灰土の特別な訓練から逃げ出せ 前編
「いやだぁぁぁぁああ〜〜〜!!!! 母さん〜! 助けて〜!!! 俺は主人様の側にいたいよぉぉぉお〜」
暴れまくる紫水を担ぎ、灰土はネルガルとライネルが訓練を行っている灰土の訓練場に連れて行っていた。
「紫水、暴れるな。主人様がお前を連れて行けと俺に命じたんだ。10日間、地獄の訓練を受けてもらうからな。覚悟しておけ」
「いやだぁぁぁ!!!!」
灰土が幼虫時代に鍛錬をしていた4層目に着くと、ネルガルが萎れて倒れていた。紫水は倒れているネルガルを見つけると、灰土から逃げ出し、ネルガルに駆け寄った。
「ネルガル〜! ネルガル〜!? もしかして〜、死んじゃったの〜!!! 起きて〜! ネルガル〜! 死んだら〜、俺が〜、怒れないでしょ〜!!!」
紫水は萎れているネルガルの頬を叩き始めた。
「起こす理由が怒れないからって、ネルガル可哀想だな」
萎れているネルガルに対して、ライネルは訓練を楽しんでいた。
「灰土さん! 俺の筋肉見てください!」
ライネルは鍛え上げた筋肉を灰土に見せた。
「なかなか、良い筋肉に仕上がっているな。特に、大胸筋が良い出来だ」
「ありがとうございます! 俺もっとがんばります! うおぉぉぉおおおおーー!!! 久しぶりの訓練たのしいぃぃぜぇ!!!」
紫水はそんなライネルを見て引いていた。
「うわっ〜。まじか〜。ネルガル〜、ネルガル〜。起きて〜。俺が筋肉ダルマにされちゃうよ〜。起きて〜」
ネルガルの頬を叩いていたが、なかなか起きなかったので、ネルガルに水をぶっかけた。
「うわっ!!!! 水!水だぁ!!!」
ネルガルは飛び起きた瞬間紫水が作った水を飲み始めた。
「ちょっと、急に俺の水飲まないでよ〜」
「干からびて死ぬかと思った。紫水、俺を助けてくれてありがとう! でも、なんだろう、ほっぺが痛いな」
「ネルガル〜! 一発殴らせてね〜」
「うおわぁぁあわ!!! いってーー!!!」
紫水はネルガルの腹を一発だけ殴った。
「紫水何するんだよ!!!」
「殺さないだけマシだと思ってね〜。主人様に藍介の宝物話したんでしょ〜」
「うっ、話さなかったら凪さんに何やらされるかわからなかったからな。俺には言う選択肢しかなかったんだよ」
「それで〜、俺はここに連れてこられたんだよね〜。だから〜、殴ったわけ〜」
「まじか、紫水ごめんな。まあ隠してあった場所から無くなっててさ」
「それがね〜、あの本主人様が持ってたんだよ〜。それで〜、俺は余計に怒られたんだ〜。やっぱり〜、一発じゃ物足りないから〜、10回ぐらい〜、殴らせてもらおうかな〜」
「やめてくれ〜!!!」
「おや、紫水体力が有り余っているんだな。よし、これから紫水に俺が訓練を行おう。紫水こっちにこい!」
灰土はネルガルを殴ろうとした紫水を止めて、紫水の肩を持って主人様に作ってもらったランニングマシーンに連れて行った。
「何これ〜?」
「この上に乗って走るんだ。それじゃあ、最初からMAXスピードで5時間走ってもらおうか」
「5時間〜!? 無理だよ〜、無理〜!!!」
紫水がランニングマシーンから降りようとしたら、地面から鋭く尖った岩が紫水の前に現れた。
「うわっ〜! 危ない〜! 灰土何するんだよ〜!」
「何って、そこから降りようとしたからいけないんだろ。5時間走ったら緑癒様にお願いして回復してもらってまた走る。そして、5時間走って回復してまた走るを4回やってもらう」
「まって〜。5時間を4回って〜、20時間走り続けなきゃいけないの〜!? 死ぬって〜! 俺死んじゃう〜!」
「死なないさ、緑癒様に回復してもらうし、ライネルはもう4回を走り切ったからな。ネルガルは3回だったかな。ほら、ネルガルも後1回なんだから頑張れ」
「せめて、水分補給だけ、させてください」
「ライネルと同じ分の水は渡していたが、足りなかったのか?」
「あんな量じゃ干からびるに決まってるじゃないですか!!!」
「そうか? ライネルは大丈夫そうだが、魔王軍はこのぐらいの訓練はしているんじゃないのか?」
「水分補給は大切!!!」
「俺は逃げたいよ〜」
「紫水がいれば水の確保も楽になるからな。水が欲しかったら紫水に頼んでくれ。紫水、俺とネルガルが一緒に走るんだから、逃げようとするな」
「主人様〜〜!!! 助けて〜〜〜!!!」
紫水の叫びは虚しく洞窟ないに響き、紫水は強制的に走らされた。
そして、死にかけながらも4回目を達成し、またしても、干からびてしまったネルガルを抱き枕にして特別な訓練1日目を終えたのでした。
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