長達の結魂式 後編
ついに結魂式は最後の紫水の番となった。
「それでは、最後の新郎の登場です! 1層目の長である黄結姫様の息子にして最強の水使い! 普段は布団に寝ているだけで護衛を本当にしているのか皆から疑問に思われていますが! ですが、実力だけはある! 紫水様のご入場です!」
紫水はDJ蜘蛛の自分の紹介が適当な事に腹を立ててながら入場した。
「ねぇ〜! 俺のこと何一つ褒めてないでしょ〜!」
ネルガルは親友である紫水が暴れないが心配していた。
ネルガルは隣にいるライネルに小声で話しかけた。
「なぁ、ライネル、もし、紫水が暴れたら俺と一緒に紫水を止めるのを手伝ってくれないか? 灰土さんは未だに寝ているし、さっきのDJの紹介じゃ、紫水なら怒ってDJを殺すとか言うと思うんだ」
「主人さんがいるからそんな事しねぇじゃねぇか?」
「いや、紫水ならやりかねないぞ」
ライネルは今までの紫水の行動を思い出した。
「やる可能性がたけぇな」
「だろ! もし、変な事をしようとしたら紫水を取り押さえるぞ」
「了解だ」
紫水はDJ蜘蛛に腹を立ててが主人様の姿を見て一瞬で怒りが収まり、主人様と結魂できる事に喜んでいた。
紫水は満面の笑みでヴァージンロードを歩き、彼女の前に立った。
「主人様〜♡ やっと俺と一緒になれるね〜♡ これからは〜、主人様の事を〜、ハニーって呼ぼうかな〜♡ でも〜、名前で呼ぶのもいいよね〜。凪〜。うん〜! 凪も良いね〜♡ 主人様はどっちが良い〜? ハニー? 凪?」
「紫水が呼びたい方でいいわよ」
「それじゃ、始めるぞ」
氷月は紫水の話が長くなると考え、魔法陣の起動を早めた。
「ちょっとぐらい〜主人様と話してもいいじゃん〜」
「ほら、起動出来たから口付けをしろ」
「なんだよ〜もう〜。はぁ〜、これで〜、晴れて俺と主人様は一つになれる〜。凪〜、今晩は寝かせないからね〜♡」
紫水は主人様に口付けをした。
「紫水、忘れてないかしら? リリアーナに復讐するまでそう言う事は一切しないからね」
「またまた〜、そんなこと言って〜、凪は〜、俺の妻になったんだら初夜ぐらいはしてもいいんじゃない〜?」
「初夜なんてしません」
「そ、そんなぁ〜。俺の夢がやっと叶ったと思ったのに〜、お預けとかないよ〜! やだ〜、やだ〜! 俺は今日主人様と交尾するんだ〜!!!!!」
紫水は床に寝転がり、駄々をこね始めた。
「紫水、やめなさいって」
「主人様が俺との交尾を承諾してくれるまでやる〜!!!!」
「ちょっと! 紫水! あたしだって主人様と愛し合いたいのに! あたしだって、あたしだって!」
白桜は椅子から立ち上がり、紫水のそばまで行くと、主人様の前で紫水と同じように駄々をこね始めた。
「あたしも主人様と交尾したーい!」
「どうやってするのよ!」
主人様の突っ込みは効かずに紫水と白桜は床に転がり、子供が欲しいものをねだる時並に駄々をこね続けた。
「あら、まぁ、私もやるべきかしら?」
紅姫は2人の駄々こねに参加しようと考えたが、絵面的に少し躊躇していた。
「花茶もやるー!!!」
花茶は参加しようとした時、ライネルが花茶の目の前に現れ、花茶を自分の膝の上に乗せて一緒に椅子に座った。
「ライネルお兄ちゃん! 花茶もあれやる!」
「あれはやるべきじゃない。折角の可愛いドレスが台無しになっちまうだろ」
「うーん、それも、そうか!」
ライネルの起点によって花茶は駄々こねに参加しなかった。
緑癒はと言うと、灰土にずっと膝を貸していたので、足が痺れ椅子から立ち上がるのに時間がかかっていた。
「くぅううう、足が、足が痺れてますぅ。早く、僕も参加して主人様と交尾をしたいと主張しなくては! でも、痺れてうまく、歩けません」
そして、折角の式がカオスになるなった時、救世主がやっと目覚めた。
灰土は周りの煩さで目を覚ました。
「はっ! なんだこの騒ぎは!」
灰土が目覚めると、目の前では、紫水、緑癒、白桜様、紅姫が主人様の前で床に転がり叫んでいた。そして、何故だが、それに氷月も混ざっていた。
「何が起こっているんだ?」
その間にも主人様は頭に手を当て、お手上げ状態となっていた。
主人様は灰土が目覚めた事を知ると灰土にすぐさま思念を送った。
『灰土! 助けて欲しいの! この床に転がっている駄々っ子達をどうにかしてー!!!!』
『かしこまりました!』
灰土はまず最初に紅姫にドレスが汚れると言い紅姫を駄々っ子状態から解放し、緑癒は尻を出しながら駄々をこねてた為、緑癒の尻をペシーンと一度叩き、緑癒を怯ませてから椅子に運び、白桜は体を抱き抱え強制的に椅子に座らせた。
そして、紫水は水を操り灰土に対抗した。
「おい! 紫水! そんな情けない姿を見せて恥ずかしくないのか! そんなんじゃ、主人様に愛想を尽かされしまうぞ!」
「そ、そんなぁ〜。凪は〜俺のこと好きだよね〜」
「うーん、今の紫水はかっこいいと思わないわね」
主人様の一言で紫水は落ち込み、駄々をこねるのをやめた。
「妻よ! 俺様の疲れたー! 交尾をするなら俺様が1番目の夫なのだから俺様が先だろ!!!!」
灰土はそんな氷月を見て、土に埋める決断をした。
氷月は床に寝転がっていると、地面が急に柔らかくなり、じわじわと床に体が飲み込まれていった。
「な! これはどう言うことだ! 妻よ! た、た、助けてくれ!!!!!!」
「灰土、このまま埋めちゃっていいわよ」
「かしこまりました。氷月様、少しは反省してくださいね」
「おい! 他の奴らより俺様の扱い悪くないか!!!」
氷月は床へ姿を消した。
「えーと、その、色々ありましたが、これにて結魂式が完了いたしました! この後は立食会となりますので、是非、皆様楽しんでください」
こうして、結魂式が無事に終わった。
床に埋められた氷月は10分程度埋まり続け、主人様が反省したでしょの掛け声で床から解放された。
「死ぬかと思ったが、そもそも、俺様は元は鉱石だからな! 土の中に入ると不思議と心が落ち着くものだな! 灰土! 今度、俺様を土に埋めてくれ!」
「かしこまりました」
「また埋まりたいの!?」
灰土と主人様は氷月が土に埋まりたいと言った方に驚いたが、まぁ、氷月だからと言う理由で納得したのでした。
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