ブラックドラゴンは旅行に行きたかった
時は少しだけ遡り、フローゼラーが仕事を部下は引き継いでいた時、フローゼラーが休暇を取り旅行に行く事を噂で聞いたドーレーラムは彼女を尋ね行った。
ドーレーラムは少女の人形を操り、裏声で彼女に話しかけた。
「フローおばあちゃん、旅行に行くんだって、いいなぁー。私も行きたいなぁー!!!」
「何を言っておるのじゃ! ドレ坊や、お主はもうそろそろ準備をせんといかないのじゃぞ」
「魔王様もイデアもオビリオンも旅行行っててずるい! 私も行きたい!」
「お土産買ってくるから許して欲しいのじゃ」
ドーレーラムは裏声を忘れ地声で話した。
「嫌だ! 俺だけ独りぼっち寂しい」
「仕方なかろう、連れていってあげたいが、発情期となるお主を連れていくのは危険なのじゃ」
「はぁー、番なんて、呪いのせいで一生できないのに、どうして俺に性欲なんてあるんだろう。嫌だなぁ。独りぼっちで番がいない中、人形相手にしないといけないなんて、はぁー、俺、発情期嫌い」
「生物としてそこはどうにもできないのじゃ」
「はぁー、新しい人形買いに行かないとな、後は結界の強度を上げて、半年分の仕事も終わらす準備に取り掛からないと、あー、めんどい、イデアに押し付けようかな。新婚なのに、新婚なのにって煩いから虐めてもいいよな」
「今でも可哀想なのに、それ以上仕事を増やされるのは、イデ坊が不憫すぎるのじゃ! イジメは良く無いのじゃ!」
「俺に自慢してくるのが悪いんだろ」
「まぁまぁ落ち着くのじゃ。ほら、早く準備に取り掛からないと死人が増えてしまうのじゃ」
「分かってるよ。はぁー、俺と同い年はみんな番がいるのに、どうして俺だけ。番欲しいな」
「ゾンビならどうじゃ? もう死んでおるから死の呪いは通用せんぞ」
「腐った死体に興味はないよ。そもそも、死体に発情なんて出来ないよ」
「人形ではできるのに?」
「それと、これとは別! あー、どこかに動く人形いないかなー! できればメスならより良し!」
「動く人形ならゴーレムならどうじゃ?」
「ゴーレムはゴツいから嫌、柔らかいのが好み。はぁー、俺帰る。帰って結界貼り直す」
「お土産沢山買っておくから許して欲しいのじゃ」
「じゃあ、珍しい人形があったら買ってきて欲しい」
「了解なのじゃ! ドレ坊、生きていればいずれ呪いを解く方法が見つかるかもしれない。だから、希望は捨てちゃだめなのじゃよ」
「うん。フローおばあちゃんバイバイ」
「バイバイなのじゃ!」
その後、ドーレーラムは屋敷へと戻り、1人寂しく結界をより強固なものに張り替えたのでした。
ブックマーク、評価いただけると嬉しいです。