菊姫と百合姫の結魂式
主人様の結魂式準備中にとうとう菊姫は痺れを切らし、百合姫との結魂式を決意した。
氷月は魔蟲の森の中央にある湖で1人、岩の上に紙を置き、結魂で使用する陣を作成していた。
菊姫はハチミツが入った瓶を持って氷月に近付いた。
「氷月様! 百合姫との結魂したいです!」
菊姫はハチミツを賄賂として氷月に渡した。
「ハチミツじゃないか! ありがとうな! すまないが、俺様は妻の結魂式準備で忙しいいのだ。特に獣との結魂は難しくてな、獣の魂に妻が引っ張られないようにする為の陣の構築をしなくてはいけないんだが、それがとてつもなく面倒なんだ。すまんが、妻の結魂式が終わった後でいいか?」
氷月は頭をフル回転させてる為甘いものを貰えてとても喜び、早速ハチミツを食べた。
「ハチミツ、食べましたね。さぁ! 氷月様! 賄賂を食べたのでしたら私と百合姫との結魂を今すぐに行ってください!!!」
「なっ!? それは卑怯だぞ!」
「問答無用! あと1時間ほどで百合姫が来るので、それまでに私と百合姫の結魂の陣を作成しといてくださいね。それでは、婚礼衣装を取りに行かないといけないので、失礼します」
菊姫は主人様の家に2人分の白無垢取りに向かった。
「あっ、待ってくれ、俺様は忙しい。菊姫飛ぶの速いな。仕方ない、獣のは後にして2人の陣を作成するか」
氷月は一旦獣の結魂の陣作成を辞めて、菊姫と百合姫の結魂の陣作成に取り掛かった。
菊姫は白無垢に着替え、主人様に説明し協力を仰ぎ、魔蟲の森の中央の湖で菊姫と百合姫の結魂式が開催された。
一方、主役の百合姫はと言うと、白無垢の前に立ち、考え込んでいた。
あたいは菊姫の事が好きさ、嬉しいけど、なんか、複雑なんだよな。嬉しいさ、とっても嬉しいけど、なんとも言えないこの感じ、ここまで準備してもらって拒否なんて出来ないし、まさかの主人様と白桜ちゃんが協力までしてるなんてより一層拒否する事なんてできないじゃないか! これを着ちまったらもう後戻りは出来ない、あたい、どうするだい! 拒否するか、それとも腹を括ってこれを着て結魂に望むか、あたいは、あたいは……。
そして、菊姫と百合姫の結魂式は陽が落ち始めた頃に始まった。
結魂式の参加者はもちろん長全員であり、遠くにいる藍介、黄結姫、青雷は水晶に映し出される映像で参加していた。
菊姫は白桜が作った白無垢に身を包み式参加者に会っていた。
「急に呼び出して何かと思いましたが、まさかの菊姫さんと百合姫さんが結魂するとは思いもしませんでした。でも、結魂おめでとう御座います。後で結魂祝いを送らせていただきますね」
「菊姫さん百合姫さんおめでとうございます」
仕事を中断して藍介と黄結姫は一緒に水晶を使って参加していた。
「藍介様、黄結姫様ありがとうございます」
「ですが、もう一人の主役はまだ会場に着いていないようですね?」
「衣装を着るのに手間取っているのだと思います。私もこの白無垢を着るのに時間がかかってしまい、気づいたら陽が落ちて来ちゃいました」
「白無垢も良いですね」
「とっても素敵です! 菊姫さんに似合いますね」
そして、百合姫が来るまで菊姫は式参加者の挨拶周りを済ましたころやっと百合姫が白無垢を着て飛んできた。
「ごめん! 菊姫遅れた!」
「百合姫! 来てくれたのね!!! よかった! 私てっきり、百合姫が逃げたとばかり考えちゃったわ」
百合姫は目を逸らしながら応えた。
「逃げるなんて、あたいがするわけないだろ」
「本当かな? なんで私の目を見ないのかな?」
「それは、菊姫がいつも以上に可愛いから直視できないと言うか」
菊姫は百合姫の言葉を聞き、頬を赤らめた。
「もう、怒ろうとしてたのに、怒る気なくなっちゃったじゃない。ちゃんと責任とってよね」
「あたいはどんな事が起きても菊姫を守ることを誓う!」
「ちょっと、その言葉は氷月様の前で宣言しなきゃ。さぁ、百合姫! 結魂を始めましょう!」
菊姫は百合姫の手を取り氷月の前まで手を引いた。
そして、魔蟲の洞窟、森の皆に祝福をされながら菊姫と百合姫は結魂を行ったのでした。
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