ラックルの撮影会
白桜のお金稼ぎ計画は進み、ブロマイド用の撮影会が魔王城の一室で開かれていた。
白桜の配下である蜘蛛達は魔族の国まで1ヶ月の旅を行い、そして、青雷と共にラックルの撮影会に望むのであった。
「カメラさん、この衣装は何処へ置けばいいかな?」
青雷はカメラと呼ばれるカメラを常に持っている蜘蛛にラックルが着るフリルが沢山付いている服の置き場所を聞いていた。
「それは、そこへかけといてください。カスタマーが衣装を手直ししてくれますし、あっ、そうそう、白桜様がラックルだけじゃ売れるか分からないから確実に売れるやつを連れてきて欲しいと仰っていました」
「確実に売れるか、そうなると、イデアおじちゃんしかいないな。でも、どうやってイデアおじちゃんに頼もうかな? 魔王様から何でも券残ってるからお願いできるけど、うーん。どうしようかな?」
「白桜様に一度聞いてみてもよろしいのではないですか?」
「それもそうだね、ありがとうカメラさん」
「いえ、撮影のことは私達にお任せください! 青雷様にはスカウトをお願いします」
「うん! ラックル君! 僕ねぇちゃんに連絡するからちょっと部屋から出るね。撮影頑張ってね」
「あっ! 青雷君! 僕をひとりにしないで!」
青雷は部屋から出て行ってしまった。
ラックルは沢山の蜘蛛に囲まれながら、蜘蛛達の手によって衣装の手直しや、スタイリングなどを受けていた。
「あの、どうして蜘蛛なのにこんな事ができるのですか?」
「私めは白桜様配下。白桜様の配下になるには特殊な条件がありまして、その条件というのが美なのです」
「美? 」
「美を追い求める者達だけしか、白桜様の配下になれず、その美にも色々あります。私めは美をこのカメラで撮る事で美を感じます。他にも、スタイリングなどは分かりやすく、化粧や髪型に美を求め、他にも、服に美しさを求める者などがいます」
「そ、そうなんですか。白桜ちゃんすごいなぁ」
「あら、ラックル様、動かないでください。衣装の最終調整中なんですから、動くと針に刺さっちゃいますよ」
「ごめんなさい」
ラックルが着ているピンク色のドレスに蜘蛛がリボンを付けていた。
「カスタマー、もうそれぐらいにして撮影しましょう」
「まだです! あと少しでリボンがつけ終えるのでカメラ、5分待っててください!」
「分かりました」
5分後、カスタマーはラックルの衣装にリボンを付け終え、撮影が開始された。
ラックルはカメラの前に立つと、後ろの緑色の布が気になった。
「あの、どうして後ろが緑色の布一色なんですか?」
「それはですね。私めの力を使う為に必要なのですよ」
「そうなんですか?」
「はい、それじゃあ、ラックル様、私めが言うポーズをとってくださいね!」
「はーい。うう、すごく恥ずかしいです」
その後、ラックルはピングのドレスを着て何種類かポーズを撮ってもらった。
「ラックル様、写真を確認してします?」
「恥ずかしいけど、見てみたいです!」
カメラは撮った写真を魔石に投影すると、緑色の背景だったのに、背景が森の中へ変わっていた。
「あれ? 僕の後ろ緑色の布なのに? どうして木が写っているのですか?」
「ふふふ、それは私めのスキル! 緑背景の力です! 私めは緑の布を背景にする事で撮影すると緑の布を自分が思い描いた背景に入れ替える事ができるのです!」
「それなら、緑の布さえあればなんでもその場所を入れ替える事ができるのですか!」
「いえ、カメラに写した時にしか使えないので、私めは戦闘能力皆無なのです!」
「ちょっと! 次の撮影押しちゃうからさっさと次の衣装に着替えるわよ!」
「はーい」
ラックルはその後、服を計15着を着て撮影を終えた。
「つ、疲れましたぁ」
「ラックル様お疲れ様でした。それにしても、青雷様が戻ってきませんね?」
「青雷君どうしたんだろう?」
蜘蛛達とラックルは青雷が帰ってくるまで雑談して時間を潰したのでした。
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