迷子の花茶
ギルドでの一件が解決した藍介は白桜と一緒に屋敷探しをする為にギルドから出ようとした時であった。
藍介の元に黄結姫から思念が送られてきた。
『藍介さん! 藍介さん! 大変です! 花茶ちゃんが街から離れてしまっているんです!!!』
『え? 花茶が街から離れているですって!?』
『それが、花茶ちゃんと一緒に出かけたライネルとネルガルから花茶ちゃんの居場所を調べて欲しいと連絡が来たんですよ。それで、私、花茶ちゃんの思念を追ったら街から出てしまっているの!!! それで、私、花茶ちゃんに思念を送ってら、花茶ちゃんから返事が来ないんです!!! どうしましょう!』
『黄結姫さん落ち着いたください。花茶の居場所を教えてもらえませんか』
『えーと、それが、あ! 止まりました! 花茶ちゃんに話しかけてみます!!!』
『だから、私に花茶の居場所を』
黄結姫との思念は途絶え、藍介はギルドに引き返した。
白桜は疑問に感じ藍介に尋ねた。
「藍介様、戻ってどうしたのよ」
「花茶が行方不明なんです」
「えー!? 花茶何やってるのよ」
「灰土さんと緑癒さんなら空から花茶を捜索してたらいます」
「仕方ないわね。無事に見つかったら私の仕事の手伝いでもさせようかしら」
「あの2人は護衛もまともにできないのですかね」
藍介は灰土達に状況を説明して灰土達は花茶を探し始めた。
「俺は西を探す! 緑癒は東を頼む」
「分かりました! 花茶ちゃんを見つけ出しましょう!」
灰土と緑癒は魔力で作られた羽を羽ばたかせ、空から花茶を捜索し始めた。
「もう〜、母さんたら〜、肝心の居場所を教えてくれないと〜、探す方も大変だよ〜」
「ハッハー! 花茶を助けるぞ!」
紫水と氷月は2人で探し始めた。
『黄結姫さん! 黄結姫さん!』
「ダメです。繋がりませんね」
「あたしの配下に探させようか?」
「いえ、それでしたら、私の小さな協力者達にお願いした方が良いですね」
藍介は小さな協力者を呼び、花茶の捜索をお願いした。
一方、黄結姫から先に花茶の居場所を聞いたネルガルとライネルは街から出て猛スピードで走っていた。
「やべぇぞ! こりゃあ、やべぇ! 藍介さん達に知られたら俺ら殺させるんじゃねぇか!!!」
ネルガルは外に出たので波を起こしサーフィンで移動していた。
「ヒヤッホー!!!!」
「おい! ネルガル! 久しぶりにサーフィンできた嬉しいのはわかるが、真面目に探せよな!!!」
「まぁまぁ、って、あれだ! 多分、ライネル、黄結姫さんが言っていたあの馬車なんじゃないか!」
遠くの方で2頭の馬が引いている馬車を見かけた。
「ネルガル!黄結姫さんに俺らが花茶に近づけたか聞いてみてくれ」
「了解」
ネルガルは主人様から貰っていた水晶で黄結姫に連絡をした。
「ライネル! あの馬車で確定だ!!!」
「おっしゃ! 藍介さん達よりも早く俺らで捕まえるぞ!!!」
「やってろうぜ!」
すると、走る馬車の地面から草花が咲き始め、子供達が馬車から飛び降りた。
「おい! 子供が馬車から飛び降りてるぞ!」
「どうなってやがるんだ!!! ネルガル! 子供を保護しろ! 俺は馬車を追う!!!」
「分かってるって! 俺が隊長だったのに、立場逆転してないか?」
「つべこべ言わずさっさと助けてやれ!!!」
「はーい」
ネルガルは馬車から飛び降りた子供達を保護しようとした。
「もう大丈夫だからな」
「ひぃいいいい」
子供達は初めて見る魚人に怖がっていたが、衰弱している体では逃げることができなかった。
ネルガルは子供達に水の浮き輪をつけて波に浮かばしながら、7人の子供達を保護した。
「何これ?」
「プカプカしてる」
初めての体験に子供達は弱っている体でさえも好奇心が勝り、浮き輪を楽しみ始めた。
「ほら、腹減ってるだろ」
ネルガルはポーチから花茶に渡す筈だった赤い果物を子供達に一個ずつ渡した。
「ありがとう!」
子供達は赤い果物を頬張り、中には涙を流す子供もいた。
ネルガルが子供を保護をする一方で、馬車を追いかけたライネルは馬車に花茶がいるのを目視した。
「おい!花茶!!! 降りてこい!!!」
花茶はライネルに気付くと手を振った。
「おーい! ライネルお兄ちゃん! この馬車悪い人が乗ってるから花茶がやっつけてくるね!」
「それは、俺に任せて降りて」
「花茶はさいきょー!!!!! 百花奏乱!!!」
草花がより一層咲き始め、音楽を奏で始めたのでした。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。




