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美男美女到来!!!ワラン村

 ワラン村の村民は平和な生活を送っていた。


 母は子供と一緒に洗濯をしたり、男達は村の警護や力仕事をして、老人は後世に知識を残す為に若者に昔話を聞かせたりしていた。そして、そんな中、水色の馬が引ている馬車2台がワラン村にやって来たのであった。


 2台の馬車は村の門の前で止まり、門の警備をしていた村人に話しかけていた。


 村人達は見たこともない馬と豪華な馬車を見て何処かの貴族なのではと話していた。


 先頭の馬車の手綱を握っていたのは大柄の男だが、顔は少し幼さがある甘い顔、村人の女性達は美男の到来でヒソヒソと話し始めた。


「あの人かっこいいわね」


「結婚しているのかしら」


「あたし、あの人と付き合いたい!」


 など、女性陣は大柄の男を見ただけで大盛り上がりしていた。


 そして、2台めの馬車の手綱を引いていたのが魔人の奴隷と知ると村人の男達は警戒を緩めた。


「奴隷か、でも、服が俺達よりも上等な服じゃないか?」


「こんな豪華な馬車に乗っている人達だ、そりゃあ、奴隷にも品がねぇと、いけねぇんじゃねぇか?」


「まぁ、それもそうか」


 馬車の男は門を警備していた村人に話を通し、馬車は村の中へ入って行った。


「おーい! この方達は藍介様のご友人らしいぞ!」


「藍介様! 藍介様のご友人なのですか!」


 村人全員、藍介の名前を聞いた瞬間に警戒していた人でさえ顔が明るくなり、2台の馬車を歓迎した。


 村長は先頭の馬車に乗る男に話しかけた。


「これは、これは、藍介様のご友人様この村にはどのようなご用件で?」


「俺の名は灰土、俺達は王都へ向かう道中でな、藍介からここの宿屋は安心できると聞いたのでここで一休みをしたい」


「おー! そうでありましたか、さっ、さ! どうぞ、宿屋の亭主には話しておきますのでどうぞお寛ぎください」


「ありがとう。馬車を置きたいのだが、皆の邪魔にならない所はないか?」


「そんな、私達に配慮をしてくださるとは、やはり、藍介様のご友人も立派な方なのですね。馬車はこちらへ置いてください」


 村長は宿屋の隣に馬車を停めた。


「村に着いたぞ!」


 灰土は馬車の中にいる仲間に話しかけた。すると、中から次々にイケメンが登場したのであった。


 最初に現れたのはお尻をさすりながら出て来た緑の長髪で司祭が着る服を着ている美男、そして、次は大きな剣を背中に担ぎ、元気あふれる美男、最後になにもかもやる気のなさそうな美青年が馬車から降りて来た。


 村の女達は皆、内心大歓喜し、夫がいる者であっても彼等とお近付きになろうと考える者さえ出てしまっていた。そんな、女達を見て、男達は不満であった。が、男達の不満はすぐに解消された。


 2台目の馬車からは珍しい魚人の奴隷が降り、その後を背が高い美女が降りて来たのであった。その美女の圧倒的なまでのナイスバディを目の当たりにし、彼女と一夜を共にしたいと思う者が大半であり、その次はこの世で見たこともないぐらい美しい少女が降りてきて、男達のテンションは上がりに上がった。


「花茶とうじょー!」


 そして、最後に1番幼い少女が馬車から飛び降りた。


 その彼女の愛らしさに老若男女問わず絆されてしまっていた。


「おい、花茶、飛び降りるのは危ねぇだろ!」


「えー、いいじゃん! とぅ! って登場かっこいいじゃん!」


「転んだら折角の服が台無しになるだろ、白桜に怒られても知らねぇからな」


「怒られるのはいやー!」


「だろ」


 村人達は愛らしい少女と仲良く喋る魔人の奴隷に嫉妬をしていた。


「灰土様、部屋は何部屋ご希望でしょうか」


「そうだな、女性で1部屋、男性で3部屋の計4部屋借りたいのだが空きはあるか?」


「それが、3部屋しか空いていないのです」


「それなら、花茶、紅姫さん、白桜で1部屋、俺と紫水で馬車の警備、緑癒と氷月で1部屋で、最後にネルガルとライネルで宿泊するか」


「え!? 奴隷が泊まるのですか!?」


 村長が驚いている間、奴隷の2人はと言うと。


「あー、それ言えば俺達は今は奴隷だもんな」


「なんかよぉ、花茶を注意しただけで村人達の視線がやけにいてぇんだけどよぉ。俺何かしたか?」


「多分だが、俺達は凪さんから貰った首輪のせいでこの国においては奴隷だ。なのに、主に向かって、仲良さそうに話しかけるのはおかしいんじゃないか?」


「早くもここから演技しなきゃいけねぇのかよ」


「仕方ないだろ。こうなったら、俺達が馬車の警備係だな」


「了解、馬車で寛いでればいいって話だろ」


「あのなぁ。そんな簡単な訳ないだろ。きっちりと警備するぞ」


「久しぶりに真面目なネルガル君を見れて、少し懐かしいぜ」


「ネルガル君って呼ぶなよな! そもそも、俺は常に真面目に行動しているからな!」


「いや、洞窟じゃ楽しみまくってたじゃねぇか。それなら、俺の方がこき使われてたぜ」


 灰土は村長に驚かれたことで自分の認識の甘さを痛感した。


「奴隷にこの馬車を任せられないからな。だから、奴隷の2人には部屋で休んでもらう。村長には申し訳ないが、奴隷だからといって粗悪な部屋に通すことはやめてもらいたい。彼等もまた俺達の仲間なんだ」


「かしこまりました。すみません、奴隷が部屋を借りるなんて今まで無かったもので驚いてしまいました。宿屋の亭主には伝えておきますのでごゆるりとお過ごしください」


「ありがとう、おーい、部屋決めは俺が決めた。まず最初に紅姫さんと白桜、花茶ちゃんで一部屋、次に緑癒、氷月で一部屋、最後にネルガルとライネルで宿で休んでもらう」


「まって〜、俺は〜?」


「紫水は俺と一緒に馬車の警備だ」


「なんでぇ〜!!?!? 俺〜、ゆっくりベッドで寝たいよぉ〜!!!」


「我儘言うな!」


「じゃあさ〜! じゃあさ〜! ネルガル〜、俺と一緒に警備しよ〜」


「すみませんが、花茶様をお守りするのが奴隷である俺の勤めですので、灰土様よろしくお願いします」


「そう言うことだ、ほら、紫水、行くぞ!」


「なんで〜!!! ベッドで寝たい〜!!!」


 灰土は嫌がる紫水を引き摺りながら馬車へ向かい、その他は宿屋に泊まったのでした。


 

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― 新着の感想 ―
トラブルとしては想定の範囲内ではないのですかね。 ま、これから先に何が起こるのか? 例えるなら「(男女問わず)飢えたけだものが襲い掛かる」なんだろうけど、前回で懲りていたら手を変えてるはずだからな~。…
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