獣の結魂式 後編
魔蟲の洞窟5層目にある教会にてイデア・ラヴァーズ&クティスと凪の結魂式が始まった。
新郎は教壇の前に立ち、花嫁が来るのを待っていた。
イデアは真っ白なタキシードを見に纏い、クティスは首元に赤い蝶ネクタイをしておめかしをしていた。
「ガウガ! ガウグルルガウウガ!(まだかな! 早く凪と結魂したいな!)」
「クティス落ち着きなさい。あー、早く凪さんとキスしたい!」
「ガウガグルガ〜(イデアが落ち着けよ〜)」
新郎が花嫁を待っていると、やっと花嫁が入場した。
凪の隣には灰土がいた。
「ちょっと、灰土固まりすぎよ」
「俺なんかが、エスコートをするなんて思いもしなくて」
「じゃんけんに負けたからいけないのよ」
「まさか、俺がグーで負けるとわな」
ほんの少し時が遡り凪のエスコート役を紫水、緑癒、灰土にお願いしたが、3人に断られてしまったので、じゃんけんで負けた人がエスコート役と言う事でじゃんけんをして、見事、灰土は負けたのでした。
「凪さん!美しい! 美しすぎます! あいしてまーーす!!!」
イデアは今すぐにでも花嫁の元に駆け寄ろうとしていたが、氷月とクティスがイデアを止めていた。
「獣の片割れ落ち着け、こう言う時は静かに待つのが正しい事だろ。みろ、獣の方が落ち着いているぞ」
「ガウガ!(ずるい!)」
「いや、獣の方が先に行きたがっていたのだな」
教壇前が騒がしくなっていると、花嫁が教壇前に着いた。
「それじゃあ、始めるぞ! 魔法陣起動!」
「ちょっと氷月さん待ってください! まず最初に誓いをしなくてはいけませんよ!」
「もう、起動してしまったからそんな事しなくてもいいだろ。ほら、どちらかが口付けをすれば結魂が完了するから早く済ましてくれ。俺様はこの後の料理が気になって腹がぺこぺこなんだ!」
「この神父酷すぎますって!」
「ガウ、ガウガウグルガウガ!(それって、僕が凪にキスすればいいんだね!)」
クティスはイデアが口付けをしなくても結魂できる事を知り、イデアよりも先に凪に口付けをしようとした。それを見たイデアはクティスを羽交締めにして阻止した。
「クティスは私の後ですよ! 凪さん! さぁ! 私とキスしましょう!」
「ガウガ、ガウディ、ガウエスト!」
クティスは掛け声共にイデアの拘束から抜け出し、凪の近くに口を近づけた。
「はいはい、最初はクティスね」
凪はクティスの口にキスをした。
「ガウエスト!!!!」
「そんなぁ!!!! 私が先のはずでしょ!」
「イデアさんも」
凪は落ち込んで膝から崩れ落ちたイデアに口付けをした。
「なぁぎぃぃいいいいいさぁぁぁあああああん!!! あいしてまーーーーす!!!!」
イデア&クティスは無事に凪と結魂が完了した。
その光景を見せられ続けている参列者達は笑いを必死にこらえている者や、子供の教育に悪いのではと子供達の目に手を添えて見えなくする者などがいた。
「結魂はこれで終わった! よし! これでやっと料理を食べれるぞ!!!」
氷月は誰よりも先に教会から飛び出で、教会外で準備されていた料理を誰よりも先に食べ始めたのでした。
そして、獣の結魂式は何事もなく無事に終わったのでした。が、その日の夜、他の夫、妻との戦いになるとは、獣は考えていなかったのでした。
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