ライネルとネルガル 藍介からの任務
花茶のライブも成功で終わり、その次の日の朝、ライネルとネルガルは藍介に呼び出され彼の自室へ向かった。
「あんな恥ずかしい思いしたっていうのにまだ呼び出されるのかよ」
「ライブ出ただけじゃダメだったって事かもな」
ライネルは藍介の部屋のドアを軽く叩いた。
「入ってきてください」
「失礼しまーす」
藍介の部屋は綺麗に整頓されているが、机の上には書類の山が出来ていた。
「ライネル、ネルガルには花茶の護衛をやめてもらいます」
「おいおい! 主人さんに言われて花茶の護衛をしてるっていうのに藍介さんが勝手に決めていいのかよ!」
「護衛できなきゃ意味がないでしょ。花茶の護衛には白桜と紅姫さんにお願いしてます。彼女達の方が貴方達より信頼できますからね。それで、です。二人には新たな仕事、いや、任務をお願いしたい」
「任務、藍介さん俺達は何をやればいいんだ?」
「二人は花茶の奴隷としてこの国に入国しました。なので、これから二人にはスパイ活動をしてもらいます」
「おー! 潜入調査ってことか!」
「花茶の護衛よりマシなのがきやがったな!」
「えぇ、なので、二人はこれから、奴隷オークションに参加してもらい、標的となる貴族の屋敷に奴隷として忍び込んでもらいます」
「でもよ、その標的の貴族が俺かネルガルを買わなきゃ意味ねぇんじゃねぇか?」
「それは、ご安心ください。ライネルさんはともかく、ネルガルさんは魚人族、奴隷の中でも大変珍しく、今回参加する奴隷オークションの目玉になりますからね。私が標的としている貴族の方は、奴隷を使い自分の立場を固めようとする頃合いですから、ネルガルさんを購入するために全財産を賭ける勢いで貴方を購入すると思いますね」
「奴隷を使って立場を固める? 奴隷は労働力として使うんだろ?」
「現在、この国では奴隷は3種類に分類され、ネルガルさんがいうように労働力として使われる奴隷が大半です。次に性奴隷、そして、ネルガルさんは鑑賞用の奴隷となりますね」
「鑑賞用?」
「珍しい奴隷を所有している貴族はパーティーなどでその奴隷を見世物にするのです。まぁ、自分はこんなに珍しい奴隷を所有している。つまり、それ程の財力があると見せつける事が出来るのですよ」
「人間ってそういう所がめんどくさいよな」
「って、事は、俺は見世物になるって事か!」
「その通り、ライネルさんは何処の貴族に買われるか分かりませんか、一応、保険としてオークションに参加してたらいます。変な所に買われてしまったら、私が買いとってあげますね」
「それじゃあ、俺は参加する必要ないんじゃねぇか?」
「出来れば二人とも同じ所で買ってもらえれば助かるんですけどね。それは、オークションが始まらない限り分かりませんし、あぁ、私も参加しますので安心してくださいね」
「安心できるか!!! ネルガルはともかく、俺は変な所に変われる可能性があるってぇ事だよなぁ! そんなら、ネルガルだけに任せればいいじゃねぇかよ!」
「えぇ、当初の私の考えでは、ネルガルさんだけに任せたいなと考えていましたが、ネルガルさんはたまにポンコツな面があるので、ライネルさんにそのポンコツ面をカバーしてもらえないかと考えましてね。まぁ!ライネルさんの場合は買ってもらえるのかによりますけどね!」
「ポンコツだってよ、ネルガル!!! まぁ、ここん所、ポンコツだったよなぁ!」
「藍介さん!あんまりですよ!俺の方がライネルより遥かに有能ですって!」
「いえ、主人様とこの計画をお話した際、ネルガルはたまにポンコツになるから出来ればライネルも参加させた方がいいんじゃないって仰ってましたね」
「凪さん!!!俺そんなにポンコツだったのか!」
ライネルはたまらず吹き出しながら、大爆笑していた。
「ネルガル、ざまぁねぇな!!!」
「ふざけんなよ!!!」
爆笑するライネルをネルガルは叩くと二人は喧嘩を始めた。
「あーあ、この二人で大丈夫ですかね?」
藍介は二人が気が済むまで二人の喧嘩を観戦していたのでした。
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