フローゼラーと緑癒
フローゼラーは緑癒に会いにネルガルの案内で教会へ向かった。
「お尻が好きな変態なのじゃ?」
「ちょっと違いますね、緑癒さんは尻を凪さんに触られるのが好きなんですよ」
「ふむ、ここの者達は皆、個性的じゃ!」
「そうですね、もうそろそろ着きますよ」
ネルガルとフローゼラーは教会の前まで来ていた。
「おー! 見事な教会じゃな! にしても? 不思議な魔力を感じるのじゃ? この魔力、あの門の魔力と似ているような? なぜなのじゃ?」
「フローおば様どうしたのですか? あの門とは?」
「ネル坊に話すのにはいささかまだ若すぎるから今は話せんのじゃ。じゃが、あやつがここに入り浸っているのは、ここを監視していると言う事なのじゃな」
「あやつって?誰のことなのですか?」
「アビーサじゃ、ここに遊びに来ていると聞いたのじゃ、緑癒に会った後時間があればアビーサに話したいことがあるのじゃ」
すると、教会の扉が開き緑癒が出てきた。
「やっと来ましたね! 待ちくたびれてしまいましたよ!」
「おー! お主が緑癒じゃな! わしの名はフローゼラーと言うのじゃ、よろしくなのじゃ!」
「主人様から聞いています。僕に何か聞きたいことがあるみたいですが、立ち話もなんですから、中に入ってお茶でもどうでしょうか」
「気をきかしてしまってすまないのじゃ、ありがたくいただくのじゃ!」
「じゃ、俺はサーフィンでも」
ネルガルはフローゼラーから離れようとしたら、フローゼラーはネルガルの腕を掴んだ。
「何を言っておる、ネル坊も一緒に来るのじゃ!」
「えー! 俺はサーフィンがしたいです」
「ダメなのじゃ! 部屋まで案内して欲しいのじゃ!」
「かしこまりました。こちらです」
緑癒はフローゼラーとネルガルを教会内にある自室に招待していた時、フローゼラーは教会内の主人様の像を見て不思議そうな顔をしていたが、何も言わずにそこを後にした。
緑癒は自室に着くと手際良く緑茶を2人に出した。
「それで、僕に何を聞きたいのですか?」
「その、わしの息子のドーレーラムはな、彼に触れる者は必ず死ぬ呪いを掛けられて産まれた子なのじゃ。だから、その呪いを解く方法が知りたいのじゃ。お主のその目であれば解呪方法がわかるのじゃろ」
「僕の医神の眼であれば、その人を見ればどのような症状なのか分かり、その治し方も分かりますが、彼がここに来れるのでしょうか?」
「その、ドーレーラムは発情期が近いので外に出るのは危険なのじゃ。できれば、緑癒、少しの間だけエンデューブに来てくれないか! お願いなのじゃ!」
「そう言われましても、僕はこれから人間の国へ行き藍介さんの手伝いをしないといけないのですよ。魔族の国へ今すぐにはいけませんね」
「そうなのか、すまない。民を助ける手伝いをしてくれているとサリ坊には聞いておる」
「うーん、彼の発情期はどれぐらいの期間なのですか?」
「うむ、今回は半年ぐらいかのぉ。番がいなく、まだ若いので発散する方法が限られておる。ましてや、人の姿をとっておるので終わるまで時間がかかるのじゃ」
「ドラゴンの発情期は大変なのですね」
「番がいれば早く終わるのじゃが、呪いのせいで番を持つことが出来ないのじゃ。だから、完全に呪いを解く事は出来なくても、少しでも人に触れ合う事ができるようになれば、ドレ坊にも番を見つける事が出来るようになる」
「分かりました。発情期が終わり次第連絡をしてください。そうですね、魔王さんに連絡用の水晶を渡してあると思うのでそれを使ってください。産まれた時から呪いで生き物の温かさを知る事ができないのは悲しい事です。僕の力では治さなくても一時的に弱める事も可能だと思います」
「ありがとうなのじゃ! それで、対価は何が良いじゃろうか?」
「対価ですか? うーん、今は思い当たりませんね。それに、まだ彼を見てないですし、彼を治せた時に対価をいただきますので、今は対価までは考えなくても大丈夫ですよ」
「本当にありがとうなのじゃ! それにしても、緑癒はここに住んでいるのかじゃ?」
「はい、基本的にここで暮らしてますね」
「ふむ、ここの魔力は洞窟と違って違う魔力が漂っていると感じないか?」
「違う魔力ですか? 僕は何も感じませんが? フローゼラーさんには洞窟とは違うと感じるのですか?」
「いや、住んでおる緑癒が感じないのであれば問題なくろう。ネル坊も話に興味がなく寝てしまっておるからな。わしは温泉に戻ることにするのじゃ。お茶美味しかったのじゃ!」
「いえ、それでは、ネルガル、ネルガル! 起きてください!」
緑癒が立ち上がり、ソファで寝ていたネルガルを起こした。
「ふぇっ!? 俺寝てた!?」
「ネル坊行くぞ! 次はアビーサじゃ!」
「俺、眠いです」
「ネルガルはフローゼラーさんを案内していないと主人様に言いつけますよ。そうなりますと、例の罠のテストの件、どうなりますかね」
「俺きちんとフローおば様を案内するので緑癒、いわないでくれぇええ!」
「仕方ないですね。今回だけですよ」
「ありがとう」
「よし! アビーサの元へ行くのじゃ!」
「アビーサ様なら、多分、銀次と金色丸のところだな」
ネルガルの案内でフローゼラーはアビーサの元へ向かった。
1人教会で残った緑癒はフローゼラーが言った魔力の違いが気になっていた。
「魔力が違うですか、そう言えば、主人様が教会を建てた際、あの悍ましい像が建てられましたよね? まさか、そんな事は、悪魔、その中でも上位の存在がここに干渉していたと言う事でしょうか? いえ、悪魔の力ならば僕が気付かないのはおかしい。一応、念の為に結界を張っておきますか」
緑癒は教会に結界を張ったのでした。
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