藍介が旅立った後
藍介と黄結姫が旅立った後、私はと言うと、とっても寂しくなっちゃったのよ。それに、藍介がいなくなると前よりも紫水と緑癒が私に近付いてきてキスをせがんで、もうね、大変なのよ。それに、ネルガルが血眼で藍介の宝物を探しているって話を花茶から聞いてネルガル本人を問い詰めたのよね。
居間にて机の前には私とネルガル、ライネルが座り、藍介の宝物について話を聞いていた。
「で、藍介の宝物をなんで探しているのかしら?」
「いや、その、凪さん、凪さんと藍介さんの結魂式の時に黄結姫さんが遅れてくるわけないって俺が言って、紫水と賭けをしたら」
「黄結姫が遅れてきたから賭けに負けたのよね?」
「その通りで、紫水が望むものなんて俺が思いつくものが一つしかなくて、それで、藍介さんの宝物をイデア様の時みたいにひっそりと借りようと」
「人の物を勝手に賭けるのが悪いのよ。ネルガルは藍介に怒られに行きなさい」
「ごめんなさい」
「で、その藍介の宝物ってなに?」
私は思考した。
藍介がゴキブリだった時に私の髪を集めていたのを私は思い出した。紫水が欲しがる物と言ったら、私の何かの筈。自惚れるのは良くないことだけど、紫水は私に好意を抱いていることは知っているわ。その紫水が欲しがるんですもの、私の予想では、私の髪でマフラーを編もうとしていた藍介。あっ、その情報は花茶から聞いたのよね。あの時は驚いたけど、私の髪ってほらまぁまぁ長いからゴキブリの藍介にとって良い毛だったという事で、私の中で落とし所を見つけたのだけど、紫水が発するもの、イコール! 私の何か、そして、私の髪で編んだマフラーを持っている藍介、うん。藍介の宝物は私の髪で編んだマフラーが正解。ん? でも、イデアさんが一度借りていたのよね? 私の髪の毛のマフラーなんて欲しがるかしら?
私は一度私の知っているイデアさんを想像した。
うん、欲しがるわね。
「それが、古びた日記なんですよ」
「日記?」
「はい、それを紫水が欲しがっているの?」
ネルガルは中身を言うと絶対に怒られると悟って中身の写真については言わないことにした。
「なんでも、藍介さんの弱みを握れらみたいで、イデア様も藍介さんにはライバル視していたので、喜んでいましたよ」
「藍介の弱み? それは、私も気になるわね。分かったわ、この話はおしまいにして、灰土! 灰土!!!」
庭で半裸で筋トレをしている灰土を呼んだ。
「主人様どうかなさいましたか?」
「灰土にお願いしたいことがあって、いいかしら?」
「はい、何なりとお申し付けください」
「このお馬鹿2人に特別な訓練をしてあげて欲しいの。出来れば、この2人が根を上げて逃げ出すぐらいきついやつでお願いね」
「まじかよ。主人さん、俺は関係ないだろ!」
「ライネルはネルガルを止めなかった罰として特別な訓練に参加してもらうわ」
「くそぉ、ネルガルの馬鹿野郎!」
「かしこまりました。それじゃ、2人を連れて行ってよろしいでしょうか」
「うん、灰土、2人をよろしくね」
「はい。あの、期限はどのぐらいで?」
「私が良いと言うまででどうかしら」
「まじかよ。凪さん俺を殺す気か!」
「大丈夫、死にそうになったら緑癒に治療してもらえばいいんだから、それじゃ、特別訓練頑張ってね!」
「そんなぁぁぁあ!!!」
「ほら、ネルガル、ライネル行くぞ」
2人は灰土に担がれて私の家を後にした。
「勝手に人の宝物を貸すなんてどう考えたってダメに決まってるでしょ。もう、灰土にはそこの所も治してもらうようにお願いするしかないわね」
そして、白桜は魔王城に帰った青雷とラックルさんと魔族の国での商売を始め、紅姫はその白桜の手伝い、チェルーシルさんはまだ目覚めないラヒートさんのお世話、緑癒が言うにラヒートさんの体の状態は良好みたいなんだけど、彼女の精神が弱っているから目覚めることが出来ないって言っていたわね。
アビーサさんは銀次と金色丸とボートゲームにハマっていてこの頃は将棋を楽しんでいるみたいだったわ。私は将棋のルールなんて知らないけど、説明者を読んでルールを理解したみたいで、凄いわよね。
蝋梅妃には洞窟の罠を考えてもらっているのだけど、面白い罠のアイデアが浮かばないみたいで、偽ダンジョン作りが行き詰まってしまっているのよね。
菊姫と百合姫にはハチミツ収集の他に森の警備を徹底してもらっているわ。その、菊姫には驚くような提案をされて、百合姫には内緒で菊姫の手伝いをしてあげているんだけど、菊姫にその話をされた時、本当に驚いたわ。まぁ、菊姫が望むのであれば、良いと思うし、相手も同意するのであれば、私は何も言うことはないものね。
紫水と緑癒は相変わらずで、前よりも甘えん坊になって、キスしないと眠れない!とか、お尻を撫でてもらわないと生きていけませんとか、もうね、大変なんだからね。
花茶は藍介が旅立って寂しがっているけど、ライネルがそばにいてくれるから安心ね。アさんとも花茶のお陰で仲良く慣れたし、暴走した氷月を唯一止められる人だから、仲良く慣れて本当にありがたいわね。
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