、零鐘は応えず、金色丸の足をベシベシ叩き続けていたのでした。
「なんでぇ!!!!!」
景雹は零鐘が応えてくれなかったのがショックでその場で地面に両手をついて嘆き始めたのでした。
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