灰土、悩む
灰土は朝目覚めるとまず最初に筋トレを1時間して汗を流しに温泉施設へ行き風呂に入るのが灰土の朝のルーティンである。
今日も朝のルーティンを済ませ主人様の家に向かい、庭で寝ている紫水を起こそうとしたが、紫水はその日、ネルガルの家に遊びにいっていたので紫水が庭にいなかった。その代わりに魔王城まで飛ばされていたイデアが何故か主人様の寝室にいた。それを見た、灰土は驚きを隠さずにいた。
「イデアさん!? もう帰ってきていたのですか」
イデアは主人様に抱きつきクティスはイデアを主人様から離そうとイデアの頭に噛み付いていた。
イデアは頭から血を流しながら灰土に話しかけた。
「おや、灰土さん昨日の攻撃はなかなか痛かったですよ」
「あの、イデアさん血が出てますよ」
「このぐらいどうって事ないです。ただの戯れあっているだけです」
「そう言って、本当は痛いんでしょ」
凪はイデアの頭にタオルを押し付けた。
「凪さんが手当してくれている! 結魂して良かった!」
「いや、まだ結魂してないから」
「主人様、イデアさんと結魂するのですか!?」
「えぇ、そうよ。結魂しかイデアさんを帰らせる術がなかったのよ」
「凪さんと私は今日! 結魂するのです!」
「ガウガグルルガウカ!(クティスも一緒に結魂するよ!)」
「主人様、今日結魂式をするのですか」
「今日はみんなにイデアさんとの結魂をする事を伝えるだけで結魂式まではしないわよ」
「凪さん、私は今すぐに結魂式をしたいです」
「我儘言わない! 灰土ごめん長達をここに連れてきてもらえない?」
「はい、かしこまりました」
灰土は主人様の命令で長達に思念を送り主人様の家へ来て欲しいと伝えた。
その間、灰土は頭を抱え考え込んでいた。
主人様がイデアさんと結魂、俺は主人様と結魂したい。だが、俺は主人様とキスをしたこともなければ、そのような雰囲気になったことなど、一度もない。あの時頑張ってみたが、主人様に熱と間違えられ何も出来なかったし、俺も主人様と結魂できれば、俺でも主人様にキスが出来るのだろうか。しかし、結魂すれば藍介様の手伝いをしに人間の国へ行かなければならない。それは、主人様の護衛として主から離れるのはあってはならない事だ。それでも、俺は主人様と結魂したい。いや、でも、主人様の側にいられないんじゃ結魂する意味がないんじゃ、でも、側にいても俺はまだキスさえも出来ていない。あー!!!! 俺はどうしたらいいんだ!!!!
考え込む灰土に紫水が話しかけていた。
「灰土〜、俺〜主人様と結魂する〜。あいつなんかに先を越されたくないもん〜。あれ〜? 灰土〜? 聞こえてる〜? 灰土〜!!! あ〜、これは〜、全く〜、俺の話聞こえてないや〜」
緑癒が灰土と紫水の元へ走ってきた。
「紫水! 灰土さん! どうして、イデアさんが僕達よりも早く結魂するのか理由聞いてますか!」
「理由は聞いてないけど〜、多分〜、結魂しないと帰らない!って〜、イデアが言ったんじゃない〜?」
「あー、その可能性が高いですね。よし! 僕はイデアさんよりも先に結魂式できないか聞いてきます!」
「あ〜! 俺も行く〜! 灰土は行く〜?」
灰土は一切2人の会話が聞こえていない状態だった。
「ダメだこりゃ〜、緑癒〜、俺と一緒に〜、主人様に聞きに行こ〜」
「はい!でも、灰土さん大丈夫ですかね? 思念を送ってくれた時も心ここに在らずと言った感じでしたが」
「大丈夫じゃない〜?」
2人は灰土を置いて主人様の家に入っていった。1人取り残された灰土は、まだ悩んでいたのでした。
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