神の御業
緑癒は主神ゼスを脅し、彼の力をいつでも使えるようになった。
「ふぅ、クソ野郎! ざまぁみろですよ! 奥さんを裏切るから酷い目に遭うんです! これは、僕を見殺しにした罰です! 沢山怒られてくださいね!!!!」
緑癒は今までのゼスに対して溜まっていた怒りが爆発した。
氷月にサイレントをかけさせた理由はこの計画がうまくいったら大きな声で叫んでしまうかもと、流石に主神の悪口を聴かせるわけにはいかないと考えた結果であった。
「それでは、次の罰を実行しますか。これほどの大規模な浄化にはいくら神でさえも相当体にこたえるものです。なので! 思いっきり派手に使ってあのクソ野郎を動けなくさせましょう!」
緑癒は主神に復讐することを楽しんでいた。
緑癒は浄化範囲の土地の中央まで飛び、天に手をかざした。
「主の僕よ我に力を貸し、不浄なる土地を囲え。雷霆」
すると、雲が黒くなり、雷を大量に発し始めた。
緑癒が手を振り下ろすと、雷雲はそれに反応し、浄化する土地を囲うように落雷した。
落雷した雷は蒼白い光を放ちながら、槍のように地面に突き刺さっていた。
「範囲指定は出来ましたね。よし、やるとしましょう!」
緑癒は空中で金色の羽を大きく開き、祈りを捧げ始めた。
「雷霆起動」
地面に突き刺さり蒼白く光っていた雷の色が、浮遊し金色へと変わり、浄化する土地の範囲を光速で移動した。そして、上へ上へ浮かび上がり、緑癒のいる位置まで上がるとその場所を移動し続けていた。
緑癒は雷霆が自分の位置まで上がってきたことを確認すると、詠唱を始めた。
「神を束ねし、全知全能たる主神よ。その力を持って不浄なる土地を神の慈悲にて癒したまえ。『神の慈悲』」
緑癒の羽が普段の10倍程大きくなり、雷霆は雲へと一瞬で帰り、3秒後、雲から金色の光の柱が土地に降り注いだ。
それを見ていたスケルトン達は金色の光に包まれ、魂が浄化され、悔いもなく天へと還った。
氷月とアは紫水と灰土と一緒にアがサイレント中に作った結界の中にいた。
「うわぁあ〜!? 緑癒に殺されちゃう〜」
「大丈夫よ。あの光は浄化の光だから当たっても死ぬことはないわ。蒼白い光の時に当たったら、この私の身体は即死するわね」
「ひぇぇえええ〜、緑癒を〜、これから〜、怒らせないようにしよう〜」
「さすが、緑癒様だな」
「そういえば〜、灰土は〜、俺のこと〜、呼び捨てなのに〜、緑癒には〜、様ってつけるの〜?」
「うーん、どうしてだろうな? 先輩長として敬意を払う意味と言ったところかな。それに、他の長達にも様を付けて呼んでいるぞ」
「だけどさ〜、なんか〜、緑癒のは〜、それと少し〜、違うような気がするんだよね〜」
「そうだな、多分、俺と緑癒様の前世に関係しているんじゃないだろうか?」
「あ〜、そういえば〜、前世の〜、緑癒の〜、部下だったんだよね〜」
「そうみたいだな。それで、他の長達とは少し違うと感じたんだろう」
「納得した〜」
「ハッハー! これは凄まじいな! 後で緑癒と一戦交えたいものだ!ハッハー!」
「結界のせいで〜、氷月の〜、ハッハー!が〜、響いてるよ〜。うるさいから〜、ハッハー!やめてくれない〜?」
「響いているか? やってみよう。ハッハー!」
氷月は普段よりも大きな声で言った。
「この馬鹿!」
アは氷月の頭に拳骨した。
「イテッ!? アよ。弟を殴るなんて酷いぞ」
「自業自得だ。氷月静かにしろ。また、ア様に天に飛ばされたいか」
「それは、嫌だな。分かった。静かにしよう!」
この緑癒が放った金色の光柱は遠くにいる村の人間達にも見られ、この世の終わり、神が降臨なさった。など、金色の光柱に恐怖する者や、初めて見る光景に心躍る者など様々な反応をしていた。
王都タユタナにある王城、バーランド城では、自身の部屋で3人の女と遊んでいた第一王子バーストンが神の力を感じ取った。
「なんで、この魔力、おい、お前らもう帰れ」
女達はそそくさと部屋から退室した。
「イーヤヘルドは死んだ筈だ。なのに、この魔力。もしかして、神が降臨したか? いいや、あの神が地上にやってくることなんて絶対にないからな。だとすると、なぜ、神の魔力を感じとったんだ? もしや、イーヤヘルドが継承出来なかったスキルを誰かにやったのか? だとすると、その人間を殺さなければな」
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