生徒を集めよう! 後編
凪の生徒集めは終わり、居間で彼等に渡すカリキュラムを考えていた。
「みんな一緒でいいわよね。あー、こういうのめんどくさい!でも、私が言い出した事だし、藍介に助けてもらうなんてダメよね。よっしゃぁ!やってみせるぞー!!!」
その頃、生徒は皆集まり軽い自己紹介を済ませていた。
庭で男性陣で集まり雑談をしていた。
「シャドウさん、何処にいるのか分からなかったです!」
「ふっ、拙者! スーパー忍者にて!」
「さっきまで俺って言ってたくせに、主人様に教えてもらってから常にこれだな」
「拙者!スーパー忍者なので!」
「僕だって! スーパートレジャーハンターなので!」
「私はスーパー罠氏ですね!」
「それなら、私はスーパーMCになるのかな?」
「それなら、真白は、スーパー主人様大好き!で!」
「真白、それは意味が分からんぞ」
「なら、俺はスーパー愛の伝統師だね」
「いや、ミハエルはスーパーナンパ師だろ」
「少しは懲りた方がいいと思いますよ」
「そんな事ないさ!愛らしいハァーニィー達に愛を囁く事こそが俺の使命なのさ!」
「うわー」
「ミハエルさんいつか食われますよ」
その様子を見ていた女性陣達もまた雑談をしていた。
「まぁまぁ、皆さん楽しんでおられますね」
「ごはん!」
「ヒャッハァー!」
「ねぇ、まともに会話できるの貴方しかいないじゃない」
「ヒャッハァ?」
「ごはん?」
キャサリンと狂子は首を傾げた。
「キャサリンと狂子は何故か互いの言うことを理解できるのよね?」
「ヒャッハァ!」
「ごーはーん!」
「でもね、私達にはヒャッハァとごはんしか聞こえないのよ!」
キャサリンと狂子は驚いていた。
「いや、驚く所じゃないのよ。この2人は人間の事を知っても意味ないんじゃないかしら?」
「ア様、そ、そんな事ないですよ! キャサリンさんと狂子ちゃんだって真面目に勉強すると思います!」
「ヒャッハァ」
「ごはん」
キャサリンと狂子は桑胡を抱きしめた。
「ぎゃぁぁぁ!!? 食われるぅうう!!!?!?」
驚いた桑胡は羽ばたき2人から逃げてしまった。
「ヒャッハァァア」
「ごぉはん」
取り残された二人は寂しそうに桑胡を見ていた。
「あっ、その、ごめんなさい。ほら、私の種族は弱いので、強い種族の方に抱きつかれると、逃げたくなっちゃうんです。ごめんなさい」
「ヒャッハァー!」
「ごはん、ごはん!」
キャサリンと狂子は降りてきた桑胡に抱きついた。
「怖くない、怖くない、ひぃぃいい、こ、こ、怖くない」
「この様子で大丈夫なのかしら?」
そして、凪は考えた結果、まず最初に数学と国語を教えることにした。
「数学と国語さえ出来れば本も読めるようになるし、お金の勘定もできるようになるわね。小学生の頃思い出すな、漢字ドリルとか数学ドリルとかやったわよね」
凪は人数分の数学のドリルと漢字ドリルを想像生成で作成した。
そして、庭にいる生徒に会いに向かった。
「みんな!仲良くなったかな!」
庭では男性陣と女性陣がそれぞれ雑談で盛り上がり、凪の声が聞こえていない様子だった。
「あら、盛り上がってるのに水を差すことは出来ないわね」
凪は一度居間に戻り、頭を使ったので甘いものを食べて脳に栄養を与えた。
その日は顔合わせだけで解散し、家に住む者は庭に専用の寮を作ってあげた。それぞれの部屋に、名前が書かれた札が準備されていた。
「主人様と同居!最高! あれ?真白の部屋が何処にもない?」
「俺達もいるけどな、そもそも、別に家なんだから同居じゃないよな?」
「拙者! の部屋は和室で!」
「私は、狭い部屋でいいですよ」
「防音が整っている部屋がいいな」
「僕は藍介さんの家に住んでいるのでそれでは! 夜ご飯を食べに行かなきゃ!」
「ハァーニィーと別居だって!? それってつまり、他の女の子を呼んでもバレないって事だよね!」
「おい、ミハエル、女を連れてきたら俺が締め出すから覚悟しておけよ」
「そんな、黒常だって女の子呼ぼうとか思ってたでしょ」
「てか、真白の部屋は何処なんだ?」
「あっ、話ずらした」
真白の部屋は寮を探しても見つからなかった。
「どうして、真白だけ部屋が無いの! もしかして、真白だけ野宿!?」
「そんな、事はないだろ」
すると、桑胡が男子寮を訪ねてきた。
「あのぉ、真白さん、真白さんは女子寮みたいです」
「え? 真白、女子寮なの?」
「そうみたいです。主人様に確認を取ったら真白はこっちでしょって」
「主人様、男子寮定員オーバーだから真白が女子寮に行くことになったんだね。まぁ、このメンツだと、真白がまともだから仕方ないか!」
「いや、おかしいだろ、主人様勘違いしてるんじゃないか?」
「何を勘違いするのさ、主人様は真白を信頼しているから女子寮でも安心して暮らせるって考えてくれたんじゃない? それじゃ、黒常!みんな! 真白は女子寮に行ってくるね!」
「そんな、俺だってそっちに行きたい!」
「むさ苦しい男ばかりは嫌です! ハァーニィー達に囲まれて暮らしたい!」
「他の方は名前がないのでダメです。それでは、真白さん行きますよ」
「はぁーい。それじゃあね!」
真白は桑胡と一緒に女子寮へ向かった。
「何であいつだけ女子寮なんだよ」
「さぁ、主人様にも何かお考えがあっての事なのではないですか?」
そして、これから勉強漬けの毎日となる事を知らずに、生徒となった虫達は新しい生活に胸を膨らませて夜を過ごしたのでした。
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