転移魔法
戦いを終えスケルトン達と灰土一向は猫次郎が出した瘴気石集めに取り掛かった。
「あっちこっちに埋めちゃってますね」
「もう〜、面倒〜!緑癒〜、俺の水で辺り一体水浸しにすれば良くない〜?」
「それだと定期的にここにきて水を取り替えないと完全な浄化は出来ないですよ」
「何回ここにくれば良い〜?」
「うーん、多分、50回ほどですかね」
「めんどっ〜!!! 嫌だ〜」
「なら、掘るしかないのです!」
灰土は地面に手をつけ瘴気石を探っていた。
「こことここだな、よし、ここ一体の瘴気石を掘り起こすから、ここから離れてくれ」
「灰土〜、何するの〜?」
「俺のスキルを使えば効率的に地面から掘り起こすことができると考えてな、ちょっと地面が揺れるから紫水は緑癒様と一緒にいてくれ」
「了解〜」
「にゃ? 地面が揺れるって何するのにゃ〜」
灰土はスキル『土風岩嵐』を使用した。
地面は小刻みに揺れ、地面から瘴気石だけが浮き上がってきた。
「にゃにゃにゃ!? 地震だにゃ!? 怖いにゃ! 危ないにゃ!」
スケルトン達は地震に驚いた。
「うわっ! びっくりしたっす! 俺っち地震初めて体験したっす!」
「地震、久しぶり」
「パラディンボーン様怖いにゃ〜!!!」
猫次郎はパラディンボーンの足元に駆け寄り、パラディンボーンは猫次郎を抱っこしてあげた。
「にゃ〜、安心するにゃ〜」
猫次郎の他にもスケルトンビースト達は地震が怖くてパラディンボーンの側に集まっていた。
そして、パラディンボーンはスケルトンビースト達に囲まれてしまい身動きが取れなくなってしまった。
「にゃ〜! お前らやってくるじゃにゃい! これじゃ、身動き取れないにゃー!」
地震が収まると灰土の周りには大量の瘴気石が散らばっていた。
「これなら、早く集められるな」
「このやり方怖いにゃ〜!!!」
こうして、灰土一向とスケルトン達は5日間の瘴気石集めを完了させ、主人様とアの連絡を待った。
そして、7日目に主人様から連絡がやってきた。
「やっと! 作り終わったわよ!!! めっちゃ疲れたわ! そっちはどんな感じ?」
「主人様! こちらもこの土地の瘴気の原因を全て取り除くことができました! あとは主人様とアさんでスケルトンさん達と集めた瘴気石を全てそちらへ移動させ、この土地を浄化すればクエストクリアです!」
「じゃ、アさんがもうそろそろそっちに向かうからよろしくね!」
「はい!」
2時間後、空からある男が降ってきた。
「ハッハー!!!!! やっとだ! やっと! 漆黒の空から解放されたぞ!!!!!!」
氷月はカッコ良く着地を成功させた。
「ふぅ! ハッハー! アから話は聞いたぞ! スケルトン達を森で受け入れるとは俺様の妻も面白い事を考えたな!!!」
「氷月さん! あー、そういえば空にいたんですね」
「俺〜、氷月の事〜、忘れてたよ〜」
「そういえば、飛ばされてたな。瘴気石集めで、俺もすっかり忘れてしまっていたな。それで、氷月! 反省したんだよな!」
「そりゃ、あの何もない中、1人寂しく反省していたさ!」
すると、氷月の近くの地面が光り輝いた。
「こんな不浄な場所初めてきたわね」
光の中から美しい女性が現れた。
「なっ! 何故、アがここにいるのだ!!! 俺様が転移魔法を使えば良い話だろ!」
「あんただけに任せきれないからここに来たのよ。あんたは私の魔法の補助をしなさい。それを条件に漆黒の空から解放してあげたんでしょ」
「俺様だけで十分だ!」
「この量を運ぶのは氷月だけじゃ、無理よ。そもそも、どこに送るか知らないでしょ」
「妻の魂を感じ取れば良いだけのことだ!」
「凪ちゃんには私の転移魔法の座標としてお願いしたけど、直接彼女の側に転移させたら大惨事になる可能性があるから、彼女から20メートル程離れた場所に転移させなきゃダメなのよ。それ、氷月に出来るわけ?」
「ふん! 俺様を誰だと思っている! 魔石精霊なんだぞ! それぐらい、出来るさ!」
「私は氷月だから、心配しているのよ。今回は私の補助だから、変な事はしないように」
「変な事など俺様がするわけないだろ!」
「する可能性があるから言っているのよ!さぁ、さっさとやるわよ。今日はハチミツパンケーキだから、チェルーシルにハチミツをとられる前に帰らなきゃ!」
「アよ。おやつを食べすぎると腹が出るぞ」
「うっさいわね!」
アは氷月の腹に一撃をおみまいした。
「ぐっ、この非力な細腕にそんな力が」
氷月はなかなかのダメージを負ったみたいであった。
「ア様、よろしくお願いします」
「灰土、この馬鹿がまた暴れたらいつでも私に連絡よこしなさい。その都度私がこの馬鹿を漆黒の空に飛ばし続けてあげるわ」
「ありがとうございます」
「それじゃ、開けている場所で転移魔法を行うわ」
「はい、もう既に森へ行きたいもの達が待っています」
「段取りが早いわね! 流石! 凪ちゃんが一番信頼している男だわ」
灰土は頬が赤くなり恥ずかしそうにしていた。
「俺が主人様に一番、信頼」
「そうよ。よし、ちゃっちゃと終わらせましょう!氷月! 魔力補助しなさい!」
「俺様が一番妻に信頼されているぞ!」
「信頼されてたら監視役を灰土にお願いするわけないでしょ」
「なっ! 監視役とはなんだ!」
アは森へ行きたいと願うスケルトン達と山積みになっている瘴気石の元に行き、アは力強く地面を一回踏んだ。すると、巨大な魔法陣が展開され、スケルトンと山積みの瘴気石を一瞬で魔蟲の森に転移させた。
「ふぅ! 久しぶりの神位魔法疲れるわね!」
「殆ど俺様の魔力で魔法を起動させたな!」
「私の魔力を使いすぎちゃうと、豊穣の森の結界が弱まっちゃうんだもん。仕方ないじゃない」
「俺様は魔力だけ提供するとは聞いてないぞ!」
「さっき言ったじゃない、魔力補助お願いって」
「いや、お願いとは言われてないぞ」
「灰土、これで全員送れたかしら?」
「はい、残りの者達は緑癒様に浄化を願う者達ですので、ア様、彼らを運んでもらいありがとうございます」
「いいのよ。浄化ね、そうね。私、緑癒の浄化を見てから帰ろうかしらね」
「おや、アよ。ハチミツパンケーキを食べる為にすぐに帰るんじゃなかったのか?」
「おやつの時間まで1時間あるし、それに、神の力を見ずに帰るなんて勿体無いじゃない。私でさえ一度も見たことのない魔法なのよ」
「まぁ、それも、そうだな」
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