ライネルの成果
ライネルは白桜に買い取ってもらい、無事に任務を果たした帰還した。
「そんじゃ、俺は藍介さんに報告してくるわ」
「その前に花茶に会ってもらわないと、明日本番なのに、リハやりたがらないのよ」
「花茶に会うなら何かしら食べもん持っていかねぇといけねぇな」
「それなら、もうそろそろお昼の時間だから、昼食準備よろしくね」
「おうよ! さぁ!何作ってやろうか」
ライネルは白桜の屋敷の厨房へ向かい、卵が沢山あったので、オムレツを作り、花茶のいる部屋へ向かった。
ライネルはドアをノックした。
「おい、花茶! お昼だぜ!」
「え!その声!ライネルお兄ちゃん!!!」
ドアが勢いよく開くと、花茶が満面の笑みでライネルに抱きついた。
「ライネルお兄ちゃんだ!!!! お帰りなさい!!!」
「おう! ただいまだぜ!」
「今日のご飯なにー!!!」
「オムレツだぜ!」
「ふわふわ卵さんだ!!!やったー!!!」
花茶とライネルは一緒に昼食を食べた。
「美味しい!美味しい!花茶、ライネルお兄ちゃんの料理だーーーいすき!!!」
「ふっ、照れるじゃねぇか」
「それで、ライネルお兄ちゃんは今まで何してたの?」
「それはだな、藍介さんから潜入任務を任されちまってな」
「おー!なんか!かっこいいね!」
「きちんと藍介さんが欲していた情報をゲットしたし、他にも、とある公爵家の情報まで掴んだんだぜ」
「おー!!!ライネルお兄ちゃんさすが!」
「だろ!だろ!俺すげぇだろ!」
「さすが!ライネルお兄ちゃん!よっ!魔王軍一!」
「そんなに褒めるなよ。照れるじゃねぇか」
「で、お兄ちゃんには報告したの?」
「いいや、花茶に会ってから藍介さんに報告しに行こうかと思ってな、それにしても、俺がいない間に、花茶、すげぇな! ナバンの野郎も花茶のライブのチケット欲しさに相当金を注ぎ込んでいたぜ」
「ふっ、ふっ、ふー! 花茶はさいきょー!だからね!」
「だな!花茶は最強だからな!よし、もうそろそろ、俺は藍介さんに会いに行ってくるわ」
「えー!!!もう行っちゃうの!!!花茶ともっとお喋りしようよー」
「そうしたいが、白桜が怒りそうだしよ。藍介さんにさっさとこの情報は話ておきてぇんだよな」
「それなら、花茶も一緒に行く!!!」
「それはダメだぜ、明日ライブなんだろ? その、花茶はリハ?ってやつをやらなきゃいけないんだろ?」
「まぁね、でも、いつも同じだから余裕だよ!花茶はさいきょーだからね!」
「でも、ダメだ。リハってもんをやってこい。その、リハをやって来たら、そうだな、花茶の好きな料理作ってやるよ」
「ほんと!なら、唐揚げがいい!!!」
「了解、藍介さんに報告したら材料調達だな」
「やった!!!今日のご飯は唐揚げだ!!!」
「そんじゃ、俺は行くぜ。リハ頑張れよ」
「うん! 唐揚げ、唐揚げ!唐揚げ!」
ライネルは部屋から出ると、藍介と直接連絡できる水晶が置かれた白桜の自室へ向かった。
「花茶をやる気にさせたかしら?」
「今日は唐揚げだ!って騒いでたぜ!」
「それなら、今日は安心できるわね。これからの事なんだけど、ライネルには花茶のボディガードとして働いてもらうから、よろしくね」
「おうよ。にしても、花茶が有名になるのがいいけどよぉ。変な奴らが花茶欲しさに何か仕掛けて来てるんじゃねぇか?」
「まぁ、色々あるわよ。特に貴族連中は、花茶に求婚してくる輩が増えたわね」
「マジかよ。あいつまだ子供だぜ」
「何言っているのよ。花茶様はあたしよりもうーんと年上なのよ。あんたよりも年上なんだからね」
「そうだけどよ。俺には子供しか見えねぇんだよな」
「まっ、その貴族連中には蜘蛛達を送り込んで見張っているから大丈夫よ」
「まぁ、見張りがいるんだったらいいか」
「で、ライネル良い情報得たみたいだけど、どんな内容なのかしら?」
「おっと、それは先に藍介さんに話さなきゃなんねぇから白桜には後で話すぜ」
「チッ、藍介様よりも先に情報を知って、主人様に褒めてもらおうと思ったのに」
「ほんと、ブレねぇよな」
「仕方ないわね。後であたしにも報告してね」
白桜は部屋から退出した。
「そんじゃ、話すか」
ライネルは水晶に手をかざした。
すると、水晶が光り、その光の中から藍介の姿が現れた。
「ライネルさん、お疲れ様です。それでは、報告をよろしくお願いします」
「そんじゃ、まず最初に、ナバンの野郎の話から」
ライネルはナバンが珍しい奴隷を買った理由を話した。
「それは、前々から知っていた事なので、他にはないのですか?」
「いや、それがよぉ。メビドゥース公爵家って奴らと関係を築く為にネルガルを買ったみてぇでな。ネルガルをお披露目する為に今パーティーの準備している所なんだよ」
「メビドゥース公爵家、ですか。確か、奴隷に寛容であり、衣食住が充実している珍しく奴隷に優しい貴族と評判ですね」
「それがよ。そうじゃなかったとしたら、話が変わってくるんじゃねぇか?」
「と言うと?」
「藍介さんはメルバン家を探していただろ。そのメルバン家の奴が訪ねて来てな。そしたら、ナバンの野郎は大喜びでそいつを接待してたんだよ。そんで、その会話で出て来たのが」
「メビドゥース家ですか」
「怪しいと思わないか? 奴隷取引の元締めみてぇな貴族がメルバン家って言う噂がある中、真逆の活動をしているメビドゥース家、何か裏があるんじゃねぇか?」
「ライネルさんはその確信を得られる情報得たのですか?」
「いいや、そこまでは難しかったな。主人さんの魔道具のおかげで会話を盗聴する事ができたが、途中で雑音で聞こえなくなってよ」
「遮断系の魔法を使ったと言う事ですね」
「他はな」
ライネルはナバン家の情報を知っている限り全て藍介に話した。
「ライネルさんお疲れ様です。これからは花茶の護衛をよろしくお願いします。ですが、今度はキチンと仕事してくださいね。もし、また、花茶が誘拐された場合、殺しはしませんが、その手前までの事をしますからね」
「うわー、おっかねぇな。まぁ、次はあんなヘマなんてしねぇよ」
「それでは、ライネルさんの情報を元にメルバン家を探してみることにしましょう。それと、メビドゥース家にも何名か潜入させますかね」
「よろしく頼むぜ」
ライネルは報告を終えて、花茶の夕飯の為に食材調達に向かったのでした。
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