花茶の大冒険! 後編
手枷を素手で破壊し、子供達を解放するために花茶は考えていた。
どうしたら馬車から降りせるかな? うーん、このまま飛び降りてもらう? 花茶なら余裕だけど、この子達は弱いから危ないかも! でも、そうなると、うーん、そうだ! 飛び降りても痛くないようにすればいいんだね! そうなれば!
「みんな! 今から馬車から飛び降りるよ!」
「走っているのに飛び降りるなんて危ないよ」
「あたし怖い」
子供達は怖がっていた。
そうか、怖いか。花茶なら、怖い時は、そうだ! フカフカな草を沢山だしたら危なくないよね!
「怖くないよ! ほら! みて!」
花茶が馬車のドアを開くと、走る馬車の後を草花が追いかけながら咲き乱れていた。
「うわー! すごい!」
「この草さんはフカフカだから、降りても大丈夫だよ!」
子供達は勇気を出して馬車から飛び降りた。そして、時は戻り、花茶はライネルとネルガルと合流したのであった。
「おい!花茶!!! 降りてこい!!!」
花茶はライネルに気付くと手を振った。
「おーい! ライネルお兄ちゃん! この馬車悪い人が乗ってるから花茶がやっつけてくるね!」
「それは、俺に任せて降りて」
「花茶はさいきょー!!!!! 百花奏乱!!!」
草花がより一層咲き始め、音楽を奏で始めたのでした。
蔦が馬車の車輪に絡まり、車輪を破壊し、馬車は体勢を崩して横転した。
花茶はその瞬間、飛び降り、御者の男2人は馬車から投げ出されたが、草のお陰で大事には至らなかったが、そこからが大変であった。
「花茶はさいきょー!!!」
奇妙な形の花が男達を取り囲むように咲き、そして、葉の部分で男達をパンチを繰り出した。
パンチの威力は成人男性並みの力であり、2人の男はたまらず、花を引っこ抜こうとするが、花は引っこ抜かれまいと全ての葉を使い男達を殴り始めた。
「くそぉ! なんなんだよこの花は!!!」
「いってぇ、花のくせに、この!!!!」
「花茶のお花さんだもん! さいきょーに決まってるじゃん!!!」
ライネルは渾身の一撃を誘拐犯の2人の顔面に喰らわした。
「てめぇら許しさねぇぞ!!!」
「ぶぇはっぁっ!?」
誘拐犯の2人はその場で倒れた。
「あー! 花茶が戦ってたのに! ライネルお兄ちゃんずるいよ!」
「ずるいも何もねぇ! 花茶! 俺から離れるなって言ったよな!!!」
「違うよ、ライネルお兄ちゃんが花茶から離れたんでしょ」
「あのな、まぁいいか、無事だったみてぇだしな」
「花茶はさいきょー! だからね!」
「おーい! 子供達全員保護したぞ!」
ネルガルが波を作り出し、7人の子供達は浮き輪で波の流れる方向へ向かってぷかぷかと進んでいた。
「楽しそう! 花茶も浮かんでみたい!」
「そうか? にしても、俺ら絶対に藍介さんに怒られるよな」
「怒られるのは確定だよな。何言われるんだろうな」
「どうしたの? お兄ちゃんは怒っても優しいよ!」
「それは花茶限定でだな。腹括るしかねぇよな」
そして、花茶とライネル、ネルガルは黄結姫に連絡をして迎えを呼び、子供達は『ヤドリギ』で保護することが決まった。
「この子達の家族を探さないの?」
「一旦預けて身元を確認しなきゃいけねぇんじゃねぇか?」
「見つかるまで時間がかかると思うからな、安全な場所で保護してあげたほうが、この子達の安全に繋がると思うぞ」
「そうか、花茶決めた! ファーストライブはヤドリギで歌う! だから、ライネルお兄ちゃんとネルガルお兄ちゃん手伝ってね!」
「おうよ!」
「何するか俺には分からないけど、やれる事はやってやるぜ」
すると、藍介を乗せた馬車が猛スピードで花茶達の元へ向かってきていた。
「花茶ー!!!!!! かぁぁぁぁあああちちゃぁぁぁああああ!!!!!」
「お兄ちゃん!!!」
藍介が花茶達の元に着く前に空から灰土と緑癒が降りてきた。
「花茶ちゃん! 大丈夫だったか!」
「花茶ちゃん! 1人で危ない事しちゃメッ!ですよ!」
「糸吹きさんと緑癒お兄ちゃんだ! 花茶悪いやつ倒したんだよ!」
藍介が到着すると、藍介は花茶を力一杯抱きしめた。
「花茶!!!! もう、心配したんですからねええ!!」
「お兄ちゃん! 花茶! 悪いやつやっつけたんだよ!」
「花茶! これからは絶対に一人で勝手に外に出ない事を誓ってください」
「えー! どうして!」
「どうしてもです! 花茶わかりましたね」
「ふぇーえ、わかったよぉ」
花茶は藍介に怒られ、反省した。
「で、ライネルとネルガル、後で話をするので私の部屋に来てくださいね」
「藍介さんすまねぇ! 俺が花茶から目を離さなきゃこんな事にならなかったのに」
「今は謝罪はいりません。花茶を無事に見つけ出せましたから」
その後、藍介は子供達と花茶を馬車に乗せてヤドリギへ向かい、子供達を保護したのであった。
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