学校初日
ついに凪はムシムシ学校を開校した。
庭のど真ん中にホワイトボードを置き、生徒になった虫達には机が並べられて名前の札が置かれた机に座っていた。だが、一つ席が空いており、その席のDJはムシムシレースの実況のため欠席をしていた。
「ムシムシ学校で決まりね!」
ホワイトボードには他にも学校名が書かれていた。
「ダサくないか?」
「黒常! 主人様が決めた名前をダサいわけないじゃないですか!!! 主人様! ムシムシ学校素敵ですー!」
「ごはん? ごっはんごはん」
「ヒャァッハァー。ヒャッハァ?」
キャサリンと狂子が出した学校名はヒャッハァ学校とごはん学校と書かれていた。
「私の学校名の方が素敵だと思うんだけど」
「まぁまぁ、主人様の学校なのですから」
「拙者のスーパー忍里学校が投票1票だけ。拙者の学校名の方がカッコいいのに!!!」
「それなら、僕のトレジャーハンター学校の方が浪漫があってカッコいいですよ」
「トラップスクールはダメでしたか」
「よし、次は貴方達の学力がどのぐらいなのかテストするわね」
「テスト?」
「そうよ、それじゃあ一人ずつ4枚の紙を配るから鉛筆で答えてね」
「はーい! 真白テスト頑張ります!」
「真白テストって何するんだ?」
「分からないけど、やってみよう!」
「分からんのかい!」
紙が配られ、虫達はその紙に書かれている文字を見た。
「主人様! 真白、分からなかったら主人様に聞いてもいいですか!」
「ダメよ。その紙に書かれている問題を自分の知識の中で答えてほしいわ」
「ごはん、ごはん」
「凪ティーチャー、ハァーニィーが鉛筆も出ませんって言ってます」
「キャサリンにも持てる様に特別な鉛筆を作っておいたから、持ってみて」
「ごはん?」
キャサリンは手の先端に鉛筆を当てると、鉛筆が浮遊してキャサリンの手の動きに反応して動き始めた。
「ごはん!!!! ごっはーーーん!!!」
「ハァーニィー鉛筆待ててよかったね」
「ごはん!!!!」
「私にはこの問題簡単すぎるわよ」
「アさん専用の問題を作る時間がなかったので、アさんはテスト参加しなくても大丈夫ですよ」
「それは、嫌よ。せっかく生徒になったんだし、このぐらい5分あれば終わるわ」
「それじゃあ、制限時間は1時間! この砂時計の砂が落ち切るまでに紙に書かれてある問題の答えを紙に書いてね。それでは、テスト開始!!! あっ、周りに人に迷惑をかけない様に話す事は禁止だからね」
「ヒャッハァー!」
「ごはん!」
「話すのは禁止だって主人様が言ってましたよ。あっ、私も話しちゃった!」
そして、テストの問題を解き始めた。
アは3分で全問解き終わり、凪はアだけ先に採点をした。
「嘘、間違えてる。てか、一つずつズレて答えてる」
「そんな、バカなことある?」
アは採点されたテスト用紙を貰い確認した。
「嘘、私、間違えてるわ」
「まぁ、ズレてなかったら90点なので」
「魔石精霊であるこの私が90点!?」
「ほら、ここの掛け算間違えてます」
「1995×42=83785? あれ? 5×2が10だから下1桁はゼロのはずなのに、どうしてこんな間違いしてるの?」
「私に聞かれても、テスト中だったアさんにしか分からないですよ」
「てか、この計算、あの子達には難しいんじゃない?」
アと凪が話していると、ヤングがテスト用紙を持ってきた。
「終わりました」
「もう?まだ、10分しか経ってないわよ」
「はい、終わったので提出に来ました」
「採点するわね」
凪がヤングのテストの採点を終えると。
「満点だわ。最後の掛け算は絶対に答えられないと思ってたのに、ヤング凄いわね」
「ふっ、罠を作るのでしたら計算が得意でないといけませんからね」
「この子賢かったのね」
「ア様も当然満点ですよね」
「あー、それは、ねぇ」
ヤングがアのテスト用紙を見た。
「おや、あー、その、ズレてなかったら90点でしたね!」
「悔しいいいいい!!!!!」
その他の生徒はテスト問題に悪戦苦闘していた。
真白は足し算と引き算は自分の足の数を使って答えていたが、掛け算になった途端足が足らずに計算できなくなってしまっていた。
黒常は足し算引き算掛け算を簡単に解いていたが、
最後の掛け算に苦戦していた。
七福は漢字の読み書きは良かったが、計算が苦手であった。
ミハエルはテスト用紙に問題とは全く違う主人様に向けてラブレターをびっしりと書いていた。
シャドウは漢字の読み書きはできていたが、自分の名前の欄にシャドウを漢字に変換しようと考え、釈導や赦堂など、名前欄に自分が思い浮かぶ名前を書いていた。
桑胡は問題すらわからない状態で、鉛筆で丸や線を書いていた。
狂子も桑胡と同じであったが、足し算は一問だけ答えられていた。
キャサリンは真面目に問題を解いていたが、40分が経過した時お腹が減ってしまい、主人様に必死にお腹が減ったアピールをした。
「キャサリンお腹減っちゃったのね。テスト中だけど、キャサリンは特別におやつ食べていいわよ」
「ごはん! ごはんごっはん!!!」
キャサリンは嬉しそうにおやつを貰い食べ始めた。
1時間が経過してテスト用紙を回収して凪は採点を始めた。
そして、採点が終わり、凪はそれぞれに点数を伝えた。
「真白は国語が得意なのね」
「主人様に褒められた! 真白うれしいです!」
「黒常はやっぱりこの掛け算に苦戦したとみた!」
「あの問題だけ難易度高過ぎるだろ!」
「七福も国語が得意だけど、算数は答えられてないわね」
「数字みると頭が痛くなって」
「分かるわそれ」
「シャドウはこの漢字いつ覚えたの?」
「昨日夜分にお借りした漢字辞典を暗記したので! まぁ! 拙者! スーパー忍者なので! 暗記は得意なのでござる!」
「良く覚えられたわね。でも、テストの問題を解きなさいよね」
「で、ミハエル! 満点だけど、ラブレターはいらなかったわよ」
「そんなことないです。アルジィ様に僕のこの思いをラブレターとして伝えたかったのです!」
「ミハエル、貴方、いつかキャサリンに食われるわよ」
「桑胡はまだテスト自体が早かったわね。これからゆっくり学ましょうね」
「何も出来なくてごめんなさい」
「怒ってないわよ。どのぐらいの学力なのか知りたかっただけだからね」
「ヒャッハァー!」
「狂子も桑胡と一緒に学ましょうね。でも、この漢字の一は良く書けていたわよ」
「ヒャッハァ!!!!」
漢字の一に赤丸が書かれていた狂子は嬉しくなり、採点されたテスト用紙を大切に抱きしめた。
「キャサリン、ビックリだわ。達筆だし、問題も答えられているわ。やっぱり、算数の最後の問題が難しかったみたいだけど、他は満点よ」
「ごはん!」
「ヒャッハァ!? ヒャッハ! ヒャッハ!」
キャサリンは狂子にテストの自慢をした。
「今日はこの辺で終わりにしましょうか。明日から本格的に授業を始めるからね。今日は解散!」
「ヒャッハァー!」
「ごはん、ごはん」
狂子とキャサリンは仲良く女子寮に戻り。
「ア様、私に勉強を教えてください!せめて、文字の書き方を知りたいんです!」
「いいわよ」
「ありがとうございます!」
桑胡はアから文字の読み書きを教わり始めた。
「真白、この計算は間違えているぞ」
「まさか、黒常が頭いいなんて」
「ヤングほどじゃないけどな」
「ヤングさんこの数字の問題はどうやって解けばいいんですか?」
「それはですね」
七福はヤングに数字の問題の解き方を教わっていた。
「拙者!も仲間に入れてほしいでごさる!!!」
七福とヤングの仲間にシャドウも加わったのでした。
そして、凪は採点結果を踏まえて生徒達の教育方針を考え、それぞれの実力に合わせたドリルを作成した。
「想像生成便利よね。このぐらいのレベルのドリルが欲しなって思ったらすぐに作り出してれるんだもん。このスキルがあって、本当に良かったわ」
こうして、ムシムシ学校の生徒達の学校生活が始まったのでした。
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