幸せの結魂式の筈が
藍介と凪の結魂式当日となり、教会では洞窟の長と森の長達が揃い、それぞれ右側が洞窟の長、左側は森の長という形で別れて椅子に座っていた。ネルガルは紫水の隣にライネルは花茶の隣で参加していた。
男性はタキシードを着て、女性はドレスを着用していた。白桜だけは足元まで付く黒いローブに身を包んでいた。
紫水は辺りを見渡して母さんが来ていないことに気付いた。
「母さん〜、もう〜、後少しで始まるのに何処で迷子になってるんだよ〜」
紫水は席から立とうとすると、ネルガルが紫水を止めた。
「おいおい、今から探すんじゃ間に合わないだろ。それに、黄結姫さんもいい大人だ。遅刻なんてしないさ!」
「いや〜、絶対に母さんは遅刻するよ〜」
「遅刻したら、そうだな。黄結姫さんが遅刻したら、藍介さんが大切に保管している凪さんの写真集持ってきてやるよ」
「本当〜! 母さん遅刻してもいいよ〜」
「薄情なやつだな」
「主人様の写真集〜♡」
「まぁ、前向きになってくれただけで、よしとするか」
そして、暫くして結魂式が開始した。
藍介は先に氷月の前で待っていると、ウエディングドレスを着た主人様が中央の赤いカーペットの上を歩いていた。
「主人様〜♡ 好き〜! 大好き〜♡」
紫水はウエディングドレス姿の主人様に身惚れていた。
「黄結姫さんまさか、本当に遅刻するとはな」
「ネルガル〜、写真集よろしくね」
「くそぉ! 仕方ない、花茶ちゃんにお願いしてみるよ」
氷月が描いた魔法陣の上に立ち、藍介と主人様は互いに誓いの口付けをした。
「これで、2人は結魂を無事に結べた!」
みんなは拍手をして2人の結魂を祝った。
「あ〜あ。式終わっちゃったじゃん〜。母さん本当にどこにいるんだろう〜?」
すると、教会の扉が開いた。
「あ! やっと母さん来たんだ〜。もう〜、式終わっちゃってるよ〜」
紫水は扉を開いた人物は遅刻してきた黄結姫だと確信していた。が、彼女の姿に紫水は驚愕した。
「それでは、次は黄結姫さんと凪の結魂式をする!」
氷月は新たな魔法陣を描いた。
氷月、凪、チェルーシル、黄結姫以外の教会にいた人達は何が起こっているのが理解できてきなかった。だが、その中で唯一1人だけ冷静な人物がいた。
「ちょっと!待った!!!!」
白桜はここぞとばかりに立ち上がり、ローブを脱ぎ捨て、純白の蜘蛛の巣の柄が施されたウェディングドレスを着ていた。
「私も主人様と結魂するわ!!!」
これには、主人様でさえも驚愕し、黄結姫は驚きのあまり、前に転倒した。
氷月は小声で凪に話しかけた。
「なぁ、妻よ。白桜と結魂する予定あったか?」
「そんな予定ないわよ! えっ!? なんでこうなったの!?」
そして、白桜も結魂出来るのであれば、自分もしたいと主人様と結魂したい人達が主人様に直談判をし始めたのであった。
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