魅惑の監獄
ラヒートさんが目覚めたと緑癒から報告を受けて彼女に会いに行こうとしたが、今日はひとまず休ませてあげて明日彼女との話し合いを行う形となった。
そして、次の日の朝、居間ではラヒートさんを抱きしめ彼女から離れなくなった魔王と恥ずかしがるラヒートさん。
イデアさんとオビリオンさんそして私と緑癒と藍介にも時間を作ってもらい話し合いに参加してもらった。他の長達は庭で待機していた。
「あの、魔王様、私は醜いですから私に触れないでください」
「それは無理な話だ! 俺は君を愛している! やっと本当の君に出会えたのに君を離すなんて俺には無理だ」
「ふぎゅーっん!」
ラヒートさんは顔を赤らめながら、変な声を出していた。
「ほぉー、魔王様お熱いことで、ですが、私と凪さん程ではないですよね!」
そんな二人を見たイデアさんは感化されてしまって私に抱きついてきたが、今はそんな場合じゃないので、私はオビリオンを盾にした。
「な! おい! 俺は子供達の相手を泣く泣く辞退してきたのに、さっさと本題にはいってくれ!」
オビリオンさんは自身の子供達とボードゲームで遊ぶ約束さをしていたみたいだが、今回呼び出されてしまったので、代わりに現在、アビーサさんと銀次が子供達にボードゲームに教えている。
「でだ、ラヒートさん貴方が行ったことは死刑となってもおかしくない。そこは分かっているだろう?」
「おい! オビリオン! ラヒートを怖がらせる様なことを言うな!」
「彼女に甘々だから話が進まないんですよ! 俺は子供達と遊びたかったのに、バカップルの相手なんて本当はしたくないのです!」
魔王はラヒートとカップルと言われたことがとても嬉しそうにしていた。
「バカップルなんて、そんな褒められても」
「褒めてません」
「私のせいでごめんなさい」
私もリリアーナについて聞きたいことがあるので彼女に話しかけた。
「ラヒートさんリリアーナは何処にいるの?」
「それは、話せません」
ラヒートさんは何か恐れている様子だった。
「じゃあ、魅惑の監獄って何処にあるの?」
「魅惑の監獄はあらゆる場所に存在しています」
「ん? ラヒートさん私をおちょくっているの? 私はリリアーナの本拠地の場所を聞いているのよ」
「はい。魅惑の監獄は全ての監獄と繋がっています」
「監獄を作ればそこに繋がるってこと?」
「はい、それが神が作った監獄であってもです」
「神が作った監獄にも繋がる監獄?」
「はい、リリアーナ様は最初は魅惑の監獄の力を知りませんでした。そして、私があの時、リリアーナ様の為に開けた門、あの場所が神が作った監獄に繋り、ある男を解放してしまったのです」
「おっと、面倒な話になってきたわね」
「その男の名前はサヘル、神が封じた1人の異界の人間、それと、リリアーナ様は神に封印された男に入れ込み、彼を助ける為に世界の図書館というスキルが必要みたいでした」
藍介は世界の図書館が狙われていたことに驚いていた。
「おっと、まさか、あの時の奇襲は私のスキル目当てということでしょうか」
「だから、あの時、成れ果ては藍介を狙っていたのね」
「私はサヘル様の力でリリアーナ様となり、彼女のために魔王軍に潜入しました。そして、私が使い物にならなくなり、私に、私に、この世界には存在しないドラゴンの呪いをかけたのです」
「この世界に存在しないドラゴンとはどう言うことだ?」
オビリオンは彼女に聞き返した。
「私は一度見てしまったのです。サヘル様の研究室で全身が鋼で出来ている見た事のないドラゴンを」
「鋼で出来ているか、それはアースドラゴンの突然変異種の可能性があるんじゃないか?」
「いいえ、違います。あの時、私が見たドラゴンは生物なのかと疑うような、その、サヘル様の研究室には見たこともな魔道具がありました。その魔道具とそのドラゴンは似ていたのです」
すると、突如、彼女は悲鳴をあげて気絶し、魔王の後ろに白衣の男が現れたのでした。