藍介SOS
藍介は一人、必死に人間の国で知名度を上げていたが、人間の国での活動が一年が経過しようとしていた時であった。
主人様に会えてない、主人様に報告しているのは黄結姫さんばかり、羨ましい、黄結姫さんから紫水達の話を聞くとめっちゃくちゃ腹が立つなど、鬱憤は溜まりに溜まり、日々の激務や貴族令嬢達の猛アタックの対処、1番は主人様に会えていないことが藍介のストレスの原因であった。
そんな中、紫水や緑癒、灰土さんまでもが結魂式を行った時、やっと自分一人で頑張らなくても良いと思っていた。だが、いつになっても仲間が来ない、黄結姫から話を聞くと紫水が主人様に甘えている話や、緑癒のお尻の話、灰土さんの筋肉の話など楽しそうな話ばかりで藍介は心底羨ましがっていた。
そんな時、藍介はふと思い出した。結魂式の条件は自分の仕事を手伝うことが条件だったはず、一年ももうそろそろ過ぎる、なら、今このタイミングでライバル達を主人様の側から引き剥がせるのではないかと考え、藍介は行動した。
藍介は黄結姫に主人様に直接思念を送れるようにお願いした。
『主人様!!!! いつになったら紫水や緑癒がこっちに来るのですか!!!』
『今そっちに行けるように準備しているわよ。特に白桜が服屋をしたいって意気込んでいるわよ』
『白桜が作った服は確実に売れると思いますね』
『今は仕分け作業も終わって後は搬送するだけよ。後は、紫水の駄々をなんとかすれば冒険者チームもいけるわね』
『はやく連れてきてほしいです。私ずっと、一人で頑張っているのですよ。なのに、紫水達は主人様の側で楽しんでいるではないですか! 不公平です! 私は結魂式が終えたらすぐに人間の国へゴー!ですよ。本来なら紫水達も結魂式を行った後にすぐに私の手伝いをするべきです!!!』
『いやぁ、そこなんだけどさ、人間の国への行くためにある程度のマナーやルールを知らなくちゃいけないでしょ。白桜と紅姫は覚えが良かったんだけど、紫水と緑癒、氷月がもうね。全然なのよ。緑癒はいつもお尻を出そうとするし、氷月は俺様がルールだ!とか、分からないこと言うし、紫水は寝ているのよね』
『主人様も大変でしたね』
『いや、私よりも大変なのは、灰土よ。あの問題児3人をまとめて冒険者として振る舞わないといけないからね』
『灰土さんのことを考えれば、まだ、私は楽な仕事なのかもしれないと思えてきましたよ』
『でしょ、この前なんてリーダーは誰だ! って揉めてね。それを止めるのも一苦労で、この頃、灰土は胃の調子が悪いって緑癒に薬を作ってもらっているのよね』
『うわぁ、まだ旅立っていないのにそれ程とは、灰土さん、頑張ってください』
『そういう事で、こっちもそっちに行く準備を進めているから5日後白桜、紅姫、灰土、紫水、緑癒、氷月を向かわせるわね』
『5日後ですか、もっと早くならないですか?』
『どうして?』
『出来れば明日あたりには出発してほしいですね』
『そんな無茶な』
『お願いしますよ。私限界なんです!仲間が一人でも多く必要なんです!』
『分かった、分かったから。で、花茶は連れて行かないのよね?』
『こんな危ない場所に花茶を連れて行けるわけないです!』
『花茶は行く気なのよ』
『ダメです。花茶に会いたいですが、今はダメです』
『花茶の護衛を付ける形にすれば花茶が人間の国行き許してくれる?』
『護衛ですか? 灰土さん達は仕事があるのでずっと花茶の側にはいられませんよ』
『いや、それがね。私いいことを考え付いたのよ』
『その、いいこととは?』
主人様の考えを聞いた時は驚きましたが、そう言われると、彼等にも手伝って貰うべきだと納得しました。そして、明日、出発してくれると約束をいただきまして、やっと、ライバル全員を主人様から引き剥がし作戦が成功し、この日の夜は久しぶりにぐっすりと眠れました。
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