マラン、紅姫と闘う 紅姫練習編
紅姫が果たし状をもらった時の事、紅姫は主人様にマランからの果たし状を見せた。
「主人様! これは果たし状と言うものですよね! この私と戦いなんて面白いですわ!」
「紅姫一旦落ち着いて」
紅姫は嬉しさのあまり主人様を押し倒す勢いで迫っていた。
「うーん、マランさんが紅姫と戦おうとするかしら? 彼の事なら恋文とか送ってきそうじゃない? 果たし状かぁ、まぁ、楽しそうだから思いっきり盛り上げますか!」
「主人様の何か考えついたのですか! 是非、私に教えてください!」
「それはね」
主人様は紅姫に面白いアイデアを話した。
「やりましょう! ボクシングと言うのは拳で戦うのですね。楽しそうですが、彼の身体は細いので一撃で終わっちゃいそうで可哀想ですわ」
「まぁまぁ、紅姫もボクシング初めてなんだから、そんな簡単に倒せられないんじゃない? そうね。一回練習してみるのも良いんじゃない? リングは私の方で建てるし、そうね。こんな楽しい催し物なんだから、周りに屋台でも出してお祭りにしましょうよ」
「お祭り! はい! とっても楽しいと思いますわ!」
「そんじゃ、灰土! 灰土ぉおおお! ちょっときて頂戴!」
主人様は庭に向かって大きな声で灰土を呼んだ。
「主人様! どうしましたか!」
汗を大量にかいた上裸の灰土が魔力の羽を広げて飛んできた。
「ちょっと、灰土汗だくじゃない! ほらこれ、タオルで汗を拭きなさい。あと、服着ないと風邪ひいちゃうからほら汗を拭く拭く!」
「ありがとうございます」
灰土は鍛え抜かれた体を主人様に見せつけながら汗を拭き服を着た。
「それでは、主人様。俺を呼んだ理由はなんですか?」
「あのね」
主人様は灰土に説明すると灰土は快く承諾してくれた。
「拳で戦うスポーツですか、楽しそうですね。主人様そのボクシングの本を借りてもよろしいですか?」
「いいわよ。それで、今日は紅姫がボクシングを体験してあげたくてある物を作ろうと思うのよ」
「ほぉ、もしかしてサンドバッグですか?」
「そうそう、サンドバッグを庭に設置しようかなってね」
「主人様もボクシングをやってみてもよろしいかと、ダイエット効果があるみたいですよ」
「うーん、考えておくわ。それじゃあサンドバッグ設置するわね」
主人様は庭へ出るとサンドバッグを設置した。
「これが、サンドバッグ? どうやって使うのですか?」
「俺が一度やってみよう」
灰土は本で読んだ通りにステップを踏みながら、腰を入れた強力なパンチをサンドバッグに打ち込んだ。
可哀想なことに、産まれたばかりのサンドバッグは灰土の強力な一撃によって爆散した。
主人様は大きな声で爆散したサンドバッグを呼んだ。
「一号ぉぉおおおお!!! なんてことなの、一号が産まれたばかりの一号が! たった1分足らずで爆散したわ!!!」
灰土はすくさま主人様に土下座をした。
「主人様、申し訳ございません!!! 俺が強く殴ったせいで、主人様が作った道具を壊してしまいました! 本当に申し訳ございません!!!」
「凄いですわ! 砂が大量に飛び散りましたね!」
「まぁ、うん。仕方ないわよね。よし、次は耐久力が高いサンドバッグを作るわね!」
そして、灰土は爆散したサンドバッグの亡骸を片付け、主人様はサンドバッグ二号を作り庭に設置した。
「私も灰土さんみたいに爆散させますわ!」
「爆散させなくて良いわよ。でも、二号の耐久力は一号の2倍よ。そんな簡単に爆散なんてさせないわ!」
「灰土さんはこう、腰を入れて、そして、殴る!」
紅姫は完璧なフォームでサンドバッグに一撃を入れ、二号は紅姫の力に耐えきれず、爆散した。
「やりましたわ!!! 爆散成功ですわ!!!」
主人様は膝から崩れ落ちた。
「二号!!!!!! そんな、二号までもが、爆散!? どう言うことなの! 2倍の耐久力じゃ意味がないってこと!? なら、次は二号の10倍の耐久力の三号を作るまで!」
「紅姫様なかなかやりますね。良い一撃でした」
「灰土さんの見本が良かったからですわ。次も爆散してみますわ!」
「サンドバッグを爆散させる物じゃないんだけどな。まぁ、次!」
紫水はネルガルと遊んでいたが、途中で飽きたので主人様の家に戻ってきた。すると、庭からバァーンと何かが破裂する音が聞こえ慌てて庭へ向かった。
「なに〜!? なんなのこの音〜!?」
紫水の目の前には主人様が四号と叫び、紅姫は嬉しそうに飛び跳ねていた。そして、紫水は灰土に話しかけた。
「ねぇ〜、灰土〜。何やってるの〜?」
「それがな、紅姫様に果たし状が送られてきたから、一対一で戦うためにボクシングで戦う話になったみたいでな、紅姫様にそのボクシングの練習か出来るように主人様はサンドバッグを作ったんだが、主人様の想像を超える紅姫様のパンチ力によってサンドバッグが爆散してな、これで4個目のサンドバッグがお亡くなりになったと言うわけだ」
「それで〜、主人様〜、四号って叫んでたんだ〜。楽しそうだから〜、俺もやってみようかな〜」
「紫水は爆散まではいかないんじゃない?」
「俺を〜、甘くみない方がいいよ〜。俺は〜あの灰土の地獄訓練を耐え抜いたんだからね〜。俺だって〜、こんなの〜、簡単に爆散してあげるよ〜」
そして、紫水はサンドバッグ五号を全ての力を込めたパンチを撃ったが、サンドバッグ五号は紫水のパンチを受け止めた。
「あれ〜? 爆散しないな〜?」
紫水は何度もサンドバッグ五号を殴ったが、少しだけ揺れるだけで爆散する事ができなかった。
「これ〜壊れてるんじゃない〜?」
「いいや、本来の使い方が出来ているな。耐久力が上がったからか?」
「それでは、私が一撃で沈めてみますわ!」
「一撃で沈めようとしないでぇぇえええ!」
紅姫は力を溜め、渾身の一撃を放つと、サンドバッグ五号は爆散した。
「やりましたわ!!! まだまだ行けそう!」
紅姫ははしゃぎだし、主人様は撃沈し、紫水は紅姫のパンチ力に引いていた。
「まじ〜!? こわ〜!? あんな威力のパンチ受けたら死んじゃうよ〜。マランの奴〜、なんで〜、果たし状なんて送ったんだ〜。死にに行きたいのかな〜?」
「紅姫様の一撃をまともに喰らったらマランさんなら、即死だな。緑癒様に伝えておかないとな」
「そうだね〜。俺は〜、絶対に〜紅姫さんを〜、怒らせないようにしないとな〜。前の俺なら耐えれたかもだけど、今の俺じゃ耐えきれなそう〜」
「今度こそ! 爆散しないサンドバッグ作るわよ!」
「臨むところです!」
主人様は紅姫の一撃に耐えるサンドバッグを作るために何度も作り直し、そして、サンドバッグ十四号でやっと一撃で沈まなくなったのでした。
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