奴隷オークション 中編
奴隷オークションでの商品として運ばれたライネルとネルガルはそれぞれ別の場所で待機していた。
そして、首輪の亜空間に収納されている主人様特製スパイ道具『どこでも聴こえる君』と『どこでも話せる君』のおかげでライネルとネルガルは離れていても互いに会話する事が出来らのであった。
「凪さん凄いよな、首輪の中から取り出さなくても使えるなんてな」
ネルガルがライネルに話しかけた。
「でも、使えるのはこの2つだけだろ、残りのは出さねぇと使えねぇからな」
「ライネルと話せるだけでも十分だろ」
「まぁな、そんで、俺は次に出品されるみてぇだな」
「ライネル頑張れよ」
「そうだ、俺がいくらで売られるか賭けてみねぇか?」
「面白そうだな、よし、俺だったら金貨5枚!」
「おい! 俺はそんな安くはねぇぞ!!!」
「じゃあ、ライネルは自分の価値はどのぐらいだと考えてるんだ?」
「そりゃあ、そうだな、金貨35枚だな!」
「おいおい、そんなに高いわけないだろ」
「俺は副隊長クラスだぜ、ネルガルよりも俺の方が有能だからな!」
「それは、凪さんの言い分だろ! 実際は俺の方が隊長なんだから、俺の方が有能だってことだな!」
「どうだが、そんじゃ! 行ってくるぜ!!!」
「そうそう、賭けで負けたら罰ゲームな」
「マジかよ、まっ、俺の方が余裕で勝てるな」
その後、ライネルの声が聞こえなくなった。
その間、ネルガルは移動して、水槽の中に入れられた。
目隠しされながら水の中入るって、実家の修行以来だな、懐かしいな、五感を研ぎ澄ませとか、言われたっけ、とネルガルが懐かしんでいると、ライネルから連絡が来た。
「ネルガル、お前の落札が終わってから報告でいいか」
何故かライネルは落ち込んでいた。
「ん? どうしたんだ? 何かあったのか? もしかして!? 標的に落札してもらえなかったのか!?」
「あ、それも、何だけどよぉ。今は話したくねぇからネルガルの落札が終わったら話すわ」
「お、おう、分かった。俺は今、水の中に入れられたから、多分もうそろそろ出番なんじゃないかな」
「そうか、頑張れよ」
目隠しで何も見えないネルガルだが、水が動き始めたのを感じ、自分が移動している事を知った。
あと少しで俺の出番かな。
すると、知らない男の声が聞こえた。
「続きまして! 今回の目玉商品となります! 入手困難奴隷! 魚人族の奴隷でございます!」
ネルガルが入った水槽が会場に現れると観客達は歓声を上げた。
「それでは、金貨100枚からになります!」
そして、ネルガルを落札したい貴族達は値を売上続けた。
「おっと! 金貨1020枚! 1020枚です!他にいませんか!」
「1200枚」
「おぉおー!!!! 1200です! 金貨1200枚が出ました!!! 他にはいませんか、それでしたら、金貨1200枚で落札」
「1500枚!!!」
「なんと!金貨1500枚です! 今回、競りでの最高価格となります! さぁ!金貨1500枚! 金貨1500枚で、落札でよろしいでしょうか!」
そして、ネルガルは金貨1500枚という歴代の奴隷オークションでの最高価格で落札されたのでした。
うわっ! マジか!俺金貨1500枚ってよ、凄いな。いやでも、この状態だと標的に落札されたかわからないよな? 変な所に落札されてたら嫌だな。そうだ、ライネルに伝えてやらないとな! 俺が勝ったのは確定してるが、ライネルの落札価格知りたいしな!
「ライネル!落札終わったぜ! 俺金貨1500枚だってよ凄いよな」
「はぁっ!? せんっ! 1500枚だって!? うわっ、マジかよ。やべぇな」
「だろ! で、ライネルの落札価格はいくらだったんだ?」
ライネルは小声で話した。
「金貨2枚」
「え? なんか小さくて聞こえなかったけど、いくらなんだ?」
「金貨!!! 2枚だよ!!! くそぉが!!! しかも落札してくれたのはアンナさんなんだよ!!!」
「ぷっはぁぁぁぁー!!!! マジかよ!!! でも、待てよ、アンナさんに落札されたって事は、ライネルは任務参加出来ないじゃねぇか!!!」
「いや、それがよ。アンナさんのおかげで一応、標的の所で仕事出来るようになったんだがよぉ。俺、つれぇぜ。俺のサポートをしてくれたって事だがよぉ。金貨2枚が、タダで行く事になったんだよ」
「え? それって、つまり、金貨0枚って事か?」
「結果そうなったんだよぉ!!!!」
こうして、ネルガルとライネルは無事に標的であるナバン家に潜入する事が出来たのでした。
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