カストルの恋
俺の名前はカストル、生前はとある塔で日々魔法の研究をしていた。色々あって仲間に裏切られ俺は命を落とした。そして、気付いたら、スケルトンになってしまっていたんだ! 魔力は生前よりも落ち、知能も言葉を話すのがやっとであった。そして、現在、俺は、自由を謳歌しているのである!
ずっと塔の中で権力を持ち、金もあり、魔法の知識は仲間の中で一番だった。けど、そんな俺にも叶えたい夢があった。俺の夢は、女性とお付き合いして、楽しい恋人ライフをしてみたかった。生前、周りは男だらけで出会いなんて無かった。スケルトンになってから、恋人を作ろうかと考えたが、俺の周りにいるのは基本、男だけ、そもそも、他のスケルトンは話せるほどの知能がなく、意思疎通することすら難しかった。だから、俺は、死んで自由きままに生活できるようになったが、恋は一生出来ないものと考えていた。
だが!しかし! 俺にも運が回ってきた!そう!魔蟲の洞窟の主人様、凪さん! 彼女は人間の女性で、可愛くて、笑顔が太陽の様な人、彼女となら、俺は楽しい恋人ライフを過ごせるんじゃないか!
主人様への感謝の会が終わり、俺は片付けをしていた。
「カスカス〜、主人様とっても喜んでくれていたにゃ〜」
「主人様、喜んで、良かった」
「カストル! 俺っちの飛行テクどうっすか!」
「凄かった、息があってて、最高に楽しかった」
「今度、カストルも一緒に飛ぼうっす!」
「いいけど、落とさないで、ほしい」
「大丈夫っすよ! 俺っちにまかせろっす!」
「にゃ〜、それじゃ〜、俺は主人様の家に行くからじゃあにゃ〜」
「ん? 猫次郎、何を言って、いるんだ?」
「俺はこれから、主人様の家に寝泊まりするのにゃ〜。可愛いって罪にゃ〜ね。主人様さえも、俺の魅力的なボディにメロメロなのにゃ〜」
「可愛い、が、メロメロ、可愛い、か」
「カスカス何を考えているのかにゃ〜?」
「可愛い、なら、主人様、家入れる?」
「当然にゃ〜、まぁ〜、俺の可愛さにはかてないにゃ〜ね。にゃっーにゃっにゃっにゃー!!!!」
「猫次郎、うざい、懲らしめるか」
「にゃに! 逃げるが勝ちにゃー!!!!」
猫次郎はカストルから逃げ、主人様の家に向かった。
「猫次郎、いいな、俺も、主人様、一緒に、暮らしてみたい。可愛いか」
カストルはその後、可愛いを考えた結果、今の姿では無理だと判断して、可愛い物を作ることに決めた。
「主人様なら、この花、可愛いって、言ってくれる、はず」
カストルは土魔法を応用して作ったクリスタルの花を手に持ち、主人様が魔蟲の森にいる事を知り、魔蟲の森へ向かった。
「あら、カストルさんおはよう」
主人様はカストルに気付くと挨拶を交わした。
「お、おはようございます。あの、これ、どうぞ」
カストルは手に持っていたクリスタルの花を渡した。
「何これ!凄い!綺麗な花ね! でも、こんな綺麗な花が咲いている所なんてあったかしら?」
「これ、俺が作りました」
「えっ! カストルさんが作ったの! 凄いじゃない!」
「土魔法、作れる」
「でも、このお花貰っていいの?」
「はい、主人様に、プレゼントです」
「ありがとう! 家に飾らせて貰うわね。そうね、プレゼントを貰っちゃったから、そのお礼をしなきゃね!」
「お礼? いえ、俺が、主人様に、渡したかったから、お礼、いらない、です」
「そんなこと言わずに、そうね。カストルさんは魔法使いだから、これをあげるわ!」
主人様は星のペンダントを作り出した。
「カストルさん手を出して」
「はい」
カストルは何も分からず、手を差し出した。すると、主人様の手に触れることができ、カストルは内心喜んでいた。
「魔力があがるペンダントよ。このお花のお礼」
「貰っても、いいの、ですか?」
「カストルさんの為に作ったんだもん。いいわよ!」
「ありがたく、頂戴、します」
「うんうん! そうそう、カストルさんって魔法に詳しいのよね?」
「昔、魔法、教えてました」
「なら、お願いがあるのだけど、いいかしら?」
「お願い、ですか?」
「今ね、私は外に出る為の特訓をしているのだけど、筋肉痛が酷くて、あまり授業が出来てないのよ」
「授業?」
「そう、虫達に人間についての知識を学んで貰っているの。それで、なんだけど、私、魔法について詳しくないから、私の代わりにカストルさんには、あの子達に魔法を教えて欲しいの」
「分かりました。俺、頑張ります」
「よし! 決定ということで! あけぼの! もう1人追加でお願いね!」
『かしこまりました。どうぞ、背中に乗ってください』
「カストルさん、行くわよ!」
主人様はカストルの手を引き、カストルはされるがまま、あけぼのの背に乗って、主人様の家に向かった。
「にゃに! どうして、カスカスがここにいるのにゃ!」
「カストルさんはこれから猫次郎と一緒に暮らして貰うわね」
「え、猫次郎、と、一緒」
「主人様〜、どうして、カスカスがここにいるのにゃ〜?」
「カストルさんには虫達の魔法の先生になってもらったのよ。寝泊まりは、猫次郎と相部屋ということで、私の部屋の隣です」
カストルに衝撃が走った。まさか、主人様のお近付きになれるチャンス、しかも、主人様の部屋の隣! カストルは急展開すぎて、頭がついていけてなかった。
「え、あ、え、あ、あ、主人様、の、と、とな、となり」
「私の部屋の隣嫌だったかしら? それなら、ライネル達が暮らしている家の方がいいかな?」
「そうにゃ! カスカスはそっちの方がいいにゃ!」
カストルはうるさい猫次郎の口を手で塞いだ。
「主人様、隣の部屋で、大丈夫です」
「ほんと! それじゃあ、これからよろしくね。明日からあの子達に魔法を教えてあげてね」
「はい、頑張り、ます!」
「にゃ〜カスカスと相部屋なんて嫌にゃ〜」
こうして、カストルは虫達に魔法の先生となったのでした。
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