王都潜入
私と黄結姫さんは深夜に村から経つことに決めました。皆が寝静まる頃、モンデさんには事情を説明するとモンデさんは村の仲間が申し訳ないと謝っていただきました。
「ほんとうにありがとうね。藍介さんにはこの村を守って貰ったのに、こんな事になってしまって。村の女達がまさか、藍介さんを巡って争い合うとは、本当に藍介さん、ご迷惑をおかけしてごめんなさい」
「私もあそこまで詰め寄られるとは思いもしませんでしたよ」
「藍介様、もうそろそろ行きましょう」
「えぇ、それでは5日間ありがとうございました」
「本当にごめんなさいね。もし、またこの村に寄ったらいつでもいらっしゃいな」
「はい、ありがとうございます。それでは」
私と黄結姫は村から出て次の村に向かいました。
そして、何ヶ所かの村や町を経由して洞窟から旅立ち1月後、やっと、王都タユタナに着いたのでした。
立ち寄った村ではやはり、男が出稼ぎで男の姿があまりなく、一方町では人が溢れ、そう、奴隷も沢山見ました。魔王が怒るのもよくわかりました。早く彼等を解放してあげないと、早く権力を手に入れなくてはいけませんね。
そして、王都に入る前に結界が張ってある町へ行き、主人様からもらったこの時計、黄結姫は髪を結っているリボンが結界を阻害する魔法陣が施され、町に簡単に入ることができました。
王都の検問では鑑定士なるステータスを見ることができる人間が検問を行っていました。なので、私と黄結姫さんのステータスを偽造して、通ってみたのですが、うん。私が完璧な偽造魔法によって簡単に王都に侵入する事ができたのでした。
王都に入り、私は黄結姫さんと思念伝達を使って会話する事にしました。
『藍介様、おもったより簡単に入れましたね』
『えぇ、拍子抜けもいいところですよ。それでは、最初に宿を確保して、その次にこの魔石を売りに行き戸籍を買うことにします。そして、私は魔道具技師の資格を取るために資料を集めなくては、黄結姫にはイデアさんの部下の情報を先に王都に潜入している仲間たちに聞いてきて欲しいのです』
『わかりました。まさか、早くも王都に仲間を侵入させていたなんて、さすが藍介さんですね!』
『仲間の力を使えばこの程度造作もないことですね。えーと、確か、ここを曲がれば一番安い宿があるみたいですが。え?』
町に入り、華やかな中央通りから離れ東に進むと、仲間から一番安い宿がある場所を聞いていたのですが、王都の東側の地区は早くもスラム街が広がり、不衛生で、宿まで着いたのですが、それはもうオンボロで安い宿を探して欲しいとは伝えましたが、ある程度は住めるような環境の宿を教えて欲しかったですね。あっ、でも、仲間達とは簡単に会うことが出来るのだけはメリットですかね。
『アイスケサマ、アイスケサマガ、ヤットキタ、オソイ、オソイ、ナンニンカ、ナカマ、シンダ、マゾクモコロサレテル、ココハ、コワイバショ、ハヤク、タスケテアゲテ、ホシイ』
『おや、君は知能が高いのですね。あなたの言うことは分かっていますが、ある程度地位を確立しないと助け出すことは不可能なんですよ。そこを分かってもらいたいですね』
『ワカリマシタ、アイスケサマノ、チイヲ、カクリツ、サセレバ、ドレイ、カイホウデキル、オレ、テツダイマス』
『貴方が手伝ってくれるのでしたら、心強いですね。これからもよろしくお願いしますね』
『コチラコソ、ヨロシクオネガイ、シマス』
大きな黒光りした仲間とは一旦離れ、宿を取り、荷物は置いていくのは怖かったので、黄結姫さんに持ってもらって魔石を売りに行くことにしました。やはり、先立つ物がないと行動する事ができませんからね。仲間に教えてもらった魔道具店で売りに行くことにしましょう。
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