太陽神ラトム
イデアは巨人を殺し続け、ようやく彼等の王国を見つけた。
巨人の国がある地では、砂に囲まれ、昼は強烈な陽射しによって灼熱の地とかし、夜は極寒の地とかす、過酷な環境であった。
だが、その過酷な環境下であったとしても、巨人の国は栄えていた。
巨人を殺し続けたイデアは狂乱の獣と言われ、彼等に恐れられていた。
「ここが巨人の都か、あいつらを全て」
イデアはゆっくりと歩いていたが、巨人の都の門が見え始めたところで走り始めた。
門兵はイデアが見えるとすぐさま門を閉鎖し、兵士達が門の前に陣列を組み、イデアを待ち構えた。
「狂乱の獣め、同胞の仇を討ってやる!!」
兵士達は狂乱の獣をここで仕留めると意気込み、イデアと30にもなる巨人の兵との戦いが始まった。
イデアは巨人を殺し続けたことによってスキルが顕現し、自身の痛みを相手に返す力を獲得していた。
巨人はイデアに槍で串刺しにするが、イデアは死ぬことがなく、その痛みを巨人に与えた。
「虚痛」
「ぐはっ、なぜ、俺の心臓が」
イデアを串刺しにした巨人達がバタバタと倒れていった。
「僕に攻撃するのが悪いんだよ。僕は死んでも生き返るからね」
イデアは門兵を全て喰い殺し、とても巨大な建物へ向かって全力で走り続けた。
「絶対にあの大きな建物にクソ野郎がいるはずだ!」
その建物は石を長方形に加工され、四角錐の形をしていた。
建物に辿り着き、中へ入ると、美しい森が広がっていた。
「どうして、こんな所に森があるだ? 僕がいた森に似ているような?」
急に森が現れ、しかも、その森は暮らしていた森に似ていた為イデアは混乱した。
建物の天井は穴が空いており、そこから太陽の陽が差し込み、その陽射しが丁度、湖の中央にある青白い光を放つ巨大な石を照らしていた。そして、そこには、その石に触れている黄金の鎧を身に纏った巨人の男がいた。
「お前が狂乱の獣だな」
巨人は振り返ることもせず、イデアに話しかけた。
「僕はイデア! 人間を守る神獣だ!」
「神獣か、神ならば、この我も同じ」
巨人は振り返り、アンクの杖を構えた。
「我名はラトム! 太陽神ラトムである!」
「何が、太陽神だ! 邪神の間違いだろ!!!」
イデアは走り出し、湖の上を駆け抜けた。
「ここでの争いはやめてもらおう。我の愛する宝石が傷付いてしまうからな」
イデアはラトムの首元目掛けて噛みつこうとした時、ラトムは杖を使いイデアを天井へ突き飛ばした。
その一撃でイデアは一度死んだ。
ラトムは鳥の姿の炎を見に纏い、空を飛んだ。
「はっ! 僕一撃で死んだの!?」
上空で意識を取り戻したイデアは空中に留まり、ラトムの強さに驚いていた。
「一瞬じゃ、僕のスキル当てられないよ。まぁ、空は飛べなそうだし、距離をとって魔法を打ち込めばいいか」
すると、下から炎の鳥がイデア目掛けて襲いかかってきた。
「うわぁぁあ!?」
イデアは慌てて炎の鳥の攻撃を避けた。
「あいつの魔法使えるの!?」
「ここでなら、我の力を存分に喰らうが良い。我こそは太陽! 幻存太陽」
ラトムの杖から巨大な炎の球体が現れ、その熱はラトムから距離をとったイデアの毛が燃えるほどであった。
「アチチチ!!! 距離とってるのに、僕燃えてるよ!?」
イデアは自身が燃えていても死ぬことはなかった。
「この熱でも平気とはな、面白い。我の攻撃を受けるがよい」
ラトムは幻存太陽をイデアに向かって放った。
「こんなの受け止められるわけないじゃん!!!」
イデアは炎の球体から逃げた。だが、炎の球体はイデアを追いかけ続けた。
「逃げ続けることしか出来ぬのか。肩透かしだな」
ラトムは空中で炎の台座を作り出し、座ってイデアが逃げる姿を観察していた。
「くそぉ、魔法が消えるまで逃げるしか」
イデアは幻存太陽から逃げ続けたが、一向に消える様子がなく、イデアは窮地に立たされたのじゃ。
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