結魂式の前準備
そして、氷月に新たな結魂のやり方を教えてもらい、私は藍介と話し合い、結魂式を行うことになった。
やはり、結魂式ならウェディングドレス姿の方が雰囲気にあっているし、教会もあるから神父さん役を氷月にお願いする事にした。
「俺様ならすぐに結魂を完了させられるぞ! 任せておけ!」
「まさか、私が考えていた陣よりも優れた陣をあの氷月が作り出していたなんて、なんか、負けた気分です」
「まぁまぁ、藍介はこれから色々と大変になるんだからゆっくり休んで、式の準備は私と氷月で十分だし、お祝いの料理はライネルにお願いしたしね!」
「ぐぬぬぬ、料理ポジションをライネルに盗られるとは思いませんでしたよ。花茶の件といい、私がいない間に花茶に手を出したら全属性魔法を打ち込んでやります!」
「はいはい、藍介は明日の式の為にゆっくり休んでね」
「主人様こそ明日のためにお休みになった方が宜しいのではないでしょうか」
藍介は私の背後に周り、私に抱きついてきた。
「あ! おい! 藍介! 俺様の妻に抱きつくんじゃない! 明日から俺様と同じ家族になるのは分かるが、それでも、俺様は妻の1番の夫なんだからな!」
「ふふふ、1番に愛されているのは私の方ですよ。主人様もお早めに寝てくださいね」
藍介は私の頬にキスをすると教会を後にした。
氷月は藍介がキスをした私の頬を何度も手で拭いた。
「痛いって、摩擦で痛い!」
「おのれ、まだ結魂してないと言うのに、俺様の前で妻とイチャイチャするなんて許せん!」
「それじゃあ、黄結姫も呼ぶか」
「まさか、妻が妻を作るとは思いもしなかったぞ」
「黄結姫だって外に出るんだもん。彼女に結魂するか聞かないとね」
『黄結姫! 今すぐに教会へ来てくれるかしら?』
『はーい! 今すぐに向かいます! あっ! きゃーーー!!』
黄結姫から送られてきた思念で最後はガシャーンとガラスが割れる音が入っていた。あー、また、皿を割ったのね。ストックに100枚ないとダメかしら?
1時間後、黄結姫が走って教会へやってきた。
「主人様! それで、どのようなご用件でしょうか」
「ねぇ、明日藍介と私がここで結魂式をするのは知っているわよね」
「はい。藍介さん相当嬉しいみたいで鼻歌なんて歌ってましたよ」
「あのね。黄結姫が良かったらでいいんだけど、私と結魂する事が出来たら、黄結姫は私と結魂してくれる?」
「私が主人様と結魂!? えっ!? 主人様と私が! 私が主人様と結魂したら、紫水は私の息子だから、主人様が紫水のお母さん? ん? お父さん? ん? 主人様は女性だから、お母さんになる。だけど、私も女だし、んんんん????」
「私と結魂いやかしら?」
「いえ! 嫌じゃないです! むしろ嬉しいです! でも、女性同士でも結魂は可能なのですか?」
「ああ! 可能だとも! そもそも、結魂に男女なんて関係ないからな! 魂さえあれば石と人間だって結ぶ事ができる。そう! 俺様と妻がその例だな!」
「それなら! 私も主人様と結魂してみたいです! あの、そうすると、紅姫さん達も明日結魂するのですか?」
「遠くない未来では結んでいると思うけど、藍介と結魂する理由がこと洞窟から出て人間の国へ行くって事で、黄結姫も藍介の護衛として長期間ここから離れないと行けなくなっちゃうでしょ。それに、結魂には良い利点があるのよ」
「利点ですか? それはなんでしょうか?」
「氷月! 説明お願い!」
「妻がしないんかい! これが、ツッコミと言う奴が、なかなか面白いな! よし! 俺様が黄結姫に説明しよう!」
氷月は黄結姫に丁寧に説明をした。説明の途中で黄結姫が分からないことがあればそれを補足しながら説明してくれていて、珍しく私の中の氷月の株が上がった。
「私の力を主人様が使えるようになるということは、私の祀念結びを使えるようになるということですか!」
「いや、黄結姫みたいな精度では使えないと思うが、祀念結び使えるようになるかもしれないな」
「私と主人様が結魂をすれば、私達が人間の国へ向かった際、主人様が私達に伝えたいお話を繋がるのに時間がかかるデメリットが無くなるって事ですね!」
「えぇ、そんな感じかしらね。どのぐらいの力を使えるようになるかは結魂しないと分からないみたいだし、もしかしたら、祀念結びじゃなくて、黄結姫ならそう! 影の魔法が使えるようになるかもね」
「そしたら、私は明日、主人様と結魂式をするのですか?」
「ええ、その通りよ」
「藍介さんはご存じで?」
「いいえ、話してないわ。藍介が浮かれてしまって忘れてしまっていることがあるのよ。それで、明日、藍介との結魂をした後に貴方に教会へこの服を着て入ってきて欲しいのよ。それで、私と結魂をして欲しいの」
私は黄結姫に似合いそうな肩出しのウエディングドレスを作った。
「とっても綺麗です! 私がこの服を着てもよろしいのですか! 私が貴方のために作ったのよ。是非、黄結姫に着てほしいわ」
「明日、私はこの服を着て主人様と結魂! あの、紫水には話した方が良いですか?」
「うーん、サプライズって事で内緒にしといて欲しいな。そもそも、今そんな話をしたら、紫水より一層怒り出すでしょ」
「ええ、ライネルさんを通じて明日の結魂式の存在を知られちゃいましたし、緑癒さんも口が軽かったですからね」
「うんうん。それじゃあ、チェルーシルさんにお願いしてそのドレスを一回着といてね。あっ、それを持って帰っちゃうと皆んなにバレちゃうから、このリボンに細工してもいいかな?」
私は黄結姫髪に巻かれた黄色のリボンを手に取り、アイテム収納機能を追加した。黄色のリボンは少しだけ姿が代わり、リボンの端に黒い線が付いた。
「黄結姫リボンを一回外していい?」
「はい!」
リボンを外し、私はリボンで円を作った。すると、リボンの円の真ん中が黒くなった。私は適当に魔石を作ってその中に入れると、アイテムが円の中へ消え去った。
「魔石が消えましたよ!!! それに、この、透明な絵はなんですか?」
「このリボンの円の中にアイテムを収納できるようにしたのよ。それで、取り出す時はね、黄結姫、その透明な絵にアイテムリストって書かれてない?」
「アイテムリストって書いてあります! あと、その下に高純度魔石ランクSと書かれています!」
「その高純度魔石の文字を指で触ってみて」
「はい! うわっ! 私の手に魔石が出てきました!」
黄結姫の手には、さっき私がリボンの円の中に入れた魔石が出てきた。
「入れる時はリボンを外さないといけないけど、取り出すのは便利でしょ!」
「妻よ! 俺様もそれが欲しいぞ!」
「氷月には後でね」
「後っていつになるんだ!」
「主人様ありがとうございます! 大切にします!」
「うんうん。人間の国へいく時にあの馬鹿でかい籠を持って行こうとしてのは知ってたから、これで阻止できたし、一石二鳥ってね!」
「主人様から貰ったあの籠大きかった私にとっていい感じの寝袋だったんですか、やはり、あれは待っていっちゃだめですか?」
「あれは、大きすぎるからダメ!」
「残念ですぅ」
「よし、話も終わったし、これだったら皆んなに見つからないようにこのドレスを持ち運べられるからね。ちゃんと、チェルーシルさんに一度着させてもらうのよ」
「はい! それでは、失礼します!」
黄結姫は教会からチェルーシルが泊まっている温泉施設へ向かった。
「よし、黄結姫が私と結魂をすれば、紫水も藍介の夢のような事はしないでしょ」
「藍介の夢とはなんだ?」
「一応、氷月には説明した方が良いわね」
私は氷月に藍介が見た夢を話した。
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