獣の結魂式 前編
カオスな長達の結魂式を終え、次の日の朝、イデアとの結魂式の参列者が続々と魔蟲の森にやってきていた。
イデアが連れてきた参列者は魔王様、オビリオン一家、青雷、白桜配下の蜘蛛達、ラックル、屋敷のメイド達、そして、ゴウライ一家も参列することとなっていた。
羊の人獣メイドよメルトはサンザイを両手の上に乗せて同僚のメイド達と一緒に森を歩いていた。
「ひぇー、ここが魔蟲の森か、虫思ってた以上にデカい!」
「カマキリ族には気をつけるでやんす。あいつらあっしらをご飯としか考えていないでやんすからね。あったらすぐさまに逃げるでやんすよ!」
「サンザイ、逃げるのはそのカマキリ族の方だって、なにしろ、魔王様とオビリオン様も一緒なんだよ。この戦力を前にして戦おうとするのは自殺行為だよ」
「いや、それでもご飯の為には戦うのがカマキリ族でやんす」
「メーちゃん蜘蛛さんといつの間に仲良くなったの!?」
兎の人獣メイドのエーデルがメルトに聞いた。
「サンザイの仕事の手伝いをしたんだ。それで、ね」
「そうでやんす! メルトさんのおかげで白桜様の仕事を無事に終わらすことが出来たでやんす! その時に友達になれたのでやんす!」
「おー! いいね! 私も虫さん達と友達になれるかな!」
魔人で青い瞳のメイド、サファイも会話に加わった。
「メルト、エーデル、ずるい。サファイもお友達欲しいです」
「私はうまいもんが食えればいいかな、洞窟で出される料理って美味いんだろ! 特に森の黄金を使ったパンケーキ! あれめっちゃ美味かったよな!」
鮫の魚人メイド、メテラールトはこれから出させるであろう料理を考えていた。
「ふぅ、ふぅ、ふぅ、ずっと歩くのぉ疲れましたぁ! メルトぉ、蜘蛛よりも私をおぶってぇくださぁいぃ」
小人のメイド、ターレは森の中を歩き続けている為疲れ切っていた。
「ターちゃんは少し運動しなきゃダメだよ」
「そうだな、美味いもん食えると考えれば、頑張れるもんさ!」
「サファイも少し疲れてきましたが、森の中を歩くの久しぶりで楽しいです」
すると、メイド達の後ろからラックルを背中に乗せた青雷がやってきた。
「あー!メイドさん達おはよう! どうしたの? 歩くの疲れちゃった?」
「青雷様ぁ、乗せてぇー!」
ターレは青雷の足に抱きついた。
「うわ! いいよ。ラックル君メイドさん達歩き疲れてるから僕の背中に乗せてもいい?」
「はい! 女の子なら喜んで!」
ラックルはブロマイド販売をきっかけで、とある事に悩み、メイドである彼女達と関われて喜んでいた。
「それじゃあ、お邪魔しましょうか」
「私はサンザイと一緒に歩く」
「メルトさんいいのでやんすか? 青雷様に乗れば楽ちんでやんすよ」
「いや、みんな乗らないと思うんだよね。だから、私は歩く事にするよ」
「サファイももう少し森を歩きたいです」
「それじゃあ、私とメテねぇとターレが青雷様のお背中におじゃするってことで! 青雷様よろしくね!」
「うん! それじゃあ、メルトさんとサファイさんあとサンザイ、僕達は先に行ってるね。サンザイはちゃんと道案内するように!」
「分かっているでやんす!」
青雷はエーデル、メテラールト、ターレを背中に乗せて洞窟へ向かった。
メイド達の後ろを魔王とオビリオン一家、ゴウライ一家が歩いていた。
オビリオン一家は子供達が初めての海外旅行なのでとてつもなくはしゃいでいた。
「パパ〜疲れたぁ抱っこー」
「ずるいー!僕もー」
「ねぇ、ママ、あたしあっちに行ってみたい」
「こらこら、みんなの側から離れちゃダメだぞぉ♡」
オビリオンは久しぶりの家族旅行に喜び、子供達におじさんと呼ばれずパパと呼ばれてめちゃくちゃ喜び、尻尾がブンブンと切れるんじゃないかぐらいに尻尾を振っていた。
「あなた、そんなにはしゃぐと尻尾が切れてしまいますよ」
「俺がこんなに子供達に人気なんだぞ! 喜ばない方がおかしいじゃないか!」
ゴウライ一家はと言うと。
「こくじょー! こくじょー! どこー!!!!」
ゴウライに肩車をしてもらっているミーライはムカデの黒常を探していた。
「ミーライ、黒常は洞窟にいるんだ。だから、まだ会えないぞ」
「あらあら、ミーライは本当にムカデさんの事が好きなのね」
「ムカデじゃない! こくじょー! こくじょー!!!」
そんな家族に囲まれながら、魔王様は一人寂しく森を歩いていた。
「家族で旅行っていいよなぁ、俺なんて、ラヒート、ラヒート!!!!! 今すぐに会いに行くから待っていてくれよな!!!」
魔王様は叫ぶとオビリオンの子供達が怖がってしまい魔王様はオビリオンにめちゃくちゃ怒られたのでした。
そして、ついに魔王一向は洞窟にたどり着いたのでした。
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