マラン、紅姫と闘う 決闘後編
実況のDJ蜘蛛と灰土がマイクで話していた。
「氷月様の乱入がありましたが! 紅姫様は止まらない! 華麗なステップでマランとの距離を詰めていくぅうううう!!!」
「紅姫様は常に攻撃を行なっている。マランは回避することしかできないようだな」
「おっと! 紅姫様の強力なストレートがマランを襲う!!!」
「だが、流石マランだ、速さだけは紅姫様よりもあるみたいだな。魔法を使い防御力を上げたとはいえ、一度紅姫様の攻撃を受けているからな。体力がもつかが彼女に勝つ鍵だな」
「おや、灰土さんは紅姫様が負けるの予想しているのですか?」
「紅姫様が負けることなどない。が、勝負というのは状況によっては立場が逆転し負けることもあるとだけ言っておこう」
紅姫と闘うマランは必死に頭を使っていた。
紅姫さんを転ばせる為には、どうすれば、くそぉ、動き続けて汗が、汗? そうか! 汗だ汗!
「水防御膜!!!」
マランは水の膜を体に纏わせ、マランには風、水の防御魔法で守りを固めた。
「防御を固めただけじゃ、私には勝てませんわよ!!!」
紅姫はアッパーをくりだした。マランは避けるのではなく、水防御膜で彼女の攻撃を受けた。
水防御膜は紅姫の攻撃に耐えきれずに辺りに水をばら撒いた。
「せっかくの防御魔法も簡単に壊れそうですわね!」
紅姫は何度もストレートを水防御膜に当て、6発目で水防御膜は弾け散った。
「くっ! これじゃ、守りきれないか」
「ここまでですわ! 私の勝ちですわね!」
紅姫が勝利を確信し、力を込めた強力なストレートを繰り出そうとした時、マランはここぞとばかりに氷魔法を発動した。
「氷幻」
マランの体は不思議な光に包まれ、マランの足元のリングの床が凍りついた。
「えっ、きゃっ!」
紅姫は氷を踏み、そのまま滑って転んでしまった。
「ま、ま、まさか!!!! みなさん! まさかの大逆転です!!! 紅姫様が転倒、そして、勝者は! マラン!!!!!」
観客は騒然としていた。紅姫様が負けるわけないと皆が確信していた。なのに、紅姫様は転び、マランが両手をあげ、勝利の雄叫びを上げていた。
「マラン!!!!」
「マラン!すごい!」
「紅姫様大丈夫かな?」
「マラン、ツヨイノカ?」
観客は一斉にマランの勝利を讃えた。
マランは転んだ紅姫に手を差し伸べた。
「まさか、私が負けるなんて思いませんでしたわ」
「俺も紅姫さんに勝てるとは思ってなかったです」
紅姫はマランの手を掴み、立ち上がった。その時、歓声はより大きくなった。
「おっと、ここで主人様からお話があります!」
「えーと、今回マランさんは2つまでの魔法の使用許可があり、先ほどの試合にて3つの魔法を発動したことによって、マランさんは失格として、この勝者は紅姫となります」
「あっ! すっかり忘れてた!!!」
「あら、主人様! 私は負けでいいですわ!」
紅姫は大きな声で言った。
「紅姫、相手は不正をしたのよ。それでも、紅姫が負けでいいの?」
「元々、身体能力の差がありましたから、魔法1つだけ多く使用したとしてもその差が埋まるわけないですわ。ですが、彼の戦略はこの私を転ばしたのです。だから、私はマランさんに負けたのです! この試合の勝者はマランさんですわ!」
紅姫はマランを持ち上げ、肩車をした。
「紅姫さんちょっ! 俺、重たくないですか?」
「男性にしては軽いですよ。さぁ、マランさん、もう一度勝利の雄叫びを!」
マランは叫び、紅姫はマランが観客に見えるようにリングの外周を一周したのでした。
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