洞窟は大混乱 中編
カマキリの2人が主人様の家の庭に侵入した時、庭に人が誰一人いなかった。その後ろを追ったサンザイとメルトも庭に人がいない事に驚いていた。
「あれ? おかしいでやんかね? 確か、ラヒートさんが目覚めたので、話し合いをしている筈でやんすが? 誰もいないでやんすね?」
「うーん。みんなどこ行ったんだろう?」
「ゴハン! ゴハン!」
大きなカマキリは庭から家に入り込み、さっきまで話し合っていた居間で辺りをキョロキョロ見渡していた。
「ゴハン? ごっはん!」
大きなカマキリはラヒートが座っていた場所に白衣の男にかすかにだが、魔力を感じ取った。
「ゴハン!」
「なんだって!? ここに白衣の男がいたのかい?」
「ゴハン!」
「そうか、魔力を感じるのか。でも、ハァーニィー主人様の家にどうしてあいつがいるんだい?」
「ゴハァン?」
「分からないって俺に聞かれても分からないよハァーニィー。仕方ない、アルジィ様に聞いてみるか。そこのスモールスパイダー君、アルジィ様は今どちらにいるのか分かるかい?」
「分かんないでやんすな。ちょっと白桜様に聞いてみるでやんす」
「よろしく頼むねスモールスパイダー君」
サンザイは白桜に思念伝達でどこにいるのかを確認した。
「温泉施設に主人様と長達と魔王軍の方達がいるみたいでやんす」
「ちょっと、魔王軍の方達ってチェルねぇとかもそっちにいるの!?」
「多分そうでやんすね」
「それなら、私もお風呂入りたい! おっきな浴槽でお風呂に入れるとか天国じゃん! サンザイ行くよ!」
「分かったでやんす! カマキリさん達も一緒に来るでやんす。白桜様には色々話してあるので大丈夫でやんす」
「スモールスパイダー君気遣いありがとう。ハァーニィー! お風呂入ろうか!」
「ゴハン? ゴハン?」
「ハァーニィー、暖かい水に浸かるんだよ」
「ごはん?」
サンザイとメルトそして、カマキリの2人も一緒に温泉施設へ向かった。
男湯と女湯と書かれた暖簾までくると、メルトは大きなカマキリの世話をお願いされた。
「え!? 私がこの子を見なきゃいけないの!? 嫌よ、私にメリットなんてないじゃない!」
「そんな事言わないでやんす。メルトさんにしか頼めないでやんす」
「僕はそっちの方に行ってみたいものだね!」
「ダメでやんす! オスはこっちでやんす! 主人様が決めたルールは守らなきゃいけないでやんすからね。例え、貴方がいなくなったら意思疎通が困難になるカマキリ族が女湯に行ったとしても、ルールはルールでやんす」
「そうか、ごめんよハァーニィー、俺はこっちにしかいけないみたいだ。ハァーニィー、この美しい羊さんのいうことをちゃんと聞くんだよ。分かったねハァーニィー」
「ゴハン? ゴハン、ごはん?」
「そう、彼女の側にいるんだよ」
「ゴッハン!」
大きなカマキリは意味を理解したのかメルトを抱き抱え女湯に入って行ったのでした。
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