カスカスのおもてなし
白桜が暗躍を開始する中、主人様はと言うと。
「き、筋肉痛、つ、つらい」
「ほら、まだ10分いけてないわよ。頑張りなさい」
居間でアと共に外に出る為の特訓をしていた。
「でも、この後、瘴気の森に行く予定が」
「そう? 仕方ないわね。あと一回頑張ったら今日の特訓は終わりにしてあげるわ」
「あと、一回、がん、ばる」
アは凪の魂をぬいぐるみに移した。
ぬいぐるみは動き始め、アとオセロを始めた。
「端っこをとったのに、負けたー!!!!」
「ふっ、つめが甘いのよ」
「くそぉぉおおおお!!!」
「10分経ったわね。凪ちゃんよく頑張ったわ。今日の特訓おしまいね」
凪の魂は自分の体に戻った。
「い、たたたた!!!!痛い痛いよぉ!!!」
「そりゃあ、10分いけたのよ。その分反動があるに決まってるじゃない」
「アさんは反動とかあるの?」
「無いわよ。そもそも、私の本体は鉱石なの。ダメージなんて負うわけないじゃない」
「くっ、羨ましい」
「その体で視察なんて大変ね。頑張りなさい」
「1時間休憩してから、行く」
凪は1時間休憩をした後、筋肉痛のまま瘴気の森へ、あけぼのに乗って向かった。
「あけぼのありがとう、私、あまり動きなくないの」
「いいえ、いいウォーミングアップです。でも、俺は瘴気の側にはいけないので、近くまでしか送れず申し訳ございません」
「魔蟲の森まででも十分よ。そうそう、ムシムシレース楽しみにしているわね」
「はい! 今回レースも優勝を目指します! そうだ、この頃、サンザイを見かけないのですが、主人様は知っていますか?」
「サンザイ、あぁ!サンザイね。今彼は魔族の国で働いているわよ」
「そうでしたか、真面目に働いていたらいいんですが、ほら、サンザイはたまにやる気が違う方向に進む時があるので、あっちの方で何かしでかさないか心配ですかね」
「まぁ、イデアさんの元で働いているから大丈夫でしょ」
「そうですかね?」
あけぼのと凪が話している時、サンザイはと言うと、イデアの屋敷でストライキを行なっていた。
蜘蛛達が休みたいと書かれた看板を持っていた。
「ストライキ!ストライキ! コーヒーだけじゃやってられない!」
「みんな、頑張れでやんす! もっと!もっと!言いたい事言っちゃえでやんす!」
「もっと、やすみたい!」
「ブロマイド制作をしたい!」
「ラックル君と遊びに行きたい!」
青雷までもがストライキに参加していた。そして、ラックルは何故かストライキに参加していた。
「ぼ、ぼ、僕も! 青雷君と遊びに行きたいです!今じゃ、そんな時間取れないです! みんな!頑張りましょう!」
ラックルは旗を振り、蜘蛛達のストライキの指揮がより上がった。
「ラックル流石でやんす! もっと!もっと!騒ぎを広めるでやんす!」
そして、イデアはと言うと。
「ぐっ、私だって、休みたいですよ! 凪さんの元で沢山甘えたり、したいのに、くそぉ!!! いつになったら労働地獄から解放されるんだ!!!!」
イデアも終わらぬ仕事に限界がきていた。
そして、時は戻り、瘴気の森付近に着いたあけぼのは主人様を降ろして、洞窟へ帰っていった。
「ふぅ、猫次郎がどうしても来て欲しいって言われて来たけど、何かあったのかな?」
凪は筋肉痛の体でゆっくりと瘴気の森に入っていった。
進んでいくと、瘴気の森中央にはスケルトン達の居住区があり、そこで猫次郎が凪に気付き走り出した。
「にゃ! 主人様だにゃ! にゃーの姿見て欲しいにゃ!にゃーは進化したにゃー!」
猫の骨の姿の猫次郎ではなく、猫次郎は魔蟲の森に来て数日後に魂猫に進化していた。
進化によって猫次郎の姿が生前の姿となり、骨だけの体でなく、肉が付き、青い体毛に覆われた、2本の尻尾が生えた青白い光を放つ猫となっていた。
「何この、可愛い猫ちゃんは! よぉーしよぉーしおいでこっちにおいで」
「にゃー!主人様!にゃーにゃ!猫次郎だにゃ!」
「え?この可愛い猫ちゃんが猫次郎!? どうしたのその姿!?」
「ふっ、ふっ、ふっぅー!魂猫に進化できたのにゃ!!!!」
「進化したのね、可愛くなったじゃない。しかも、もふもふね」
凪は猫次郎を撫でた。
「にゃ〜、至福だにゃ〜。この姿ににゃったら、パラディンボーン様もにゃーを沢山撫でてくれるようににゃったにゃ〜。にゃー、けど、カスカスだけは違うけどにゃー」
「よしよし、それで、今日私を呼んだのはその、魂猫に進化したから呼んだの?」
「それもそうにゃーけど、カスカスが主人様に挨拶をしたいにゃーって言ってたのにゃー」
「挨拶ってこの前したじゃない」
「にゃー、それが、主人様に貰ってばっかりだから、何かやらないかにゃって、それでにゃー、主人様には、今日、にゃー達のおもてなしを受けて欲しいのにゃー」
すると、今までいなかったスケルトン達が現れ、大道芸を始めた。
「おー!なんか、すごいわね!」
「カスカスが考案したにゃ! そんで、バーンの空中ブランコだにゃー!」
「バーンの空中ブランコ? そもそも、バーンは空を飛んでいるわよね?」
「俺っち! と身軽なスケルトンさんとの合作っす! どうだ!この皆こなし!凄いすよね!」
バーンがブランコをぶら下げ、身軽なスケルトンさんがバーンの動きに合わせてブランコから飛び降り、そして、前に進んだブランコを持ったバーンに飛び移ると言う、1人空中ブランコをしていた。
「凄い!すごいわ! バーンの動きを完璧に把握してないと出来ない芸当よ!」
「何度も失敗を繰り返して、練習し続けた結果だにゃ、これも、カスカスが提案したのにゃ」
「それで、カストルさんは今どこにいるの?」
「にゃー、多分、フィナーレまでは出てこないにゃー、主人様は皆んなの芸を楽しんで欲しいにゃー」
「えぇ! 凄いわ! みんな! ありがとう! とっても楽しいわ!」
凪は思いっきりスケルトン達に手を振った。
そして、スケルトン達の大道芸を見終わり、残りのフィナーレを飾るのはカストルであった。
「主人様、僕達の、新しい、住処を、与えてくれて、ありがとう、ございます。僕達、には、これぐらいしか、出来ませんが、楽しんで、もらえたでしょうか」
「とっても楽しかったわ!」
「喜んで、もらえて、嬉しいです。そして、最後は、僕の魔法で締めくくりたいと、思います」
カストルは天に向けて炎球を放つと、カストルが事前に準備していた結界に炎球が当たると、炎球が花火のように弾けた。
「花火だわ! たまやー!」
「たまにゃー! たまにゃー?ってにゃんだ?」
カストルは何発も炎球の花火を放ち、カストルとスケルトン達で考えた主人様へのおもてなしは大成功したのでした。




