獣のリモートワーク 準備編
屋敷に侵入者が現れた次の日の早朝、イデアはラックルの部屋に泊まっている青雷に会いに行った。
「青雷君! 昨日酷い目に会いましたよ!」
「ガウグルルルガ!(侵入者多すぎ!)」
「うわっ! イデアおじちゃんどうしたの?」
「どうしたも何も、屋敷に侵入者が現れてメイド達が眠らされてしまったのですよ。しかも、朝なんて女性達が私の屋敷に入ろうと門の前が人で溢れかえって危なかったのですよ!」
「こっちもイデアおじちゃんのブロマイドが売れに売れて大変だったんだよね。今日も販売しなきゃだからもうそろそろ僕家でないといけないから、イデアおじちゃん頑張ってね」
「待ってください! 私はこれからも屋敷の侵入しようとする女性達と戦わないといけなくなるのは嫌です」
「ガグルガガウガァ(1日だけで十分だよ〜)」
「そう言われても僕じゃいいアイデア思い浮かばないな。うーん、よし!それなら、主人様に聞いてみるね」
青雷は主人様に連絡した。
「主人様がイデアさんの話を聞きたいみたいだから、イデアおじちゃんが主人様に連絡してだって、それじゃあ、僕は仕事行ってくる! ほら、ラックル君行くよ!」
「凪さんから連絡が! 身支度を整えなければ!」
「ガウガグルルガウカ!(久しぶりに風呂に入らなきゃ!)」
「僕はまだ寝たいですぅ」
青雷はラックルを糸でぐるぐる巻きにするとラックルを担いで市場へ向かった。
イデアとクティスは慌てて屋敷に帰ると体を洗い身支度を整え、そして、凪に連絡をした。
「なぁっぎぃっさぁぁああんんんん!!! 私は本当に大変な目にあったのですよ!!!」
「ガウガウ! ガウエスト! ガウエスト! ガウエスト!(凪凪! 頑張った!頑張った!頑張った!)」
凪は画面いっぱいに2人が頑張ったアピールをしているのを見て少し引いてしまっていた。
「その、大変だったのね。えーと、青雷から話は聞いたわ。このブロマイドのせいで屋敷に侵入者が現れたのよね?」
「そうなのですよ! まぁ、たまに侵入者が来ることはありますが、それにしても数が多くてメイドと警備兵達が疲弊してしまっているのです」
「ガウガグルルルルルガウ!(すごい人の数だったよ!)」
「それじゃあ、仕事も出来なくなるわよね。それならさ、こっちに来る? 仕事はそっちに書類が送れるようにすれば良いだけだし」
「凪さんの側で仕事が出来る!? それは、とてもとっても! 嬉しい提案です!」
「ガウ? ガウガグルガウ……? ガウガ!ガウガ!(えっと? 凪と一緒に仕事できる? やった!やった!)」
「それじゃあ今すぐに仕事送る君を水晶の方に送るから魔王さんには話通しておいてね」
「はい! 魔王様にはぶん殴ってでも話を通します!」
イデアは凪と連絡を終えるとメイド達に経緯を伝えて魔王城へ向かった。
「魔王様! 私はこれから凪さんのところで仕事をするので書類はこちらに入れてください! あと、会議ではこちらの水晶を使って出ますので会議の5分前に私にこの水晶を使って連絡をしてください。 それでは、今すぐに凪さんの元へ行かなくては! 失礼します!」
「おい! 待てよ! それが出来るなら俺もそっちに」
イデアは魔王の話を一切聞かずに部屋から出て、オビリオンに書類送る君の説明と水晶の説明をして魔蟲の洞窟へ向かったのでした。
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