ドワーフと鬼 イチャラブの旅?(鬼が言っているだけ)
こうして、ドワーフの冒険者フィリと鬼の景雹の旅が始まったのでした。
旅に出て1ヶ月間は馬車に乗り、アスラスム国の国境沿いに位置する村まで向かい。その間、フィリ達はと言うと。
「フィリ!!! さぁ! 我の腕の中にカモン!!!」
景雹は虚無僧の格好をし、天蓋を被っていて顔を隠していた。
フィリはと言うと、赤いトップスで鍛え上げられた腹筋を晒し、紺の半ズボン、腕に武器が魔法で収納されている魔石が埋め込まれた金の腕輪を身につけていた。
「はぁー、やっぱり、連れてくるべきじゃなかったな」
当初は徒歩でアスラスム国の国境沿いの村まで向かう予定が、景雹の体力が無いため、フィリは仕方なくなけなしの金を使って馬車代を払っていたのであった。
「あたし1人なら徒歩で10日あれば行けるのに、体力作りしたって言うから歩いてみたものの、まさか、1時間でキブ、はぁー、馬車代後で給料から引くからね!!!」
「そんなぁ、ベッドなら我の体力は無限大!だが、歩くのは好きになれないな」
「歩くのが好きになれないって一体、どんな生活してたんだよ」
「そりゃあ! 部屋に引きこもって美女と遊んでいたさ!」
「このグズ」
「うっ、フィリに言われると我の心にダメージが」
そして、1ヶ月この調子でフィリは景雹の猛アタックを全力で拒否していた。
アスラスム国の国境沿いにある村、タブン村に到着した2人は宿を取り、久しぶりにベッドで休息できると考えていたが、丁度空き部屋は1人部屋しかなく、ベッドが一つしかなかった。
「あたしは床で眠れるから景雹、ベッド使いな」
「ダメだ! こんな硬い床に愛するフィリを眠らせるなんて、男としていけない。だから! 我と一緒に寝よ〜」
景雹はここぞとばかりにフィリにジリジリと詰め寄った。
「そんなにあたしと一緒に寝たいのか?」
「そりゃあ!もちろん!」
「なら、ついたばっかりで汗臭いから体洗いに行っていいか?」
「え!?! ふぇっ!? それって、つ、つ、つまり!我と一緒にベッドで!!!」
「あたし先に行くけど、景雹も体洗いに行けよな」
「はい! 我!体洗いに行きまぁーーーす!!!」
景雹はルンルンで風呂場へ行き体を洗い、そして、緊張して、部屋に入ると、フィリ武器である大槌の手入れをしていた。
「フィリ! さぁ! 我と一緒に寝よう!」
「そうそう、久しぶりに酒でも飲みたいって思ってな、奮発して酒を買ってきたんだけど、景雹もいるか?」
「酒!!! 我大好物!!!」
フィリが準備した酒と塩漬けされた干し肉を食べて景雹は久しぶりの酒で普段より酔いやすくなっていた。
「フィ〜リ〜。愛してるぅ〜」
景雹はフィリを膝に乗せフィリに抱きつき、フィリは抱きつかれたとしても抵抗せずに酒を飲んでいた。
「ぷっはぁっ! 最高!!!」
「フィ〜リ〜。もうそろそろ、我とベッドへ行こう〜」
「あたしはまだ飲むよ!明日は物資の補給だけだから、まだまだ、飲める!!!」
「フィ〜リ〜。我、我慢できなくなってきた〜。フィリの甘い匂い〜。もう、我」
景雹はフィリの右肩に顔を当て、フィリに甘えていた。
「甘い匂い?酒の匂いだろ?」
景雹は旅の疲れと酒の力によって、フィリを抱きしめた状態で眠ってしまった。
「ふぅー、酒買っといて良かった。それじゃ」
フィリは眠った景雹を起こさないように注意しながらベッドに運んだ。
「ふぅ、起きなかったな。よし、あたしも寝るか。でも、ベッドいいよなぁ。普段あたしの方が早起きだから、ベッドで寝てもバレないよな?」
フィリは景雹の腕の中に入り込み、彼と一緒にベッドで眠ったのでした。
翌朝、景雹が目を覚ますと、夢にまで見た最高の光景が目の前にあった。
ベッドで自分の腕の中でフィリが幸せそうに寝ていた。
「フィッ!リ!あっ」
驚きすぎて大きな声を出してしまったが、フィリを起こさない様に叫びたい気持ちを押し殺して、彼女を見つめ続けた。
「ん、んんっ、ん〜〜」
フィリが目を覚ますと、目の前には男の大胸筋があった。フィリは寝ぼけながら、大胸筋に顔を埋めた。
そんなフィリの行動で景雹は心の中で『可愛すぎるだろ』と叫び、悶えた。
その1時間後にフィリがやっと完全に目覚めた。
「ふぁーあ、景雹おはよう」
「フィリ!!! おはよう!!!」
景雹はフィリを抱きしめていたが、より一層彼女を強く抱きしめた。
「うげっ、苦しい、苦しい」
「フィリ〜!!! だが、我は悲しい、フィリとの熱い夜を思い出せないんだ」
「熱い夜? そんなのあるわけないじゃん。景雹、途中で寝たんだぞ」
「我、なにも手を出してない?」
「手を出す、あたしを抱きしめていたけど、それ以上あたしがさせるわけないじゃん」
「そうか、それなら、良かった、フィリを抱いたのに記憶がないのは辛いからな。うん、それなら、初めからなにもなかった方が、うーん、やっぱり、フィリ、これから我とやらないか?」
「やるわけないだろ!」
フィリは渾身のパンチを景雹の腹に喰らわした。
「ぶへっぐぅ!!!」
フィリが買い出しに行こうと支度をしていると景雹は自分に何かを言い聞かせた。
「イチャラブの旅はまだ始まったばかりだ、大好きだフィリ、頑張れ我! 絶対にフィリとの子供を作ってみせる!」
「景雹、なに言っているんだよ」
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