一方、主人様は 前編
藍介と合流した洞窟の長達は人間の国で、それぞれ活動していた。一方、主人様はと言うと。
居間で1人お茶を飲みながら寛いでいた。
「あ〜〜、ラヒートさんお茶お願い〜」
「かしこまりました」
凪は暇をしていた。たまに藍介に作って欲しいアイテムのリクエストはあるが、それ以外が何もなく、ただぐうだらと日々を過ごしていた。
何もやる事無いわね〜。スパイ道具作り楽しかったけどさ、手伝ってあげられる事はこれぐらいだし、私の像が欲しいって言われたけど、私を神様として崇めるとか何とか言ってたし、神々しい像を作ろうとしたら、普段の主人様でお願いしますだって、それにしても、暇ね〜。像、適当に作ろうかな?
「主人様! 主人様! 見てくださいでやんす!」
「ん? サンザイどうしたのよ?」
庭でサンザイが小さな車の前でピョンピョンと飛び跳ねてアピールしていた。
「主人様! 見ててくださいでやんす! とぅっ!」
サンザイはピョンッと飛び跳ねながら、車に乗車した。
「どうでやんす! この乗り方! かっこいいでやんすよね!!!」
サンザイは自分だけの車を貰ってからずっと、車のかっこいい乗り方や運転の仕方を考え続け、良いアイデアが浮かんだらその都度主人様に見せていた。
「サンザイ、車、気に入ってるのね」
「当然でやんす!!! 凄くカッコよくて自慢の愛車でやんす!!! あっ、でも、少し不満がありまして、ムシムシレースに出る際、スピードが遅すぎて常にビリでやんす。ムシムシレースに勝てる速度にして欲しいでやんす!!!」
「あなたの場合八百長するからって、白桜に言われちゃったのよね。だから、今のままのスピードで丁度いいのよ」
「そんなぁでやんすぅ〜。ちぇっ、白桜様に後で復讐するでやんす」
「白桜にちょっかいだすのは良いけどやり過ぎちゃダメよ。かえって返り討ちにされちゃったら意味ないじゃない」
「そうでやんすけど、あっ、そうそう、白桜様がやっと屋敷を決めたとかなんか言っていたでやんすよ」
「へぇー、やっと決まったのね。藍介が嘆いてたわよ。いつになったら決まるんだって、屋敷を探すよりも建てた方が早いんじゃないかとか言い始めてたわね」
「あっしもそっちの方が楽だと思うでやんす。白桜様はこだわりが強過ぎて、相手にするの面倒でやんすからね!」
「白桜がそばにいないからって言いたい放題ね。あまりここで言わない方がいいわよ。他の子達が白桜にさっきの話、伝えちゃう可能性があるわよ」
「んな、馬鹿なでやんす」
すると、白桜から主人様に連絡が来た。
「主人様! やっと! あたしが考える最高の屋敷を見つけました!!! で、洞窟にいるあたしのど、おっと、従業員達を全員呼びたいの!」
「決まったのね。おめでとう、全員呼ぶのは難しいと思うわよ」
「そうですよね。あっ、そうそう、主人様の近くにサンザイがいますか?」
サンザイは小声で主人様にうったえた。
「主人様、あっしはいないと言って欲しいでやんす!」
凪はサンザイのアピールを無視した。
「サンザイならいるわよ」
「わぁぁぁああ!? 主人様!? どうして言っちゃうでやんすかぁぁあ!!!」
「やっぱりいたわね。サンザイ!!! 」
「ひぃぃいいいい!?」
「主人様すみませんが、サンザイと2人だけで話がしたいです」
「えぇ、良いわよ」
凪は庭に出て連絡様の水晶をサンザイの前に置き、暇だから、銀次とオセロをしようと魔蟲の森へ向かった。
「そんなぁ!主人様行かないでやんす!!! あぁあ! 行っちゃったでやんすぅ」
凪はムカデバスのあけぼのに乗り、森まで運んでもらった。
「あけぼのありがとうね」
あけぼのは虫時代の紫水と同じくらいのサイズで、他の虫達が祈りを捧げるのに、5層目の協会へ向かう際、行くのにも時間がかかり、毒エリアなどもあり危険な為、強い虫が率先して弱い虫達を運んであげているのであった。
「いえ、主人様に乗ってもらえるなんて光栄です」
乗客の虫達は主人様が乗り込んだことで主人様を拝み始めた。
「主人様だ!!!」
「ありがたや〜、ありがたや〜」
「あたし自慢しちゃっおーと!」
「ナマ主人様やば!」
そして、あけぼのは走り出し、終点の魔蟲の森についたのでした。
「あけぼのありがとうね! ムシムシレース楽しみにしてるわよ」
「ありがとうございます! 次回も優勝狙います!」
あけぼのはムシムシレースで何度か優勝した経験があるのであった。
「銀次はいつもの切り株にいるわよね?」
主人様はよくボードゲームで遊んでいる切り株へ向かったのでした。
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