張り切り過ぎて
「ふぅ! この土地は浄化完了です! いやー! 神の力をぶっ放すのは楽しいですね!」
緑癒は満足そうに浄化した土地を上空から眺めた。
「でも、これだけでは少し痛いな程度ぐらいですかね? もう一撃やっといた方が良いのでは?うーん、 一度、灰土さん達と合流しますか」
緑癒は灰土達の元へ向かった。
緑癒が地面に着地すると、紫水が緑癒に飛びついてきた。
「緑癒〜! 俺のこと〜、あれで〜、殺さないでね〜」
「殺す!? 僕がどうして紫水を殺すんですか!?」
「いや〜、だって〜、お尻叩いてるからさ〜」
「それも、そうですね。死んでも直ぐにでしたら生き返らせることが出来ますし、一度死んでみます?」
「嫌だ〜!!!! 灰土〜助けて〜」
紫水は灰土の後ろに隠れた。
「緑癒様お疲れ様です」
「どうです! 僕の力は! カッコよかったですよね!」
「えぇ、なんか、緑癒様、やけにテンション高くないですか?」
「そうですかね? あれ? アさんは帰っちゃったのですか?」
「ハッハー!アはおやつの時間だと言って帰ったぞ!緑癒!俺様と勝負だ!」
「氷月とは戦いたくないだですって。僕のおかげクエストクリアですね! 主人様に褒めてもらわなくては!」
「え〜。どうせ〜、主人様〜、お尻撫でてって言うんでしょ〜。緑癒は〜、本当に〜、変態だな〜」
「紫水、やはり、一度死にますか?」
「ごめんって〜!」
緑癒は神の力を使った作用で覚醒状態であった。
緑癒は主神の体の状態を確認した。
「やはり、この土地だけではアイツに復讐できない。ならば、他の土地にも瘴気はあるはず! 今の僕なら早く飛べそうです!ならば! すみませーん!今から、僕は瘴気を片っ端から浄化しに行くので、ここで待っていてもらってもいいですかー!いいですよね!それでは!」
「え?緑癒様?一体どこへ行くのですか?」
「あ〜、行っちゃったね〜」
「当分あの調子なら、帰って来ないんじゃないか?」
緑癒は空を飛び、瘴気に汚染された土地を見つけ次第雷霆を起動させ、神の慈悲の威力をあげて目に見える全ての土地を浄化しまくった。
その結果、緑癒が帰ってきたのは5日後であった。
「もうぅ、無理ですぅ〜。疲れました〜。なんか、紫水みたいな話し方になってきてますぅ〜」
緑癒はヨロヨロとゆっくりと飛行しながら、灰土達の元へ帰った。
「あ〜、緑癒が〜、やっと帰ってきたよ〜」
「ハッハー!完全に疲れ切っているな!」
「まぁ、5日程あの状態なら、反動であーぁなりますよ」
緑癒は地面に着地し、そのまま地面に倒れた。
「もぅ〜、動けない〜」
緑癒は神の力を連発し、体は疲れ切っていた。
「それじゃあ〜、帰ろうか〜」
「そうだな、この辺りを散策したが、瘴気は確認出来なかった。完璧に浄化しきれたと言うことだしな」
「ハッハー!緑癒よ! 体の疲れが抜けたら俺様と勝負だ!」
「だから〜、氷月さんとは〜、戦いませんって」
緑癒は力尽きその場で眠ってしまった。
灰土は緑癒を馬車までおぶり、王都タユタナへ帰ったのでした。
緑癒が自分の力をそこら中に放っているところを見た主神ゼスは、あんな約束しなきゃよかったとベッドに仰向けになりながら、後悔していた。
「う、動けない。へーちゃん。やばい、僕、動けなくなった」
「あら? ゼーちゃんどうしたの? 仕事の時間だから早く起きなさい」
「いや、それが」
ゼスは体を起こそうとしたが、全身に強烈な痛みが走り、動くことが出来なかった。
「痛い!痛い!痛い!へーちゃん。お医者さん呼んできてほしい。これじゃ、仕事できないよ」
「何言っているの? ほら、起きなさい」
ヘーラはゼスの体を起こそうと彼の体を触った時、ゼスは叫んだ。
「痛いって!!!! 今の僕に触らないで!痛いんだよ!」
「え? 私ほん少し手を触っただけよ?」
「それが、ダメなんだって!!!! めちゃくちゃ痛いの!!!」
「分かったわ、お医者さん呼んでくるわね」
「ごめん。ありがとう」
ヘーラは直ぐに医者を呼び、ゼスの診察を行なった。そして、その結果は……。
「筋肉痛ですね。ほら、一度、ゼス様が若い頃、女の子1万人を満足させるまでヤリ続けますっていう下品極まりない遊びを始め、あの時も同様に筋肉痛になったではないですか。今回はどんな派手な遊びをしたのですかね? ここまでとなりますと、1万人越えとなりますかね? もしや、倍の2万人相手にしたのですか?」
「あーなーたー!!!!! 何よ!いつの間にそんな下品な遊びなんかしちゃって!!! 私がいるのにそんな事をしているなんて、り!こ!ん!離婚よ!!!」
「うわぁぁー!!!嫌だ!!!へーちゃんと別れたくないよ!!!! そもそも、それはへーちゃんと付き合う前だから許してぇ。てか、なんで、妻の前で暴露してるんだよ!!! この藪医者!!!」
「いやだって、ゼス様が筋肉痛になった時はそれぐらいしか思い出せませんでしたし、今だったら日頃の鬱憤を晴らしても大丈夫かと思いましてね!」
「くっそぉ、こいつ、許さないからな。後で覚えてろよ」
「で、筋肉痛を治すのは簡単です。体を動かす事!それが、筋肉痛を治す手っ取り早い治療法ですね!」
「何言っているんだ!君の力なら簡単に筋肉痛なんて治せるだろ!」
「いやー、現在、私の眼を貸している子がですね。相当、ゼス様を恨んでまして、彼の眼を通じて彼の人生を見てきましたが、そりゃあ、恨まれても仕方ないですよね。なので、簡単に治せますが、自然治癒と言うことで、ゼス様は頑張ってくださいね。それでは、帰らせていただきますね」
「先生、ありがとうございます」
「いえいえ、この傲慢の塊の長っ鼻を折ることが出来ましたし、この事によって、今までの行いを悔い改めて欲しいですね」
「夫にはキツく、そりゃあもう、泣き出すぐらいキツく叱っておきます」
「そうそう、旦那さんが筋肉痛になった原因は彼の力を貸した者が何十発もの雷霆を使ったことが原因ですね」
「あぁ、あの子ですね。もしかして、彼に眼を貸しているのですか?」
「えぇ、最初は私が目をつけていた子だったんですけどね。ゼス様にぶんどられまして、とられて悲しいかったので、私としてちょっとした復讐ですね。それでは、お大事になさってください」
「えぇ、仕事を休ませずに行かせます!」
そして、現在、緑癒は全身筋肉痛の中、馬車に揺られていたら。
「ぎゃー!!! 痛いですぅ! この揺れなんとかなりませんか!!!」
「張り切るから悪いんだよ〜」
天界において、主神ゼスは妻のヘーラに強制的に仕事に行かされ、ヘーラに介抱されながら、彼は全身筋肉痛のまま仕事をしていた。
「ペンが、持たないよぉ!動くだけで痛いんだけど! こんな状況で仕事なんて無理だよ!!!」
「ほら、仕事しないと他の子達が可哀想でしょ。ほら、やる」
ヘーラは強制的にゼスにペンを持たせた。
「嫌ぁぁぁぁ!!! へーちゃん触らないで、痛いの!めっちゃくちゃ痛いの!動かすだけでやばいんだから! はっ! へーちゃんどうしよう、トイレ、行きたくなってきた」
「頑張って1人で行ってらっしゃい」
ヘーラはトイレの方向に指差した。
「無理だって、へーちゃんお願い助けて、この歳でお漏らしなんてしたくないよ!!!」
ヘーラはニコニコしているだけで手伝ってくれなかった。そのため、ゼスは全身強烈な痛みに襲われながら、必死に、トイレに向かったのでした。
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