洞窟は大混乱 後編
サンザイとカマキリの彼は更衣室で話をしていた。
「今魔王軍の方達と長達が入ってますから、あっしが話をつけるまでは静かにするでやんすよ」
「スモールスパイダー君分かったさ! にしても、水の中に無性に入りたい気分、少しだけ、入ってもいいかい?」
「話が終わるまでダメでやんす!」
「仕方ない、早く話をしてきてくれスモールスパイダー君」
「あっしの名前はサンザイでやんす」
「ネームかぁ、俺も自分だけのネームが欲しいね」
「後で主人様に合わせてあげるからその時に主人様に名前をつけて貰ったらいいでやんすよ。あっしが呼ぶまでそこで待っているでやんす」
サンザイは先に風呂場に入り、カマキリの彼は風呂場の入り口前で待機していた。
「水に入ってみたい。少しだけ、少しだけなら」
カマキリの彼は勝手に風呂場に入り、温泉にお尻を入れたその時、彼のお尻から黒く細長いモンスターがニュルニュルっと出てきた。
「なんてことだーい! 誰か、誰か俺を助けて」
「あっ! 勝手に入って!? な、な、なんでやんすか!」
風呂場にいた全員が黒く細長いモンスターに驚いていた。
「なっ、あれはなんですか!?」
「うわ〜、蛇の親戚かな〜?」
「そんな事より、どうしてカマキリがいるんだ!」
黒く細長いモンスターは近くにいたカマキリの彼を締め付け始めた。
「誰か、た、助けて、ハァーニィー」
女湯でメルトの言うことをキチンと守っていたハァーニィーは彼のピンチを感じ取り壁を登り男湯に侵入した。
「あー! 勝手にそっち言っちゃダメだよ!」
「ゴハン! ごっはん!」
ハァーニィーは彼を助ける為に黒く細長いモンスターと戦い始めた。
「カマキリ族、ましてや、相当な実力者までも現れて一体どうなっているんですか!」
「そのぉ、あっしが彼等を連れてきたでやんす」
サンザイは今までの話を全て長達に話した。
「へぇ〜、それじゃあ〜、彼を助けてあげようか〜」
「お願いするでやんす! 悪い人達ではないでやんす!」
女湯では男湯に行くか主人様は悩んでいた。
「連れ返すには行くしかないけど、あっちが慌ただしいわね」
「確認するべきでしょうか?」
「それなら、あたしに任せて!」
紅姫と白桜は男湯に裸で行こうとしたが、主人様はそれを止め、水着を想像して、水着を着用して男湯へ向かった。
紅姫は黒のホルダーネックビキニ、白桜にはピンクのフリルが可愛いフレアビキニ、自分には白のワンピース型の水着を着た。
「カマキリの女の子がそっちに行っちゃったんだけど」
主人様は男湯に入ると、目の前には巨大なハリガネムシと長達、魔王達、そして、カマキリの彼女が戦っていた。
「ハリガネムシ!? うわっ、キモい!」
「ハリガネムシ? それは、あたし達と同じ昆虫なの?」
「いや、確か、寄生虫だったわね。えーと、確か」
主人様は藍介のスキル世界の図書館から寄生虫についての本を取り出した。
「主人様〜の声〜! もしかして〜、俺達と一緒に〜! 主人様〜! そんな〜! 可愛い〜! もう〜、俺の全てをあげる〜!!!」
紫水は主人様の水着姿に興奮し、彼女の側に瞬間移動並みのスピードで近寄り彼女に抱きつこうとした。
「紫水、それどころじゃないでしょ。ほら、助けに行ってあげなさい」
「そんなぁ〜、こんなに可愛い〜、凪に〜甘えられないなんて拷問だよ〜」
「あっ! 紫水ずるいです!」
緑癒は助け出されたカマキリの彼を治療していた。
「ふん! こいつ硬いな」
灰土はハリガネムシを殴ったがハリガネムシはダメージを全く負っていなかった。
「騒がしいのぉ、銀次、儂がちょっと倒しに」
「王手! おや、アビーサさん、今度も儂の勝ちですね」
「ぐぬぬぬぬぬぬ!!! いつの間に!もう一局じゃ!」
アビーサは風呂に入り、銀次と将棋を始めた。
ハリガネムシの硬度、柔軟さによって魔王達と長達は苦戦していた。
「こいつ、強いぞ!」
「俺が凍らせます」
「やめろ、折角温まったのに冷えちまうだろ!」
「ですが」
「なら、私がこの鎌で殺しますね」
イデア(裸状態)は鎌を取り出し、鎌を振りかざした時、イデアは凪の水着姿を見つけてしまった。
「なぁーぎぃーさぁぁぁあん!!!! なんと!素敵な!」
イデアは凪の水着姿に魅了され戦えなくなってしまった。
「ガウガァ、ガウガグルルガウカァ(仕方ないな、僕がこいつ倒してあげるよ)」
クティスが風呂から上がり、身体を震わせ、ハリガネムシを自慢の爪で切り裂こうとした時、イデア同様クティスも凪の水着姿を目にして、魅了状態となった。
「ガウガ!!! ガウガァグルルガウ!(凪!!!! すごく可愛いよ!!!)」
そんな情けない男達を見た紅姫はハリガネムシを高火力の剛炎糸で拘束した。そして、ハリガネムシを灰になるまで燃やした。
「流石、紅姫ね! 男達は何しているのよ!」
「そんなぁ〜、凪が〜、その姿でくるから俺と〜、獣君達が〜戦えなくなるって〜」
「そうですとも! 凪さんのそのお姿、なんと、妖艶で可愛く、美しい! はぁーあ!!!!! 今すぐにでも愛しあいたい!」
「ガウぅ〜(ごめんよぉ)」
こうして、紅姫の活躍でハリガネムシ事件が幕を閉じたのでした。
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