獣を家に帰す会議
居間で凪はとある事を悩んでいた。
「偽ダンジョンはヤングって言う子のお陰で、罠制作が捗りそうね。悩み一つ解消!」
すると、仕事を終えた(逃げ出した)イデアが凪に後ろから抱きついた。
「なぁーぎぃさっん! 凪さんの悩みがなくなって良かったです。私も凪さんのためならばなんだっていたしますよ!」
「そうね、悩みが一つ消えたと思ったら悩み事が増えたわね」
「ん? それはどのような悩みなのですか! 私に何でも相談してください!」
「それなら、イデアさん屋敷に帰って欲しいんだけ
ど」
「ん? 凪さん何かおっしゃいましたか?」
「だ・か・ら! 屋敷に帰ってくれない?」
「凪さん、私は屋敷に帰らなくても仕事が出来ますし、会議もこの水晶を使えば良いだけのこと。そもそも、藍介さんばかりに人間の国での仕事を任せっぱなしというのも心苦しいのですよ。なので! 私はここで! 凪さんをサポートする事が今現在、私の最優先の仕事なのです!」
「そう言うと思ったわ。はぁー、あのね、いや、もう何言っても話聞いてくれなそうだからイデアさんは今のままでいいわ」
「今のまま、そうか! 私は凪さんを愛し続けていいって事なのですね!」
「うんそうねー。それでいいわ」
凪はイデアの猛烈なアプローチを受け流しながら、イデアを家に帰す方法を模索していた。が、イデアにリモートワークを教えてしまった以上、帰す方法を見つけるのがより一層難しくなってしまった。
凪は考え、悩んだ末に自分1人じゃ思い浮かばないから長達を呼んで夜遅くに会議を開いた。
会議参加者は紫水、灰土、緑癒、紅姫、白桜が集まった。氷月も参加予定だったが、クティスが会議に参加しようとしていたので氷月を使いクティスの動きを封じたのであった。
この会議の当の本人は、凪の布団を自分の体温で必死に温めていたのであった。
「それで、会議の内容は分かっているわね」
「主人様〜、俺いいの思いついてるんだ〜」
「私もいい案があります!」
「あたしは、まだ出てないわ」
「イデアさんも困った者ですね。いっそのこと灰土さんの力で地中に埋めるのなんていいんじゃないですかね!」
「緑癒様、流石にそれは可哀想なのでは?」
「主人様に帰れっと言われているのに居座る方が1番悪いのですよ!」
「まぁ、それもそうだが」
「緑癒の案は土に埋めるっと」
凪はホワイトボードに『緑癒、土に埋める』と書いた。
「このホワイトボードに書いた事を全部試すわ! だから、どんどん良いアイデアを私に教えてちょうだい!」
「それじゃあ〜、次は〜、俺ね〜。俺はね〜、イデアを毒に沈めるのはどうかな〜。その毒はね〜。少しだけ触れるだけで即死する毒なんだ〜。不死身でも〜。常に死に続ければ〜、いつかは〜、倒せるんじゃないかな〜」
凪は紫水の案を書こうとしたが、流石に殺すのはやりすぎだと考えた。
「うーん、毒責め、殺すのは無しにしましょう」
灰土は緑癒の案が通っていることに驚いていた。
「土に埋めるのは殺すのと同じなのでは?」
「ダメかぁ〜。それなら〜、俺の水を使って〜、強制的に〜、国へ帰ってもらうのはどう〜?」
「それは良いわね! えーと」
凪はホワイトボードに『紫水、水を使って強制移動』と書いた。
「次は紅姫は何を考えたのかな?」
「私はですね。魔王さんに頼んでイデアさん本人が立ち合わないといけない仕事を作ってもらうなんていかかでしょうか!」
「それ良いアイデア!」
凪は『紅姫、イデアさんの仕事を増やす(絶対に本人が立ち合わないといけない仕事)』と書いた。
「さすがお母様です!」
「魔王さんなら、仕事を押し付けるのに関して、魔王さんの右に出る者なんていなさそうだから、なかなか実践向きね!」
灰土は手を挙げて発言した。
「あの、このような策を企てるよりも、イデアさんと話し合った方が良いのではないでしょうか」
「灰土、それが、出来たらこの会議なんて開かないわよ」
「ですが、イデアさんも今まで仕事が忙しく主人様に会えずしまいだったのですよ。少しだけ彼に休暇を与えてあげてもよろしいのではないですか?」
「なに〜、灰土は〜、イデアの味方なの〜?」
「いや、そうではないが、俺がイデアさんだったら、どんな事をしても主人様の側から離れないと考えたんだ」
「まぁ〜、俺も〜、イデアの立場になったら〜、イデアと同じ事するかも〜」
「だろ、だから、きちんと話し合うべきなのだと俺は思ったんだ」
「まぁ、そうよね」
凪は『灰土、イデアさんとの話し合い』と書いた。
「これで、出揃ったかしらね。白桜は何か良い案ある?」
「あたしは、脅すことしか考えられなかったです」
「脅すね。脅す材料が無いのよね。一応書いておきましょうか」
凪は『白桜、脅す』と書いた。
「これで、出揃ったわね! よし、次はこれを全て行動に移すわよ!」
「主人様〜、本当にこれ全部やるの〜?」
「やるわよ! やってやるのよ!」
「じゃあ、まず最初に僕の案の土に埋めるですね!」
「俺が埋めなきゃいけないのか」
「明日緑癒の案を実行するわよ! それじゃあ、みんな! 明日に備えて解散!」
「主人様〜、俺と一緒に帰ろう〜」
「いや、俺が主人様を連れて行く」
「いえいえ、僕が主人様をご自宅まで送るんです!」
緑癒、紫水、灰土が言い争っている間、紅姫が凪をお姫様抱っこをして家まで送ったのでした。白桜はと言うと、ちゃっかり紅姫におんぶしてもらっていた。
「紅姫さん〜ずるい〜!」
「いつの間に!?」
「なっ!? しかも、かなりのスピードだな! さすが紅姫様だな」
男3人は置いていかれまいと慌てて紅姫の後を追ったのでした。
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