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カマキリ夫婦の名前とサンザイのお願い

 凪はイデアとカマキリ夫婦の名前を考え、次の日、二人に名前を伝える為にサンザイにお願いして夫婦を呼び出してもらった。


「もう、主人様。虫使いが荒いでやんすよぉ。あのぉ、後でお願いしたいことがあるでやんす」


「お願い? 今じゃ言えない感じなの?」


「カマキリ達の名付けが終わったら話すでやんす」


 しばらくするとサンザイはカマキリ夫婦を引き連れて主人様の家の庭についた。


「ゴハン!ゴハン!」


「そうだねハァーニィー、俺達のネームはどうなるのか楽しみだね」


「ゴハン!」


「揃ったわね! 名前を発表するわね!あっ、今回は今までにない名前にしたから、もし嫌だったら言ってね」


「そんな! アルジィ様に付けてもらうのですから嫌なことなんてないですよ!」


「ありがとう。それじゃ、小さなカマキリさんの名前はミハエル! 大きなカマキリさんはキャサリン! になりました!」


「ミハエル。皆さんとは違う感じのネームですね。ですが! ミハエル! 良い! クールなネームを付けていただけて嬉しいです! ありがとうございます!」


「ゴハン、ゴハン!!!!」


「ハァーニィーも喜んでいるね。いや、ハァーニィーではなく、キャサリン! 美しいネームを付けてもらえて喜んでいるんだね!」


「ゴハン!ゴハン!」


「ミハエル、キャサリンこれからよろしくね」


「ゴハン!」


「よろしくお願いします!」


「貴方達は長並みの力を持っているから森の長達と洞窟の長達に挨拶をしてきてね」


「かしこまりました! さぁ、キャサリン行こう!」


「ゴハン!」


 キャサリンは翅を広げ、ミハエルは彼女に抱えられながらまず最初に森の長達に挨拶をしに行ったのでした。


「それで、サンザイは私にどんなお願いがしたいの?」


「それでやんすがね。キャサリンさんが大食いでして、食料調達が難しいんでやんす。野菜とか草は食べてくれなくて、肉なら食べてくれるでやんす」


「まぁ、カマキリは肉食だからね」


「それで、同胞の死体を食べてもらおうかと考えたのでやんすが、その、この前のマランさんと紅姫様の対決で屋台を始めた人達がそのまま商売を始めてしまいやして、今まで同胞の死体をまとめていた人達がお金を請求するようになったでやんす。だから、無料にするのは気がひけるでやんすが、割引券などが欲しいのでやんす!あと、資金も余裕がないので欲しいでやんす」


「そう言うことね。食事会でのキャサリンの食べっぷりは凄かったもんね。そうね、ちょっとそことお店まで連れて行ってくれる?」


「分かったでやんす! 洞窟から出ないといけないでやんすから時間かかるでやんす」


「それなら、クティス! 背中に乗せてもらっても良い?」


「ガウガァ!(いいよ!)」


 クティスは屈み、凪はサンザイを肩に乗せクティスの背に跨り、家を出発した。


 30分足らずで洞窟を抜け、サンザイは森の市場に主人様を案内した。


「いつのまにかこんなことになっていたとわね」


「あっ、あそこのお店でやんす!」


「ここね。弔い屋ねぇ。まぁ、虫達の感覚だと死んで食べてもらうのが弔い方法だからあっているわね」


 サンザイは弔い屋の店主に話しかけた。


「すみませんでやんす! 少し話がしたいでやんす!」


「うちは無料渡しませんからね!」


「あの時はごめんでやんす。でも、主人様が少し話を聞いて欲しいでやんす」


「主人様、主人様!? うちの店にどの様なご用件ですか!? 立ち退きはしたくないです!」


「立ち退きじゃなくて、サンザイに食料調達をお願いしたのよ。それで、貴方の店で食料を買おうとしているみたいなんだけど、かなりの量が欲しいから割引して欲しいみたいなの」


「そうなのですね。ですが、うちの価格は他の弔い屋より安く設定しているので、これ以上安くなるのはちょっと」


「出来れば協力して欲しいのよね。はぁー、こう言う時に藍介がいてくれたらな」


「安くしてるって死体を集めているだけなのにこの価格は高いでやんす! 他の弔い屋もぼったくりでやんす!」


「サンザイ落ち着きなさい。それなら、このカードを持っている人には半額で販売するってことにしない?」


「そんな、主人様はうちらの努力は大したことがないといいたいのですか!」


「そんなことないわよ。その半額分の補填は私が建て替えるってどう?」


「それは、うちとしては今の値段で売ることができるので問題ないですが、主人様にそこまでしていただくのでしたらそのご提案承ります」


「サンザイそれでいいわね」


「主人様それなら、主人様が全て買った方が楽でやんす」


「何言っているのよ。私が次々に虫札を作り続けたら飽和しちゃうでしょ。虫札の価値が落ちちゃうから避けたいのよね。あと、10虫札しかないから他の金額も発行しないといけないわね」


「そうでやんすな、それじゃあ、10虫札10枚で20匹貰うでやんす」


「毎度あり!」


「それじゃ、サンザイこのカードあげるから無くさない様にしなさいよ。そうだ、このカードの後ろに名前書いてあげるわね」


 凪は蜘蛛のマークの黄色いカードの後ろに『サンザイ』と書いてサンザイに渡した。


「ありがとうでやんす! これを使えば屋台は全部半額になるってことでやんすね!」


「変なことに使うんじゃないわよ。用件も終わったし、このカードのこと屋台を出している人達に伝えないとね」


「そうでやんすね! その前にあっしはこの食料をキャサリンに渡すでやんす!」


「それじゃ、二人のことよろしくね」


「承知したでやんす!」


 サンザイはミハエルとキャサリンを探しに森へ行き、凪はクティスと一緒に森の市場を楽しんだのでした。

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― 新着の感想 ―
特殊な屋台ですね(・・;)虫達の感覚にしたら常識なんでしょうけど。 お名前が決まりました。食料問題もほぼ解決しました。そうして貧乏くじを引いた彼がそのまま調達係に成りそうですね(笑) ワンちゃんの…
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