洞窟探検 2日目 『4層目の長候補』
紫水を先頭に、私、花茶と藍介で4層目の長候補のいる場所に向かっているのだけど、この道は初めて歩くわね。
4層目の湖で暮らし始めて最初の頃、藍介にこっちの方は行かない方がいいって言われだけど、これは忠告通りってことね。
そこには、大量の毒の鱗粉が吹き荒れ、蛾、ムカデ、など毒耐性をもった虫達しか存在していなかった。
こんなに凄い場所だったとは、ゲームだとここまで酷くなかったような気がするなぁ、蛾の毒鱗粉攻撃で毒状態になったり、ムカデに噛まれて毒状態はあったけど、歩くだけで毒になるって毒耐性持ってるとしてもきつくないかしら?
藍介がかけてくれた魔法の効果が切れたら私、毒で死んじゃうんじゃないかしら。ちょっと、怖くなってきちゃった。
「ねぇ、紫水、もうそろそろつく?」
「紫水、これ以上毒鱗粉が多くなると、いくら魔法を使って毒耐性を上げたとしても長く持ちませんよ」
「紫色の鱗粉綺麗だね!」
「花茶、それは毒なので綺麗でも危ないのですよ」
「えぇ!そうだったの!このまま進んだから危ないじゃん!」
「後ちょっとで着くから我慢してね〜。藍介〜、これ以上は危険と感じたら教えてね〜、俺が〜主人様を乗せて帰るからさ〜」
「この場所をここまで来るのは初めてなので出来るだけ早く済ませたいですね」
「あっ、いたいた〜。お〜い、主人様連れてきたよ〜。一度会ってみたいって言ってたじゃん〜」
紫水は立ち止まり、体を少し上げ左右に体を揺らした。
紫水の先には1匹の鮮やかな緑色の2本の角みたいな触覚が生えた巨大な芋虫がいた。
何この子! でかいけど可愛いじゃない!
花茶より大きい芋虫ね、何の幼虫なんだろう?
毛虫じゃないわよね。
なんか、どっかで見たような、ないような。
一応、挨拶してみよう!
「初めまして、ここの主人になった凪っていいます。不甲斐ない主人だけど、よろしくね」
『どうして連れてきた』
芋虫は私を見ると急に暴れ始めた。
えっ!
私、癪に触る事言ったかしら?
どうして暴れているの!?
これは逃げなきゃ危ない!
「主人様危ない!」
花茶が私の服を噛み芋虫の攻撃から守ってくれた。
紫水は暴れる芋虫を水を使い拘束しでいるが、芋虫は口から糸を吐きながら暴れに暴れていた。
幼虫なのにこんなに力が強いってどういうことよ。
これは、長候補って過言ではないわね。
いや、もう貴方、長なんじゃないの?
「ちょっと、何で暴れるんだよ。お前が一度でもいいから主人様を見てみたいって言ったから連れてきてやったのに、どういうことなんだよ」
『この場所は主人様にとって危険だ。早く連れて帰れ』
「それなら、暴れなくていいじゃん」
『お前は何を考え、ここに彼女を連れてきた』
「それは、お前が一度でも見たいっていうから」
『場所を考えろ馬鹿者が、主人様はか弱い生物、そんな主人様を危険な場所に連れてくるとは護衛失格だな』
「はぁ? 護衛失格ってどういう事だよ」
「ごめんなさい、私何か悪い事言っちゃったのね。謝るから暴れないで」
暴れる芋虫に必死に謝ったが、芋虫は私の話を全く聞いてくれなかった。
「もう、危ないから主人様連れて帰る! 主人様乗って!」
「うん」
「すみませんが、私は紫水が心配なのでここに残りますね」
「藍介大丈夫なの?」
「お兄ちゃん! 一緒に帰ろうよ」
「少し、気になることがありまして、私は大丈夫ですから。さぁ、早く逃げてください」
藍介は花茶の背から飛び降りると紫水の体によじ登った。
藍介大丈夫って言っているけど、本当に大丈夫なの?
「紫水! 藍介! 無事に帰ってくるのよ!」
私は花茶の背に乗り、花茶は家の方向へと走り始めた。
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