黄結姫と合流
長達一向はワラン村を出ようとすると、村長はもっと滞在して欲しいと懇願していたが、宿での出来事を話したら謝罪していた。
そして、一向は馬車へ乗り藍介と黄結姫がいる王都へ向かったのでした。
馬車にやられる事7日目、やっと王都に付いたのであった。
王都に入る際、関所を通るとネルガルとライネルの首輪が機能しているか指摘された。
「魔人と魚人の奴隷か、その首輪は機能しているんだろうな?」
兵士が灰土に尋ねた。
「藍介から貰った物だからな、調べてもらっても構わない」
「藍介? もしや、天才藍介のご友人ですか?」
「そうだ、彼に仕事を手伝って欲しいと頼まれ、仕方なくこの国へ来た訳だ」
「そうでしたか! さ!さ! お通りください!」
「他の連れを調べてなくていいのか?」
「藍介様からお話が通っているので大丈夫です!」
「そうか、ありがとう」
「いえ!」
馬車は進み、王都へ入り、道なりに進んでいた。
「ねぇ〜、灰土〜、藍介のいる場所わかるの〜?」
「黄結姫さんが王都の噴水の場所で待っていると聞いたが、このまままっすぐ行くと多分、噴水が出てくるはずだ」
そうして、一向は王都の噴水まで着き、黄結姫と合流することができた。
「母さん〜!!!! 会いたかったよ〜!!!」
紫水は黄結姫に抱きついた。
「紫水! 私も会いたかったー!!!!」
二人は互いを抱きしめ合った。
「感動ですわ」
「いい年して何してるのよ」
「花茶もハグする!!!」
花茶は紫水と黄結姫に抱きついた。
「花茶ちゃん! 久しぶりね」
「黄結姫さんお久しぶり!」
「もう〜、せっかくの感動の再会なのに〜。それで〜、母さん〜、藍介の所へ行く途中で〜、冒険者ギルドに行きたいんだけど〜、案内頼める〜?」
「藍介様からも冒険者ギルドで申請した後で会いたいって言ってたから大丈夫よ! 私に任せなさーい!」
「大丈夫かな〜?」
馬車を物陰に停車させて周りに人がいないかを確認してから灰土は自身のポーチに馬車を入れた。そして、黄結姫が道案内の元、長達は町を歩き始めた。
「主人様のポーチは馬車までも入れられるとは驚きだな」
「さすが主人様ですね!」
「ハッハー! 俺様の妻だからな!」
「俺様だけじゃないよ〜、俺の妻だよ〜」
「ふん! 俺様が1番初めに結魂をしたのだ!」
「それが〜、どのぐらい〜、主人様を愛してるかに〜、よって〜、変わると思うんだよね〜」
「それでしたら! 僕の方が主人様を敬愛し、僕の全てを捧げるほど愛しているので僕の勝ちですね!」
「いやいや〜。俺の方が〜、主人様とラブラブ〜、だからねぇ〜。しかも〜、俺だけ〜、この面倒な事が終われば〜。ムフフフフフ〜」
「そのムフフとは何をするんだ?」
「それはね〜」
灰土の耳に紫水が思い浮かべる主人様のムフフな事を小声で話した。すると、みるみる灰土の顔が赤くなった。
「おい! 紫水だけずるいぞ!」
「主人様に〜、お願いしなかったのが悪いんだよ〜」
「いや、あれば駄々を捏ね続けた結果主人様が折れただけであって、紫水が想像しているのと主人様が考えたこととは違うのではないですかね?」
「まだまだだなぁ〜。主人様と〜、俺は〜、ラブラブなわけで〜、夫婦なんだから〜、そう言う事をしても〜、言い訳で〜、夫婦としての義務でもあるよね〜」
紫水、灰土、緑癒、氷月が盛り上がっている間、残りの女性陣とネルガルとライネルは周りの視線が気になっていた。
花茶は小声でライネルに話しかけた。
「ねぇ、ねぇ、人間さん達やけに花茶達の事見てない?」
「そりゃあ、イケメン美女が歩けば目立つよな」
「特に、紅姫さんと白桜ちゃんを見ている人が多いよね」
「2人が美女だからだろ。紅姫さんは身長がたけぇからより目立つし、白桜も中身がアレだが、ガワだけは一丁前だからな」
「あと、ネルガルお兄ちゃんを見ている人たちもいるね」
「あー、あいつは魚人だからな人間には珍しいんだろ」
「そうなんだー。花茶もアお姉ちゃんの為にも、もっと目立たなきゃね!」
「いや、アの言うことなんて聞かなくてもいいだろ」
ライネルが話した瞬間、首輪が反応した。
ライネルの体に電気が流れた。
「くそぉっ! いってぇぞ!!!」
「うわっ! びっくりしたー!!!」
その時を見たネルガルがライネルに小声で話しかけた。
「おい! 何やってるんだよ! 俺達は目立っちゃダメだぞ!」
「目立つも何も、こいつらといるだけで目立つに決まってんだろ!」
「だから、それよりも目立つなって言ってるんだよ」
と、2人が喧嘩になりかけていると、花茶はライネルを持ち上げた。
「はい! 喧嘩するならライネルお兄ちゃんの嫌がることするね」
「ここでこれはやめてくれよぉ!!!!!」
ライネルは恥ずかしそうに顔を手で覆った。
「花茶、様、俺にはやらないでください」
ネルガルは素直に謝った。
「よろしい! ライネルお兄ちゃんは反省として冒険者ギルドまでこの状態ね!」
「や、め、て、くれぇええええ!!!!」
一方、その様子を見ていた黄結姫と紅姫と白桜はライネルを憐んでいたのであった。
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