洞窟探検 2日目 『長になる条件』
お昼ご飯を食べ終え、私達は3層目の探検に出かけた。
3層目はたまに行くから少しわかるけど、問題は4層目よね。自分が今、暮らしている場所だけど、長がまだいないから生存競争が激しいのよ。
まぁ、虫からしてみれば、それが正しいことなんだろうけど、私からしたら危険なこと多くて最初に出逢ったのが紅姫で本当に良かったわ。
言葉が通じるって大切よね。
それにしても、長になる基準って何だろう?
博識な藍介さんに聞いてみますか。
「ねぇ、藍介、1層目の長は黄結姫でしょ、2層目は緑癒、3層目は紅姫で4層目、5層目は長不在。それで、6層目が藍介なのよね? 長になる条件って何なの?」
藍介は歩くのが遅いので花茶の背に乗っていた。
「条件ですか、これと言って基準が定まっていないのですが、その層の強者が長になる条件だとすると黄結姫、紫水、紅姫、花茶があげられますね」
「あれ? 紫水と花茶も長だったの?」
「えっへん! 花茶は長なんだよ! 凄いでしょ!」
「一応、俺も〜長ってことになってる〜」
「長って各層に1人だけじゃないのね」
「そうですね、さっきの基準ですと、私と緑癒は当てはまりません。ですが、長としての称号を獲得しているので、他にも基準があるのではないでしょうか。例えば、緑癒は場合は私達の中でとても珍しい力である、回復魔法を使うことができます。あっ、いつも使っている緑癒の鱗粉は回復スキルの方に分類されますね」
「緑癒が鱗粉を使って傷を回復させているのは見たことあるけど、回復魔法まで使えたんだ」
「えぇ、緑癒は回復に特化した個体ですからね。私はというと、知識に特化した個体といったところですかね」
「ある一つの分野に特化すると長になれる称号がもらえる可能性があるってことね」
「確実とはいえませんが、多分そうなのだと思います」
「それじゃあ、もうそろそろ4層目に着くけど、4層目の長になりそうな子っているのかしら?」
「4層目は競争が他の層より激しいので私でもわからないです。申し訳ございません」
「謝る必要ないわよ。やっぱり、こればっかりはわからないのね」
「俺〜、少し心当たりあるよ〜」
「紫水、長になりそうな子知ってるの?」
「うん〜、多分あいつが長になるんじゃないかなって思うんだよね〜」
「あいつって?」
「それなら〜俺に着いてきて〜、あいつが居る場所教えてあげる〜。そう〜そう〜、藍介〜毒耐性魔法使って欲しいな〜」
「わかりました。主人様、私、花茶に魔法をかければ良いのですね。『毒属性耐性・中』選択属性耐性魔法、一応、気休めですが、庇護」
藍介が魔法を唱えると、私と花茶、藍介の体の下に魔法陣が展開され、その後に緑色の壁が現れた。
「これが、属性耐性魔法と庇護なのね。藍介、凄いわね!あれ? 紫水には魔法かけてあげないの?」
「俺は〜、元々毒耐性持ってるから〜、大丈夫〜」
「毒耐性あれば大丈夫よね」
私は藍介の頭を撫でてあげた。
それにしても、私以外魔法使っている所見たの初めてかも!
魔法を唱えるってやっぱり異世界には必要よね。
「主人様! 花茶も魔法使えるんだよ!みてみて!」
「花茶魔法使えるの! 凄いわね。どんな魔法なの?」
「お兄ちゃんを助けに行ったとき覚えたの! 木杭!」
地面から緑色の魔法陣が現れ、木の杭が一本現れた。
「花茶凄いわね! これって木属性魔法ってこと?」
「木属性魔法だよ! 花茶、最強だから覚えられたの!」
「そうなのね。偉いわね」
「俺だって〜、水属性魔法使えるよ〜、でも〜、スキルの方が使い勝手いいからあまり使わないかな〜」
「紫水も魔法使えるのね」
「うん〜、母さんは〜闇属性魔法使えるよ〜。確か〜、紅姫さんは〜炎属性魔法が使えるよ〜」
「紅姫が炎属性魔法で、 黄結姫が闇属性魔法を覚えてるのね」
「母さんは〜影を使った魔法なんだって〜」
「影ね、黄結姫が魔法使ってる所想像つかないわ」
「まぁ〜、母さんの場合は〜身体能力だけで充分強いから〜、あまり魔法使わないよ。それじゃ〜、あいつの所行こうか〜逸れないように着いてきてね〜」
「わかったわ」
「はーい!」
「道案内よろしくお願いします」
私達は紫水の案内の元、4層目の長候補の所に向かった。
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