冒険者ギルド
王都を歩く人達は皆、魔人の奴隷を持ち上げている少女に驚き、そして、魔人の奴隷は手で顔を隠し恥ずかしそうにしていた。
その一向は皆、美男美女、そして、珍しい魚人の奴隷も従えていたが、人々は彼らよりも、魔人の奴隷が1番が弱いであろう少女に持ち上げられていることに驚いていた。
「冒険者ギルド着きましたよ」
「ここが〜、冒険者ギルドかぁ〜。なんか〜、普通の建物だね〜」
黄結姫の案内の元、何事なく? 冒険者ギルドの建物の前まで着いたのであった。
「着いた! 着いたぜ! 花茶! 今すぐに俺を降ろせ!」
「このまま入ろうよ!」
「嫌だ! 降ろしてくれ!!!」
ライネルは暴れに暴れ、花茶は仕方なく降ろしてあげた。
「花茶ちゃん〜、ライネル降ろしちゃったの〜。そのまま〜、ギルドに入った方が〜、面白そうだったのにな〜」
「悪魔かお前は!」
ネルガルが紫水の発言に突っ込んだ。
「お前達、これからギルドに冒険者として登録するんだから変な事をするなよ!」
「灰土さんの言う通りだぜ、ちっと、目立っちまったが、俺達は気を引き締めねぇとな」
「お前が言うな」
「ごめんなさい」
ライネルは素直に灰土に謝った。
「花茶ちゃん、2人が危険な目に遭わない為にこれ以上、ライネルとネルガルを目立つような事をしないで欲しい」
「危険な目に!? 分かった! 花茶、2人のこと守るね!」
「まぁ、分かってくれたのであれば、良いか。それじゃ、行くぞ」
「ハッハー! 俺様に続けー!!!!」
氷月が1人勝手に冒険者ギルドの建物に入って行ってしまった。その後を灰土に続いてギルドに入っていくと、中には沢山の冒険者が居た。
「あっ! はぁー、氷月様はもう少し周りを見て欲しいな」
「リーダー、頑張ってください」
「俺、リーダー、向いてないのかも、しれないな」
「灰土さんしか紫水と氷月を止められる人なんていないですからね! 僕は灰土さんが面倒事を引き受けてくれて嬉しいです」
「緑癒様、俺の事を励ましてくれているのですか?」
「えぇ! もちろん! 胃に穴が開く寸前であっても真面目に取り組むその姿勢! すごいですね!」
灰土は緑癒に励まされながら、ギルドの受付へと向かった。
先に入った氷月は4人パーティーの屈強な冒険者に喧嘩をふっかけていた。
「ハッハー! 俺様は氷月! ギルドにいるゴブリンを倒してやろう!!!」
氷月にとってその冒険者達はゴブリンだと認識していたみたいであった。
「おい、兄ちゃん、俺たちのことをゴブリンだって言ってやがんのが?」
「ほぉ! 人語を話すことのできるゴブリンがいるのだな。森に住むお前達がなぜここへいるのか分からないが、この!大氷斬の試し切りに丁度いいな!」
大剣を構えた氷月はゴブリン? を倒そうとしたが、背後から強力な一撃を喰らった。
「俺の仲間がバカな真似をしてしまい申し訳ない!」
それは、灰土が氷月の頭に強力な拳骨をお見舞いし、氷月の頭を鷲掴み、氷月の頭を下げ、灰土も頭を下げ、屈強な冒険者達に謝った。
屈強な冒険者達は相手の装備を見て、こいつらは相当な金持ちなんだと考えた。
「謝罪をするなら、まず最初に出すもん出してもらわねぇとな。そんな上等な装備を身につけてるんだ、それなりに謝礼を貰わないとな」
「謝礼?」
すると、灰土と氷月の後ろから紅姫と黄結姫がやってきた。
「灰土さん頭を下げて何しているのですか?」
「黄結姫さん! いやそれが、氷月がこの方達をゴブリンと間違えてしまったみたいなんだ」
「あら、氷月さん、そんな事を言ったのですか、私でも、流石に、彼等をゴブリンとは見間違えないですわよ」
「すげぇ別嬪さんじゃねぇか!」
「色っぺぇ〜」
冒険者4人は紅姫と黄結姫を見た瞬間、一回話し合い、金ではなく、この2人に謝礼をしてもらうことに意見が一致した。
「あのよ、さっきの事は水に流してやるよ。だが、謝礼として、今晩、別嬪なねぇちゃん達に俺達の相手をしてもらいてぇんだけどよ」
「何〜? なぁ〜に〜、俺の母さんに〜、夜の相手を要求しているのかな〜。この汚いゴブリンは〜。そうか〜、そうかぁ〜。冒険者になる為には〜、ゴブリンを殺すのが〜、最初に受ける仕事なんだよね〜? それなら〜、ここにいる〜ゴブリン〜を〜、ぶっ殺していいわけだね〜!!!」
冒険者達の要求が、紫水の耳に入ってしまい、紫水はブチ切れていた。
灰土は今の紫水を止めるには難しいと考え、冒険者を殺す寸前で紫水から助けてあげることにした。
「んだよ、このヒョロヒョロがぁ!」
紫水の襟元を男が掴んだ。
「私の息子に何するんですか!!!」
黄結姫は紫水が攻撃されたと判断し、襟元を掴んでいる男の腹をぶん殴った。
「ぐはぁ!?」
まさかの、攻撃に男はその場に倒れた。
「嘘かよ、俺らのタンクを一撃だと」
その男はこのパーティのタンクを担っていた為、体も誰よりも頑丈であった。が、その仲間がメイド服の女性の一撃で沈められてしまい。さっきまでの威勢が無くなってしまった。
「おい、こいつらやべぇよ」
「に、に、逃げろ!!!」
2人は一目散に逃げた。
「俺を置いていくなよ!!!」
リーダーだも思われる男は倒れた仲間を引き摺りながら2人の後を追った。
それを見ていた白桜は呆れていた。
「ダッサ、これが冒険者なわけ? 雑魚で不潔な男しかいないじゃない」
「いや、先に無礼な行動をしたのが悪いんだ。氷月、反省しろ!」
「すまない。緑癒、俺の頭に鱗粉かけてくれ」
「回復なんてしませんよ。自業自得です。これからは、周りを見て一度考えてから行動してくださいね」
「分かった」
氷月は灰土の拳骨が相当効いたのか、素直に聞き入れた。
「あ〜あ〜。母さん〜、やり過ぎだよ〜。こう言う時は〜、俺の〜魔法を〜見せびらかして〜脅した方が〜、平和的だったのになぁ〜」
「だって、紫水を攻撃しようとしたのよ。母親なら誰しも息子を守るでしょ」
「まぁ〜、ありがとう〜」
花茶とライネルとネルガルは先に受付に向かい冒険者登録の仕方を聞いていた。
花茶は受付嬢の人と話をしていた。
「おねぇさんごめんね。後で花茶がお馬鹿さん達をぶん殴っとくね!」
「いえ、こちらこそ、追い出してくれてありがとう。私、あの人達がやっとギルドから出て行ってくれて清々したのよ。あの人達、いつも後輩の冒険者さん達にちょっかいかけて金を巻き上げたり、受付嬢にナンパばっかりしてギルドのお荷物だったのよ」
「そうなんだ! 出て行ってくれて良かったね!」
「まぁね、それでなんだけど、お嬢ちゃんが冒険者になるの?」
「花茶は違うよ! お兄ちゃんに会いに来たの! でも、花茶ね、冒険者って何するのか気になったの!」
「そうなのね。さっき出て行った奴らは一部のダメな冒険者だから、冒険者を誤解しないでね。普通の冒険者の人たちはきちんと仕事をして真面目に働いているのよ」
「はぁーい!」
受付嬢は花茶に一通りの冒険者が行う仕事について説明した。その後、灰土、緑癒、氷月、紫水は冒険者登録をするのでした。
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