灰土VSパラディンボーン
灰土はパラディンボーンに話しかけた。
「すまないが、手合わせしてもらいたい」
パラディンボーンは頷くと後ろの岩に立てかけていた盾を手に取った。
灰土も左手に盾を構え、右手に剣を構え、互いに出方を伺い始めた。
やはり、隙がないな。武器の構え、足運び、やはり、パラディンボーンは俺の前世で間違いないな。スキルを使い先制すれば俺が有利になるが、俺から手合わせを願った以上、卑怯な真似はしない。そう、俺の手は一つだけ、己の鍛錬の成果を発揮するまで!
灰土が剣を盾にしまい、両手で盾を構え突進した。パラディンボーンも同じ行動をした。
ドーンッと重い鉄が力強く当たる音が辺りに鳴り響き、両者の盾と盾が何度もぶつかり合った。
骨だけなのにこの力! 筋肉がないのにその力は一体どこから出ているんだ? だが、やはり、力は互角といったところか、それなら、次は技術を試す!
両者は盾のぶつけ合いをやめて、同時に距離を置いた。
なに、俺とタイミングが同じだと。あいつも俺と同じ考えという訳なのか?
パラディンボーンは左手で盾を構え、右手で剣を構えた。そして、灰土も同じ行動をした。
「俺と同じ考えなのだな」
パラディンボーンは灰土に切り掛かった。
灰土は剣を盾で弾くと、剣を振り下ろした。そして、パラディンボーンは灰土の攻撃を盾で弾き、また剣を振り下ろした。
力、技術が同じだな。こうなれば、あとは読み合いを制した者が勝つが、相手も俺と同じ考えならば、これは、体力勝負と言ったところか。
何度か攻防を繰り返し、また2人は距離を取り盾を地面に突き刺し、両手で剣を構えた。
その様子を遠くから見ていた猫次郎と緑癒、紫水はこの戦いを見て驚いていた。
「にゃ〜! パラディンボーン様〜!頑張れにゃ〜!!! パラディンボーン様と渡り合えるなんてあいつ凄いにゃ〜」
「まるで、鏡の自分を相手にしているようですね」
「これじゃあ〜、決着つきそうにないじゃん〜」
「おや、次は剣での勝負ですかね」
そして、灰土とパラディンボーンは剣術勝負となったが、読み合いを繰り広げたが、同じ思考の為相手を出し抜く事が出来ずにいた。
くっ、ここまで同じとは、やはり、相手もこれは体力勝負と分かっているな。だが、そうなると生身の俺は不利でスケルトンである相手の方が有利。ん? 骨か、ならば、俺が勝てる唯一の勝ち筋はこれしかないんじゃないか。
灰土は解決策を閃き、実行に移した。
パラディンボーンは灰土の攻撃の威力が高くなり、攻撃パターンも少し変わったのを感じ取り、相手の出方を考えたが、彼が何をしたいのが分からずにいた。だが、体力勝負である以上、自信が有利な事は変わらないと考えたいた。むしろ、このペースだと1日はかからず勝負は決着すると考えた。
「おや、灰土さんの動きが変わりましたね」
「にゃ〜、いつになったら決着つくのかにゃ〜。かれこれ、3時間は戦っているじゃにゃいか〜」
「俺〜、眠くなってきちゃったよ〜」
「紫水、灰土さんが戦っているのですから寝ないでください!」
「無理〜、眠い〜。終わりそうになったら起こして〜」
「寝ないでくださいってば!!!」
「寝たにゃ〜ね。俺も少しだけ寝ようかにゃ〜」
紫水が眠気に勝てずに水を布団の形に変えてその場で眠り始め、猫次郎はそんな紫水の布団に乗って2人は仲良く眠り始めた。
「もう、僕だけでも見届けますか」
それから、5時間後、計8時間もの間、灰土とパラディンボーンは攻防を繰り広げ続けていた。
「爆睡しちゃったにゃ〜。勝負は〜。まだ戦ってるにゃ〜!?」
「猫次郎、戦い、見届ける、と俺に言った、くせに、寝てる」
「俺っちは観戦間に合って良かったぁ」
ウィザードスケルトンとスケルトンワイバーンは戻ってきていた。
「ウィザードスケルトンとスケルトンワイバーン戻ってきたのかにゃ〜おかえりだにゃ〜」
「呑気な、奴だな」
「そのプニプニしたの気持ちよさそうっすね! いいなー、俺もプニプニしたの触ってみたい!」
「ん〜? 触ってみる〜?」
「いいんすっか! おー!!!! 柔らかい! カストル! めっちゃ柔っすよ!」
「めっちゃ、柔、俺、触ってみたい」
「いいよ〜。あ〜、それじゃあ〜、椅子にするから〜、座って観戦しようか〜」
紫水は水を椅子の姿に変えた。
「おー!!!! めっちゃプニ! 柔っ!すね!」
「めっちゃ、プニ、柔、良い、だが、尻が、ピリピリ」
「俺っちも触れているところが少しだけピリピリするっすね? なんでっすかね?」
「それは、紫水の水には浄化の力がありますからね」
「だからかにゃ〜、体がピリピリするにゃ〜って思ってたら浄化されかけてたのかにゃ〜。ん〜?という事はにゃ〜、寝ている間俺、浄化されかけてたのかにゃ〜。浄化されにゃくて良かったにゃ〜」
そして、灰土の体力が限界を迎え始め、パラディンボーンの攻撃を捌き切れ無くなってきていた。
くそっ、俺の考えよりも俺の体が先に限界をきたか、俺は負けるのか、悔しいな………。いや、まだだ! 俺ならまだ戦える!!!
灰土は限界を迎えた体を鼓舞した。
パラディンボーンは自信が勝ちを確信した瞬間、左腕が砕けた。
長い時間、強烈な振動を与え続けられパラディンボーンの左腕は疲弊していたのだ。
「ここだ!!!!!」
体制を崩したパラディンボーンに灰土は猛攻を与え、パラディンボーンは右腕だけでは攻撃を捌くことが出来ずに灰土とパラディンボーンの勝負は灰土が勝利した。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。




