カマキリ夫婦
凪達は風呂場から場所を変えて大広間でハリガネムシ事件の経緯を聞くこととなった。
「サヘルの魔力を感じ取ったかぁ、この子すごいね」
「ゴハン!」
カマキリの彼女は自慢げしていた。
「そんなんですよ。俺のハァーニィーは凄いんです! 食力もだけど」
机の上には大量の料理が並び、カマキリの夫婦は食事をしながら主人様と話をしていた。
「そもそも、よくリリアーナとサヘルを見つけることができたわね」
「あっ、それはですね。いくら森の中を探しても元凶が見当たらなかったので空も探してみるかってなったんですよ。ねぇーハァーニィー」
「ゴハン、ゴッハン!」
「うん、ごめん。料理食べてていいよ」
ハァーニィーは目の前に出された料理に齧り付いていた。
「お腹減ってたのね。で、その時にサヘルの魔力をハァーニィーさんが覚えていて、今日サヘルの魔力を感じ取ったから私の家まで来たと」
「はい、その通りです。あいつらは俺のハァーニィー達の仇なのです」
「ハァーニィーさんは隣でお肉食べてるけど仇ってどう言うこと?」
「それはですね。俺はハァーレェムゥーを築き上げ、10人のハァーニィー達と一緒に仲良く暮らしていたのです。その時に黒いモンスターが現れ俺の大切なハァーニィー達を殺し回ったのです。彼女はハァーニィー達の中で一番強く賢いハァーニィーなので俺は彼女のお陰で助かりました。その後は話した通り直ぐに仇討ちを果たす為に探し始め、銀次さんと金色丸さんとはその時にお会いしましたね」
「あら、そうだったの? 銀次と金色丸からそんな報告は聞いてないような気がするけど?」
「少ししか会話してませんでしたから、仕方ないですよ。あの、主人様にお願いしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「お願いって何?」
「俺とハァーニィーに名前をつけてもらえないでしょうか!」
「いいわよ」
「そうですよね。カマキリ族の俺とハァーニィーじゃ、名前をつけたくないですよね。そこをどうか!お願いします!」
「だから、いいわよ」
「名前を付けていただけるのでしたら、精一杯主人様にお使いします!」
「名前つけてあげるわよ!」
「そこをどうにか」
「ゴハン、ゴハンゴハン、ゴッハン」
「えっ? 俺は今主人様と大事なお話中なんだ、そうな簡単に名前を付けてもらえるわけないだろ」
「ゴハン」
「聞こえてないのかって?」
「カマキリさん、貴方達夫婦に名前を付けてあげるわ。でも、今は名前思い浮かばないから今日は! 思いっきり美味しい料理を楽しんでちょうだい!」
「いいのですか! アルジィ様! アルジィ様に精一杯仕えさせていただきます!」
「ゴハン!」
カマキリの彼女は彼の口にお肉を押し込んだ。
「ちょっ、大事な所なんだから料理は後で」
「ゴハン!ゴハン!」
「あら、ハァーニィーさんの方がわかっているわね。貴方も色々と言うか、ハリガネムシに寄生されてて大変だったでしょ。沢山料理食べてね」
「アルジィ様、ありがとうございます!」
カマキリの夫婦は美味しい料理をお腹いっぱいになるまで食べ続けたのでした。
だが、ハァーニィーが食べる量は多く、厨房にいたライネル、メテラールト、チェルーシル、ターレの4人は必死に料理を作り続け、メルト、サファイ、エーデル、そして、サンザイは料理の配膳係となり、腹ペコのカマキリ夫婦に料理を運んでいた。
「もう、どれだけ食うんでやんすか!おかわり25杯目っておかしいでやんす!」
「サンザイはドリンクだけだから楽じゃん」
「あっしはもう疲れたでやんす!!! あっしもご飯食べたいでやんす!!!!!」
サンザイは休暇を楽しんでいただけなのに、仕事をさせられて怒っていたのでした。その後、白桜に愚痴を聞かれてしまい、白桜からの仕事も増えサンザイは散々な目にあった1日となったのでした。
「カマキリ族のお二方の面倒をあっしがするのはおかしいでやんす!!!!!」
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