花茶のお世話係
花茶は兄である藍介が旅立った後、1人で眠るのが寂しい時は主人様の布団の中に潜り込むか、ライネルの布団の中に潜り込んでいた。
その花茶の被害を受けた2人は主人様の家の居間で花茶の世話係について話し合っていた。
「急に布団の中に入ってくるのはやめて欲しいわよね」
「男の部屋に上がり込むの普通にいけないよな。てか、主人さんなら普段爆睡してるから花茶の事を気付いてないよな?」
「失敬な! 私がいくら寝相が悪くても朝起きて花茶がそばにいるとびっくりするのよ! それなら、最初から一緒に寝ようって言ってくれればいいのに」
「花茶、よく主人さんの布団の中に潜り込むよな。俺なら、かかと落としが怖くて一緒の布団の中に入るのは怖いぜ」
「藍介がいなくなって寂しいのよね。私がお願いした事なんだから、私が責任を持って花茶のお世話をするわね」
「いいや、主人さんじゃ寝ている間に花茶を攻撃する可能性がある。それなら、俺が花茶の家で泊まり込みをすればいいんじゃねぇか?」
突如、庭の木が光り始め、魔石精霊アが現れた。
「2人とも違うわよ。私が花茶ちゃんを立派な歌姫に育て上げる為に私が花茶ちゃんのお世話係をするわ」
「アさんはダメだな。花茶が遊べなくなっちまう。あのな、育て上げるにも限度がある。仕方ない、俺が泊まり込みするか」
「いや、私が花茶と一緒に暮らすわ。白桜もいるから友達同士仲良くできるでしょ」
「あの2人は仲良くないわよ。それなら、私が花茶ちゃんの為に豊穣の森で彼女を受け入れるわよ」
「いいや、俺だな。藍介さんの畑を見なきゃなんねぇし、花茶が俺の飯を食いてぇってうるせぇんだよな」
「もしかして、ライネル。花茶の事、好きなの?」
「あぁ? そりゃあ、好きだぜ」
その瞬間、主人様とアに衝撃が走った?
「花茶ちゃんとライネルが、まさか、そんな関係に!? うそ、私そばにいたのに気付かなかったって事!????」
「花茶に彼氏が、ら、ら、ライネルが花茶のカレシ、藍介に! ほ、ほ、報告しなきゃ!」
「はぁ? 急に何慌ててるんだ?」
「だって、ライネルは花茶の事が好きなんでしょ」
「好きだぜ。あっ、もしかして、女として好きではないぜ、俺はガキには興味ないんだわ」
「ふぅー、それなら友達のしての好きなのね。良かったよかった。危うくライネルが藍介に殺させるところだったわ」
「おい、主人さん、藍介さんに連絡しようとしやがったな」
「だって、これは由々しき事態だもん! 言ってあげないと知らなかった藍介が可哀想でしょ」
「俺と花茶が恋人になるなんて、そうだな、花茶があと10年歳をとったら考えやってもいいけどよ。俺は年下は好きじゃねぇんだわ」
「ねぇ、ライネル、衝撃的な事教えてあげようか?」
「ん? 衝撃的な事? なんだそりゃあ」
「花茶はライネルよりもうーんと、歳をとってるわよ」
「そんな事ねぇだろ。俺が初めて花茶に会った時も話し方が子供ぽっかったし、たまに、しっかりしている時もあるけど、花茶は俺よりも年下だな」
「えーと、花茶ちゃんは確か、洞窟が出来て、神に権限移譲をして、私が豊穣の森の門番にゴキブリを選択して、何年経ったかな? 紅姫と黄結姫が縄張り争いをして、森に出ちゃって人間が恐怖し、そこからここの土地が禁足地と呼ばれるようになった時? うーん、そのぐらいの時には花茶ちゃんが産まれているかもしれないわね」
「よくわかってねぇしゃねぇか!」
「精霊である私が時間になんかに縛られるわけないでしょ」
「多分、長く生きていくと日にちを数えるのが億劫になるんじゃない?」
「私は何万年も生きているからね! 凪ちゃんのいう通りよ」
すると、花茶が大きな鳥を背負いながら部屋へやってきた。
「主人様!!!! 見てみて! 花茶はー!!! さいきょーなんだよ!!! あれ? ライネルお兄ちゃんとアお姉ちゃんがどうして主人様の家にいるの?」
「花茶ちゃん! それはね、花茶ちゃんと一緒に暮らすのは誰かという話になって、話し合いをしていたのよ。ねぇ、2人ともそうよね」
「お、おう! そうだ、花茶と一緒に暮らすのは誰がいいかって話し合ってたぜ」
「そうそう、花茶は誰と一緒に暮らしたい?」
「うーん、花茶は、主人様とライネルお兄ちゃんとアお姉ちゃんと一緒に暮らしたい!」
「それだと大人数になるわね」
「ねぇ、こうしましょうよ。1日交代で花茶ちゃんのお世話をするのってどうかしら。今日は凪ちゃん、明日は私、明後日はライネル、それでどうかしら?」
「なぁ、花茶はどう思う?」
「花茶はそれでもいいよ!」
「それじゃあ、今日は私と一緒に寝ましょうか!」
「うん! 主人様と一緒に花茶寝るねー!」
「私は明日で」
「明後日は俺だな。了解だ。んじゃ、俺は灰土さんの所で筋トレしてくるからそんじゃあな」
「ライネルお兄ちゃん、ムキムキになりすぎちゃって糸吹きさんみたいになっちゃうよ!」
「俺は灰土さんに憧れてるんだよ」
「なら、私は明日の花茶ちゃんのトレーニングを考えなきゃ」
それぞれの落とし所が見つかり花茶のお世話係は分担する形になったのでした。
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