強き者なのか?
ガールゥダは猫次郎に下僕のように扱われ、猫次郎を踏み殺す事を日々考えていたが、立て続けに強者と出会い、胸をおどろらせていた。
「強者、多いのは嬉しい事だ」
「にゃ〜、灰土様も強いにゃ〜、紫水様も強いにゃ〜、緑癒様は微妙にゃ〜」
「その者達に会うのが楽しみだ」
「最初は嫌がってたのに、こーろーっと態度かわったにゃーね」
「強者と闘うこそ強い戦士となれる」
「まっ、主人様に会った後にカスカスに会ってカスカスをからかうにゃ!」
ガールゥダはやはり、この猫の性根は腐っていると思ったのであった。
そして、魔蟲の洞窟を進むと、大きな空間が現れ、湖の前にポツンと家が建てられていた。
「にゃ〜、久しぶりだにゃ〜。主人様にたーくさん可愛がってもらうのにゃ!」
猫次郎はシャマシャマの腕の中から抜け出すと、家に向かって走り出した。
シャーマンとガールゥダは猫次郎の後を追った。
「にゃ!? にゃんだお前は!!! いつのまにこんなイケメン増えたのかにゃ!!!」
猫次郎が玄関から入ろうとすると、ふわふわプラチナブロンドの髪、瞳が黄金の美青年が猫次郎を阻んだ。
「猫次郎、久しぶりだな。お前の口からイケメンって言われるのはいい気分だな」
「にゃ? にゃんか、その声、カスカスに似ているにゃ」
「俺はウィザードキングリッチに進化したカストルだ」
猫次郎は両手で顔を拭き拭きし、目の前のイケメンを見た。
「にゃにゃにゃ、そんな事あるわけにゃいにゃ、俺が考えたカスカスはブサメンだにゃ!」
「ふっ、考えが外れたな、俺はイケメン、お前はただのクソ猫だ」
「にゃ!クソ猫だと!表に出ろにゃ! こんな顔だけの男、ギッタンギッタンにぶっ倒してやるにゃ!」
「ギッタンギッタン? まぁ、いいだろ、進化したおれの力、思いしるがいい!!!」
そして、カストルと猫次郎は庭へ行くと、2人は戦い始めたかと思いきや、主人様が登場した。
「ちょっと! 貴方達!庭でなにやろうとしているのよ!」
「凪さん、止めないでくれ、やっと、このクソ猫に灸を据える事ができるんだ」
「にゃにゃにゃ! 灸をすえられるのはこのムカつくイケメンだにゃ!イケメン滅ぶべし!キュートこそ、崇められるべきにゃ!」
「キュート?何を言っているのか、わからないが、やってやろうじゃないか!クソ猫!!!」
と、2人が魔法を発動させようとした時、主人様はカストルの肩を叩くと、カストルは驚いて魔法を発動を辞め、主人様は猫次郎を抱き寄せた。
「にゃ〜、撫で撫では卑怯だにゃ〜〜〜」
「猫次郎、カストルさんと喧嘩しないの」
「にゃ〜、最高にゃ〜至福だにゃ〜」
「ぐっ、羨ましい」
主人様に撫でられる猫次郎を見て、カストルはドス黒い感情に溢れた。
「で、猫次郎そこのスケルトン2体は誰なの?」
「にゃ〜、バカンス先で友達作ったのにゃ、シャマシャマとガルガルだにゃ」
「シャマシャマさんとガルガルさんね」
「違う、俺の名前、ガールゥダ。こいつは、シャーマン」
「あなた、話せるスケルトンなのね。ガールゥダさんとシャーマンさんね」
シャーマンは主人様にお辞儀をした。
「女は一体誰だ」
「女だと! ガルガル主人様になんて口の聞き方だにゃ! 許さにゃいにゃ!!!」
猫次郎がガールゥダを地面に埋まれと命令をしようとした時、主人様が猫次郎を止めた。
「まぁまぁ、初めましてなんだから仕方ないじゃない」
猫次郎を諌めて、主人様はガールゥダに自己紹介を始めた。
「私の名前は凪、魔蟲の洞窟と魔蟲の森の主人よ。よろしくねね
「女がこの強気者達を束ねる者なのか?」
「強気者? まぁ、私がここの管理を行っているわよ」
「小さい、弱い、何故」
ガールゥダは目の前の少女? がこの強気者が多い土地の主人なのが、驚いていた。ガールゥダが想像していた主人様とは、強者達を屈服させる覇気を纏った屈強な男を想像していた為、目の前の小さな少女? を目の前にして、心の底から驚いていた。
「私がガールゥダさんよりも小さいのは分かるけど、私、弱いと言われる筋合いは無いわよ」
「だが、女は弱い、守るべき者、闘う者ではない」
「ふぅーん。なら、私と戦ってみる?」
「にゃ!そんな、主人様あぶにゃいにゃ! ガルガル戦闘狂だから、女であっても闘いににゃったら手加減なんてしにゃいのにゃ!」
「大丈夫よ。彼ぐらいなら余裕よ」
「ふん、ならば、女、闘おう」
「それじゃ、広い場所に行きましょうか」
主人様は指を鳴らすと、円盤上の魔石が足の下に出現して、ガールゥダと主人様空中に移動すると、その先には空中で浮遊している透明な魔石で出来たフィールドが現れた。
「ここなら、思いっきり戦えるでしょ」
「女は魔術師だな。だが、俺は戦士、俺に敵うはずがない」
「そう? なら、きなさいよ」
「俺を挑発するとは、俺は女であっても手加減しない、後悔しても遅いぞ」
「なら、私がやってもいいのよ?」
ガールゥダは踏み込み、拳を突き出した。
拳が主人様に当たるかと思いきや、バッギンっと見えない壁に拳が当たった。
「雷光千花」
主人様はサングラスで目を保護し、眩い光を放つ大量の花が辺りに漂い始めた。
「なんだこれは」
「どう、これで、私が弱い女じゃない事はわかったかしら?」
「ふん、こんな花、簡単に潰れ」
ガールゥダは雷光千花の花を一つ握りつぶそうとした時、大量の電気がガールゥダを攻撃し始めた。
「雷を操るのか、だが、俺は骨、こんなの俺に効かない」
「そう?腕大丈夫かしら?」
「なに?」
ガールゥダが右腕を見た瞬間、右腕が雷の花に当たると、腕にひび割れが起こり、二つ目の花に触れると、右腕が吹き飛んだ。
「なんだと」
「スケルトンだから、肉体的なダメージを負う事がないから、この花の危険さが理解出来なかったと言うことね。それじゃ、私の勝ちでいいかしら?」
「そんな、俺が、女に負けるだと」
ガールゥダは認めたくなかったが、右腕が吹き飛んだ以上、負けを認めるしかなかった。
ガールゥダは女であっても強気者がいる事を知り、次こそは主人様に勝つ事を決意した。
そして、ガールゥダは主人様に毎日のように闘いを挑むようになったのでした。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。




